王子と乞食 (岩波文庫 赤 311-2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (307ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003231128

感想・レビュー・書評

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  • めちゃくちゃ面白かったです。読書をしたという気分で満ち溢れています。

    言葉古いが話は分かりやすく、章の終わり毎に「これからどうなるんだ?」という気持ちでいっぱいになって、最後は一気読みでした。

    それにしても、外見だけでここまでわからないとは。親まで騙されてしまうのか。奇妙な運が重なれば乞食から王にまでなれてしまう。人生とは本当に不思議ですね。

    ヘンドンの立場ならブチ切れてもおかしくない態度の乞食のなりをした王子様だけど、へんドンが王子のことを可愛いと思うと、こっちもそう思えてきました。気狂いだと相手にせず、子供に慈愛の気持ちで接した騎士道が、ヘンドンの最後に繋がったのでしょう。あれは見習うべき姿勢です。

    トムカンディの父親はろくでもないです。それは間違い無いのですが、かなり難しい問題ですよね。本当の王子に乞食のひもじさや苦しさ、荒々しさはわかるわけがない。そうでないといきていけない。確かに品はないが、彼らだって感情を持って人間として生きているという事を知ってしまうと、何とも言えない気持ちになりました。

    小学生でも高学年の子なら面白く読めると思います。中学生から大人まで誰にでも本当にオススメできる良い作品でした。

  • 以前ミュージカルで観てからずっと読みたかった一冊。終始ユーモラスに書かれていて楽しく読めました。王子の試練の経験も最終的に人民を幸せにしてやろうという思いに繋がったので全体としてハッピーエンドだと思います。自分と異なる立場に立つことの必要性を教えてくれた作品でした。

  • タイトルは知っているけど、内容を知らない本の一冊だったこの本。
    読み続けられているだけあって、サクサク読めた。
    本を読む中で、何パターンかの結末を考えながら楽しみながら読んだ。
    この本の著者は、トムソーヤの冒険やハックルベリフィンの冒険でも有名。
    これらの著書も読んだ事がないので、読みたいと思った。

  • 楽しく読むことができました。
    自分が寓話として理解していた「王子と乞食」との違いが多々あり、以下はその点を中心に書いたものです。

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    ①作者
    ヨーロッパの作者不明の寓話だと思っていたが、『トム・ソーヤーの冒険』で有名なアメリカの作家マーク・トウェインによるもの。

    ②紙幅
    数ページの短い寓話ではなく、本書では300ページの小説。(本書も表題作を含む短編集だと考えていた。)

    ③入れ替わった経緯
    両者が納得したうえで期間限定で入れ替わっていたのではなく、偶然から取り換えられることになっている。

    ④三人目の主人公
    二人に次ぐ重要人物として、乞食に堕ちた王子を手助けするワケあり浪士マイルス・ヘンドンが登場する。

    ⑤王の死
    入れ替わりの最中に王が崩御し、王子が王として戴冠することが物語でも重要なポイントになる。

    ⑥民衆の暮らしの良さは強調されない
    王子と乞食がそれぞれの境遇を羨んで入れ替わり、その結果それぞれの良さを理解しながらも苦労も知ることで元の立場に戻ることを願うという筋書きだと理解していたが、この点は乞食から王子になったトムについては当てはまっても、王子から乞食に転じたエドワードについては民衆としての暮らしの良さを感じるような描写はとくに存在しなかった。

    ⑦二人の扱いについて
    王子と乞食、五分五分で扱われているものと考えていましたが、どちらかといえば乞食に堕ちたエドワード王子の物語に重点が置かれている。
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    特に⑥の点が最も意外でした。王子となったトムが「自分が国王とは名ばかりで、これらの老巧な人たちや大貴族が、実際は自分の主人である」と嘆くシーンもあるものの、その後の冤罪で死刑にかけられる民衆を救うなどの活躍で王としてのやりがいも見出しており、結局高貴な生まれの人間として暮らすことを根本的に否定するような要素も、民衆としての生活も良いものであるといった視点も存在しませんでした。

    善悪はっきりしたハッピーエンドのお話であるとともに、⑦でも触れたように本作はどちらかといえば王室に潜り込んだトムより、民衆の世界に紛れ込んだエドワード王子側の物語に力点が置かれており、民衆の苦労と実社会を知ることで善き王となるエドワードにとっての試練を描くことが本作の主題かもしれません。

    本文とは関係ありませんが、これほど著名で完成度が高く娯楽要素の多い作品でありながら、映画やアニメ化が少なく、ヒット作にも恵まれていないことを不思議に思います。

  • 何年ぶりかの再読。おとぎ話だが、大人になって読むと別な発見もある。乞食のトムが王子と入れ替わった後すぐ露見しなかったのは、神父アンドリュウの教育によって読書習慣やラテン語の素養を身につけていたからという伏線。つまり教育が階級の壁を越える、未知の世界に適応する手段となりうることが示唆されていると読むこともできる。

  • 名作の陰に隠れた最高傑作。
    風刺、ペシミズムなど、作品により癖が強いというイメージがあるが、王道的だしど直球で気持ちがいい。
    風刺、批判が強く込められているということでいうと、大人向きの作品。
    サブタイトルに「あらゆる時代の若い人々のための物語」という一文を、読み終わった後に発見して感動を覚えた。
    こんなありふれた言葉をサブタイトルにつけた、著者の心境を想像し、余程自信があった作品なのだろうと感じる。そして、その通りだと思う。

  • 王子と乞食少年の入れ替わり。二人が体験する真逆のことは、二人に様々な見識を与えるのだった。時代設定が妙ですね。死刑の方法が釜茹でなんて勘弁してくれ‥‥

  • むちゃくちゃ面白かった。

    児童虐待のシーンが多くて、今の子どもにはこのまま読ませられない内容ではあるけれど…。

  • 子ども用の絵本で読んだきりきちんと読んでいなかったため、手にとってみたんだけど、
    こんなに面白いとは!
    ハラハラドキドキするし、いろきろと考えさせられる。
    最後は、良い人には報い、悪い人には罰が与えられてスッキリ。

  • 児童向きかと思って敬遠していたけれど、なかなか考えさせられることもあり、楽しめる一冊。

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著者プロフィール

1835年、アメリカ合衆国ミズーリ州に生まれる。父の死後、12歳で実社会に出て、見習い印刷工をしながら文章をおぼえる。蒸気船の水先案内人などをした後、新聞記者として成功。『ジム・スマイリーと彼の跳び蛙』『赤毛布外遊記』で人気を得て、『トム・ソーヤーの冒険』『王子と乞食』『ハックルベリー・フィンの冒険』などでアメリカ文学の頂点に立つ。1910年没。

「2021年 『ハックルベリー・フィンの冒険(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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