- Amazon.co.jp ・本 (180ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003231135
作品紹介・あらすじ
人生に幻滅している老人は、青年にむかって、人間の自由意志を否定し、「人間が全く環境に支配されながら自己中心の欲望で動く機械にすぎない」ことを論証する。人間社会の理想と、現実に存在する利己心とを対置させつつ、マーク・トウェイン(1835‐1910)はそのペシミスティックな人間観に読者をひきこんでゆく。当初匿名で発表された晩年の対話体評論。
感想・レビュー・書評
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人間に対して、少しネガティブだが、人間観がまた一つ深まった。人間を機械に表現するとは実に大胆。
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人間とは何かという仰々しいタイトルに反して対話形式でとても読み易く、それでいて人間の本質を突いている。
老人の主張は一貫している。
「人は自分の良心を安定させるためにのみ行動する」また「人の良心は、生来の気質と後天的な教育、訓練から得た知識や印象、感情の断片の集合体であり、人はこの主に従う出力機でしかない」というもの。
これは僕自身も常々感じていたことだ。青年は終始それでは人間の価値が下がってしまう、救いがないということを言うが、全くナンセンスだ。価値が下がると感じるのは、ホモサピエンスという少しばかり賢い猿を実際より過大に評価していたにすぎない。著者はまた、偉大な人間、誇り高い人間は嘘の衣装を自慢しているだけだと貶める。つまり銅人間も炭素人間も金人間も、己の生得の原石を磨こうと理想をもち、訓練なり努力なりをしている限りにおいては、人はみな等価値である。そう主張しているのではないか。
この老人は人間を貶める、冷たく、嫌な人間では決してない。長年の観察と検証から発見した事実を言っているのだ。その事実は、確かにある面では残酷で、批判的かもしれない。だがまたある面ではとても公平であり、人を勇気づける代物なのだ。
本書は、少なくとも僕にとっては希望の書であり、ある種の救いとなった。
ありがとうトウェイン。
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若い時に読んだこの本は自分の人生に無視できない影響を及ぼしているような気がずっとしていた。人間は機械であり、自分は出来損ないの機械なんだろうという思い。
読後、約30年。機械だから何だというのだ、むしろ出来損ないの機械ならではのオモロイ社会を笑い飛ばしながら生きてきた。これでいいのだ。 -
暴論的な部分もあるが面白い。一つの考え方として完成している。この考え方をしたら憂鬱になるかと言われたらそうではなくて、気が楽になる。現代における1つの処方箋になると思う。
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難しい。難しいけど面白かった。最近なぜか古典を読みたくなって前から名言などでよく名前を見かけて気になっていたマークトウェインの本を読んだ。全般に渡ってペシミズム(悲観主義)で全面的に賛同するというわけではないが、完全に否定することは出来ないなという感じ。確かに自分も何も考えようとしなくても勝手に何か考えついていつのまにかその考えが頭を支配している。ただでも100%そうかと言われると…ンンンとなってしまう。この辺りはまた時間を置いて改めて読んでみたときの為にとっておきたい。とにかく今は読み終えて面白かった。というのとマークトウェインってどんな顔してるんやろということとハックルベリーフィンの冒険も読んでみようということ。100年前に書かれたとは思えないほど現代的な文章、訳し方によるのかもやけど。
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もっと難しいと思っていたけど
わりと楽しく読めました。
なんだか頑固なおじいさんに
延々と話を聞かされた気分(´・ω・`)←
おじいさんの理論は
妙に説得力があって、
あーなるほど……と思っちゃうんですが、なんか完全には納得できない…
反論できるほどの
頭がないので、言葉にできません(笑) -
・人間の行動は自己是認=自分を満足させることを1番に考える。
・また個人の発想や考えが新たに生み出されるものはなく、他者から影響を受けたもの。
これらの法則は絶対的なものだ、という趣旨のやり取りを老人と少年がくどくどと続くので読んでいて眠い。
政治、商売において「社会を良くしたい」と言い放つ人や企業の側面には、自分のメリットを満たしたい本音があることを念頭に置きたい。
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人間とは外部から与えられる様々な力によってのみ動かされる、機械と変わりない存在だという内容。
話の運びが巧く、こちらの抱いた疑問が青年の口から次々と飛び出すので最後まで関心を持って読めた。
終盤に出てきた不幸になる人と幸福になる人の話からは著者の人生に対する諦観のようなものを感じた。
この本の内容を楽観的に受け取るか悲観的に受け取るかは読者自身に委ねられていて、その受け取り方こそが幸せになる素質の有無なのだと思った。
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老人の人間観はわかりやすいし、私は賛同するところが多いかも。
著者プロフィール
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