人間とは何か (岩波文庫)

制作 : Mark Twain  中野 好夫 
  • 岩波書店
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本棚登録 : 672
レビュー : 76
  • Amazon.co.jp ・本 (180ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003231135

作品紹介・あらすじ

人生に幻滅している老人は、青年にむかって、人間の自由意志を否定し、「人間が全く環境に支配されながら自己中心の欲望で動く機械にすぎない」ことを論証する。人間社会の理想と、現実に存在する利己心とを対置させつつ、マーク・トウェイン(1835‐1910)はそのペシミスティックな人間観に読者をひきこんでゆく。当初匿名で発表された晩年の対話体評論。

感想・レビュー・書評

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  • 人間とは何かという仰々しいタイトルに反して対話形式でとても読み易く、それでいて人間の本質を突いている。
    老人の主張は一貫している。
    「人は自分の良心を安定させるためにのみ行動する」また「人の良心は、生来の気質と後天的な教育、訓練から得た知識や印象、感情の断片の集合体であり、人はこの主に従う出力機でしかない」というもの。
    これは僕自身も常々感じていたことだ。青年は終始それでは人間の価値が下がってしまう、救いがないということを言うが、全くナンセンスだ。価値が下がると感じるのは、ホモサピエンスという少しばかり賢い猿を実際より過大に評価していたにすぎない。著者はまた、偉大な人間、誇り高い人間は嘘の衣装を自慢しているだけだと貶める。つまり銅人間も炭素人間も金人間も、己の生得の原石を磨こうと理想をもち、訓練なり努力なりをしている限りにおいては、人はみな等価値である。そう主張しているのではないか。
    この老人は人間を貶める、冷たく、嫌な人間では決してない。長年の観察と検証から発見した事実を言っているのだ。その事実は、確かにある面では残酷で、批判的かもしれない。だがまたある面ではとても公平であり、人を勇気づける代物なのだ。
    本書は、少なくとも僕にとっては希望の書であり、ある種の救いとなった。
    ありがとうトウェイン。

  •  個人的に何度も読み直したいと思った本。


     例えばです。
     私の身の回りにはもう亡くなった人も含め、何人か認知症を患っていました。

     そのとき、「日常生活でできなくなってしまったこと」が数多くある中でさえ、人を選んで攻撃をする姿を幾人も目にしました。

     大体、人により、(八つ当たりなど)攻撃する対象は限られてるのですよね。弱者に向かう。もちろん当人が一番の弱者なわけですが、当人が元気だった頃の認識で弱者と思われる人間が攻撃対象になる。強い人間にはあまり向かわない。


     わたし、何となく見ていたり、その対象になったりして、
     「あぁ、自分に対する弱者強者を見分ける力って、結構人間の根源的な能力なんだなぁ。」なんて思っている。


     そこで、いかにうまく取り繕おうとして、勉強したり訓練したりしたところで、


     そんな努力なかったかのように身包みはがされる。


     それが、人間の性質なんであろうとすると、


     自分の性質は、決して素晴らしいものとは言えない。本当に。

     今までひたかくしにしているものが、いつしか決壊して漏れ出る可能性を考えると、

     自分の性質ってやつについてよく考える。

     まだよく見えていない部分も多いのだけど、

     せめて「そんなにひどくない」くらいだったらありがたいのですが…。

  • 難しい。難しいけど面白かった。最近なぜか古典を読みたくなって前から名言などでよく名前を見かけて気になっていたマークトウェインの本を読んだ。全般に渡ってペシミズム(悲観主義)で全面的に賛同するというわけではないが、完全に否定することは出来ないなという感じ。確かに自分も何も考えようとしなくても勝手に何か考えついていつのまにかその考えが頭を支配している。ただでも100%そうかと言われると…ンンンとなってしまう。この辺りはまた時間を置いて改めて読んでみたときの為にとっておきたい。とにかく今は読み終えて面白かった。というのとマークトウェインってどんな顔してるんやろということとハックルベリーフィンの冒険も読んでみようということ。100年前に書かれたとは思えないほど現代的な文章、訳し方によるのかもやけど。

  • 厭世的な老人と青年による対話形式の小説。
    小説ではあるが多分に著者の思想が反映されているため、哲学書に近い。

    人間とは、
    ・自身の平安のためなら殺人も厭わない本質
    ・自由意思は存在しない
    ・外界からの作用による集合体

    ここまで醒めた目線で人間を捉えられるのかと驚いた。
    若者に読ませると斜に構えただけの人生になると思う。
    あとがきに、トウェインの妻や娘はこれを最初に読んだ時非常に驚いたとあるが、誰だって身内の人間がこんな本書いてたら驚く。

  • もっと難しいと思っていたけど
    わりと楽しく読めました。
    なんだか頑固なおじいさんに
    延々と話を聞かされた気分(´・ω・`)←
    おじいさんの理論は
    妙に説得力があって、
    あーなるほど……と思っちゃうんですが、なんか完全には納得できない…
    反論できるほどの
    頭がないので、言葉にできません(笑)

  • この本は今の自分にとても影響を与えていて、面白くてたまりません。主に他の動物と脳のシステムがどのように異なるか。細胞、調整遺伝子について。
    この本も専門用語が多いことから、他の生命科学の本で知識を得ながら最後まで読みたい本だと思っています。

  • 人間とは畢竟機械に過ぎぬと、初っ端から知らない単語が出てくる。老人と青年の人間とは何かという話題について延々と話している。老人の主張がどれだけ著者の人間観を反映しているのかどうかは分からないが、トムソーヤーやハックルベリフィンで知られるマークトウェインがかなりネガティブな思考も持っていたであろうことが伺える。

    老人は、個々の人間にオリジナリティというものは存在せず、全てが過去からのインプットの寄せ集めであると断言する。また人間の行動原理は全て自らの精神的充足を得るためであるとし、その精神的充足が何になるかは、各々が生まれ持つ気質と外的影響によるとする。慈悲や自己犠牲を原動力としているように見える行動も、そうすることによって精神的充足/もしくはしないことによる罪悪感から逃れることが第一目的とし、その結果として弱者が助かるに過ぎないと言う。

    あらゆる外的影響は教育であるとし、もっとも大きな教育要因は人間関係であるとも断言する。また悪事や善業、何かを成すために大きな決断をする一つの体験があったとしても、その体験が引き金になったとはいえ、それまでの”教育”により形づけられて来たその人間の最後の人押しをしたに過ぎないと言い切る。

    また動物や昆虫と人間に関しても根本的な部分で差はないと言い切る。知的許容量はもちろん個々の動物、生物で差はあるが、その中で社会を営み、観察し、解決策を探って前進していくことに関しては変わりがないという。

    キリスト教の宣教師をボロクソに言ったりしているが、当時は問題にならなかったのだろうか。ただ後書きによると妻は内容をみて激しくショックを受け、娘は怖気をふるって怯える始末だったとのこと。結局、妻が亡くなった後に匿名で知友達向けに出版され、本格的な公開は本人が亡くなった7年後とのこと。後書きで触れてある「不思議な少年」という著作が、この作品と対になるとのことなので、まあ機会があれば手に取ってみようと思う。

  • 人間に対する深い不信感。
    『不思議な少年』と併せて読んだ。

  • ここまで人間を悪しざまに書かれちゃあ、逆にすっきりしますね。

  • 人間が何かってことは、すべてそのつくりと、遺伝性、生息地、交際関係など、その上にもたらされる外敵力の結果。みずから創り出すものなんでなんにもない。
    心を支配する力は人間にはない。
    義務はなにも義務だからやるってものではない。それを怠ることが、その人間を不安にさせるからやるに過ぎない。人間の行動は唯一最大の動機、まず自分自身の安心感、心の慰めを求めるという以外にはない。善人も悪人もつまるところ心の満足を得るために必死になっているにすぎない。
    人間は自発的にやることはできない。その生息地、人間関係を変えればいい。
    気質(生まれながらにもっている性質)はいくら教育しても抹殺できない。ただ元々の気質が少しでも関心を持っている事柄は長年の外力によって影響を受け、さらには行動を変えてしまう。行動はそれが起きた瞬間の外力の結果ではなく、長年積み重なった外力の結果。
    本能は石化した思考。習慣によって固形化し、かつては思考していたものがいつのまにか無意識になったもの。

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著者プロフィール

マーク・トウェイン 1835年ミズーリ州フロリダに生まれる。4歳のとき、ミシシッピ川沿いの村に移り住み、自然に恵まれた少年時代を過ごす。12歳で父親を亡くし、生活のために印刷工、蒸気船の水先案内人、新聞記者など様々な職業についたが、やがて『トム・ソーヤーの冒険』『ハックルベリー・フィンの冒険』『王子と乞食』など多くのすぐれた作品を世に送り出し、アメリカの国民的作家となった。

「2019年 『さらわれたオレオマーガリン王子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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