ハックルベリー・フィンの冒険〈上〉 (岩波文庫)

制作 : Mark Twain  西田 実 
  • 岩波書店 (1977年8月16日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003231159

作品紹介・あらすじ

洋々たるミシシッピーの流れに乗って筏の旅を続ける陽気な浮浪児ハックと逃亡奴隷ジム。辺境時代のアメリカの雄大な自然と活力溢れる社会をバックに、何ものにもとらわれずに生きようとする少年と、必死に自由の境涯を求める黒人の姿をユーモラスに描く。

ハックルベリー・フィンの冒険〈上〉 (岩波文庫)の感想・レビュー・書評

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  • Adventures of Huckleberry Finn(1885年、米)。
    どこまでも陽気で陰影のない「トム・ソーヤーの冒険」に比べると、こちらは結構ビターな印象。黒人奴隷の人権問題が絡んできたり、大人の犯罪や紛争に巻き込まれたり…。トムの冒険はファンタジーだが、ハックの冒険は命懸けのサバイバル。一歩間違えば、皮肉めいた重い話になってしまいかねない内容だ。

    しかし、児童文学として耐え得る軽やかさは、かろうじて失われていない。その理由は、ハックの逞しさ、ジムの善良さ、人種を超えた彼等の友情、そして何より、雄大なミシシッピ川の美しい描写のためだろう。ハック達が自由を求めてミシシッピを下る過程は、自由を求めて新天地へ降り立ったアメリカ人にとって象徴的であり、心の原風景なのではないだろうか。ヘミングウェイが本書を「アメリカ文学の源泉」と称したらしいが、さもあらんと頷ける。

    個人的には、ジムを救出する穴を掘る場面での、トムとハックの掛け合いがツボ。ロマンティストで意固地なトムと、リアリストで合理的なハック。その対比が面白くて、何度読んでも笑ってしまう。

  • 『トムソーヤ~』とともに有名な作品。
    だが、この2作品で絶対的に違うのは、主人公の立ち位置。
    トムはいたずら好きだが“子供の範疇”から決して越えず、また、あれこれ文句をいったりもするが当時のアメリカ南部での一般的な考え方(黒人≒奴隷とか)からも外れずに、あくまでも世間という手のひらの上で行動している。
    ハックは設定も浮浪者…自由人というべきか…で、考え方もまた、世間一般のしがらみのない考え方だ。
    逃亡奴隷を通報するべきか、ハックは必死に考える。当時の常識ならば、悩むところではないのだ。言わなきゃいけない。ハックが躊躇しているのは、言えばジムは逃亡奴隷として処罰されるが、そんなことを幇助するのは人間としてどうなのか、という、
    常識>倫理の図式に迎合できず、悩む。

    このテーマの深さがハックルベリフィンの魅力の一つだと思う。

  •  子どもの頃に読んだという方ももう一度読んでみてほしい名作です。十九世紀末当時に流布していたピューリタニズムの偽善、奴隷制度、自然と文明の対立などいろんなテーマが詰まっているのです。最後にハックが地獄に堕ちてやると決心したシーンは感動もの。

  • 2015.9.4古典的少年文学の傑作であり、トムソーヤの冒険の著者であるマークトウェインの描いた冒険少年の上巻。トムソーヤの冒険の続きから始まり、主人公がハックルベリーになってる。ダグラスおばさんに引き取られたが豊かな生活は窮屈で、その後腐れ親父に拉致られた後は自由だが理不尽に暴力を受ける日々、鋳型にはめられるような裕福からも、暴力とともに得られる自由からも逃げるため、殺されたと見せかけ脱出を図る。おばさんのところから売り飛ばされるのを恐れて逃亡した黒人奴隷のジムと島で出くわし、二人で川を下っていく。実にいろんな人々に出会い、実にいろんなイベントが起こり、まさに冒険物語である。ハックとジムが主な登場人物なのだが、ジムは優れた人格を持つ男性であり、ハックの相棒、信頼できる味方であると同時に、黒人であり奴隷であるという、この独特の立ち位置、ハックとの関係性は、興味深いものがあった。昔の人の人種差別観はこんな感じだったのだろうか(今も人種差別はあると思うが)。トムソーヤの冒険は、言わば木刀とバケツの帽子があればロビンフッドになれるような、そういう冒険だった。少年特有の空想が、日常を冒険に変えていた。しかしハックのは、言葉のままの冒険である。冒険とは非日常であるが、その非日常をそのまま描いているという点で、トムの冒険と比べハックの冒険は"普通の冒険"という風に感じられるのかもしれない。でもトムとはまた違ったキャラクターの魅力もあり、全体的に真面目さというか、トムの快活で弾けるような活躍の代わりに、知恵を使って状況を切り開いていくようなクールな活躍を感じる。またハックにしてもジムにしても、身を引き裂かれるような心の葛藤も描かれており、上巻最後のジムの告白は胸に迫るものがあった。トムの冒険が小学生のそれなら、ハックのは中学生のそれを感じる。しかしまぁあまりグダグダ考えても仕方がない。「この物語に主題を見出さんとする者は告訴さるべし。そこに教訓を見出さんとする者は追放さるべし。そこに筋書きを見出さんとする者は射殺さるべし。」である。そうは言ってもいろいろ理屈をつけたくなっちゃうのは、俺の芸術を楽しむ上での一つの欠点なんだろうなー。下巻も読み進めようと思う。

  • 虐待親から逃げ出すためのハックの「完全犯罪」にびっくり。冒険もたくさん、死体もたくさん。

  •  面白い、なんてものではない。マークトウェインすげー!であります。

     30年ぐらい前に父が読み聞かせしてくれた本の一つ。内容は忘れたけれどトム・ソーヤよりも面白かったという記憶ははっきり持っています。今回子供たちへの読み聞かせに取り寄せてみたら、分厚くて字が小さくてびっくりしました。先に再読したトム・ソーヤの冒険ではトムが利発でハックのそういうところは目立たないこともあり、こちらはもっと牧歌的だったかと少し勘違いしていましたが、とんでもない!アウトドア的なサバイバルに社会的なサバイバルの要素も加わりぎりぎりの物語です。
     物語の構造としてはロードムービーです(。まだ下巻末まで読んでませんので、少なくとも下巻始めまでは)。ハックと逃亡奴隷のジムが筏でミッシシッピー川を下りながら様々な人や事件に遭遇します。たぶんどのエピソードも完全な創作というより、似たようなことがマークトウェインの身辺で実際にあったんだろうと思いながら読みました。家が流れてきて中に死体がころがっていたとか、うまいこと言って金を集めるペテン師とか、殺し合いをしてる二つの家系とかきっとこの頃にはあったんだろうなと思います。子供たちにとっては、いや僕にとっても人種差別や奴隷制度やリンチやペテンが驚きでした。現代はもはやオバマ大統領の時代ですからね。(世界にまだ人種差別が残っていることは子供に伝えておきました。)
     文体はハックの語りなので崩れた口語だし、ユーモアや冒険が物語を牽引するので、読んでみるととても読みやすいです。子供たちも難なくついてこられます。しかし、マークトウェインは「トム・ソーヤの冒険」よりも真面目に書いてるという印象を僕は持ちました。トム・ソーヤではごてごてしたレトリックが利いていました。こちらはハックの語りで、基本的に必死で生き延びてるところがあるのでそんな贅沢なおふざけの余裕も趣味もありません。ハックには本人が大真面目だからこそのユーモアがあります。
     本書の何がすごいかと言うと、1885年に初版が出たという超古典なのに、訳だって40年前なのに、古すぎてわからないとか楽しめないという部分がほとんどないということです。シェイクスピアと聖書の引用だけぴんと来ませんでしたが、それだって古いからというより僕に教養があれば楽しめるはずのところですからね。訳も古すぎたり不自然ということはありません。よその古い名作の中にはこれは訳し直した方がよいのでは、というものもありますが、本書は全然大丈夫です。


    PERSONS attempting to find a motive in this narrative will be prosecuted; persons attempting to find a moral in it will be banished; persons attempting to find a plot in it will be shot.
    この物語に主題を見出さんとする者は告訴さるべし。そこに教訓を見出さんとする者は追放さるべし。そこに筋書を見出さんとする者は射殺さるべし

    と前書きにあります。本書の良いところは、主題や教訓や筋書を意図して作られた作り物ではないというところにあるんでしょうか。

  • 当時のアメリカ社会がわかる。

  • 【新着図書ピックアップ!】「あらゆる現代のアメリカ文学は『ハックルベリー・フィンの冒険』というマーク・トウェインの一篇の作品から出ているのです」というヘミングウェイの言葉は、つとに有名です。

    もう一人のノーベル文学賞受賞者ウィリアム・フォークナーは、1955年に日本は長野の地に於いて、私の考えるところでは、と前置きして「(マーク・)トウェインは本当の意味で最初のアメリカ作家であり、我々はみな彼の跡継ぎであり、トウェインの子孫なのだ」と述べました。

    それで充分でしょう。巻頭の「警告」に従って雑念を捨て、ただただ、ミシシッピを下る筏に身をゆだねよう。

    [Newly arrived !] "All modern American literature comes from one book by Mark Twain called Huckleberry Finn” is a widely known phrase by Ernest Hemingway.

    William Falkner, another Nobel Prize laureate, said, “In my opinion, Mark Twain was the first truly American writer, and all of us since are his heirs, we descended from him.” in Nagano, Japan, 1955.

    That’s enough. Now, throw away any unnecessary thoughts according to the notice at the beginning of this story, and surrender yourself simply to rafting down the Mississippi with Finn!

  • [配架場所]2F展示 [請求記号]B-933/Tw/1 [資料番号]2012300101

  • 99004

    ミシシッピ河の自然やけして豊かとはいえない人々が描かれる。野外集会やサーカス、ペテン師の公爵、王様が楽しい。

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