ハックルベリー・フィンの冒険 下 (岩波文庫 赤 311-6)

制作 : Mark Twain  西田 実 
  • 岩波書店
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本棚登録 : 335
レビュー : 25
  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003231166

作品紹介・あらすじ

ハックとジムは自由州への上陸に失敗。おまけにペテン師の王様と公爵まで背負いこんでしまった。筏の旅はなおも続く。-ヘミングウェイをして「現代アメリカ文学の源泉」とまで言わせたこの傑作を、練達の訳文に初版本の楽しい挿絵を豊富にちりばめて贈る。

感想・レビュー・書評

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  • 【ハックルベリー・フィンの冒険 上・下】
    マーク・トウェイン作、西田実訳、岩波文庫、1977年

    面白かった。

    「キャッチャー・イン・ザ・ライ」の主人公ホールデンが「20世紀のハックルベリー・フィン」と呼ばれると知って、初めてちゃんと読んでみたが、面白かった。

    作者マーク・トウェインは1835年生まれで、日本で言えば「幕末明治の時代」に生きた人。

    日本で若い志士たちが「黒船襲来」「尊皇攘夷」と立ちまわっていた時代のアメリカで、トム・ソーヤーやハックルベリー・フィンといった少年たちが見る社会と自然を余すことなく描いた作家。

    本書は浮浪児で自然を愛する主人公ハックフィンは暴力的で怠惰な父親から逃げ、逃亡黒人奴隷のジムと共にミシシッピ川を筏で冒険をする、という話。

    刊行は1855年。6年後に奴隷制度の是非をめぐりのアメリカでは南北戦争が起きる。

    アーネスト・ヘミングウェイが以下のように書いている。
    ーー
    あらゆる現代アメリカ文学は、マーク・トウェインの『ハックルベリー・フィン』と呼ばれる一冊に由来する。……すべてのアメリカの作家が、この作品に由来する。この作品以前に、アメリカ文学とアメリカの作家は存在しなかった。この作品以降に、これに匹敵する作品は存在しない。
    ーー

    読み終えたときに、子どもの時にみた映画「スタンド・バイ・ミー」を思い出したのも、そんなに外れていない気がする。(死体が鍵だったり)

    そして、「翻訳夜話2 サリンジャー戦記」で柴田元幸が、「ハックはまだ下半身が目覚めていない。ホールデンは目覚めかけていてそれをすごく怖がっている。そこの違いは大きいですね。」と語っているのも1776年に独立したアメリカをなにか象徴する気がした。

    2017年の今年は、
    Change! を唱えた初の黒人大統領に代わり
    Make America Great Again! をスローガンにする70歳の実業家が国民により大統領に選ばれた。

    #優読書

  • 訳:西田実、原書名:ADVENTURES OF HUCKLEBERRY FINN(Twain,Mark)

  • 新書文庫

  • 2015.9.6ヘミングウェイをして、現代アメリカ文学の源泉と言わしめた傑作、ハックルベリーフィンの冒険、下巻である。ペテン二人組と共にの旅と、その後ジムが捕まった後、トムソーヤとの逃亡劇とが下巻の主な内容である。読みきってしまうと、最初トムソーヤの冒険と比べどこか明るさというか快活さに欠けているような気がしたが、そうではなく、トムソーヤにはトムソーヤなりのストレートな魅力がある一方、ハックルベリーフィンにはより複雑でわかりにくく、しかし故にじんわりと染みるように感じる魅力があるように思った。トムとハック、2人の少年は、性格も違う、生まれも育ちも違うが、この2人の性格の特徴が、もろに小説に反映されていて、一口に冒険といっても全く色合いの違うものになっているように思う。後書きに書かれていることが私も同じように感じたところだった。後書きに「トムの冒険が現実を離れた空想の世界の冒険であるのに対して、ハックの冒険は常に現実の世界の中で起こる…トムの冒険は絵空事でありあそびであるが、ハックの冒険は真剣勝負である」とあるように、この冒険はロマンチストのトムのではなくリアリストのハックの冒険であり、ハックの宗教や道徳など大人の世界の色眼鏡のない目で、しかし故の純粋な良心を以って、世界の汚さを肌で感じ、世界の不条理を心から葛藤している。トムからは社会に擦れてしまう前の子どもらしさが溢れているのに対し、ハックからは同じく社会に擦れてしまう前の、人間らしさと言えるものが溢れている気がする。どちらも、少年の特徴を捉えながらも捉え方は違っている。上巻を読み終えた時はなんか違うな、、、と思っていたが、非常に味わい深い作品だったように思う。トムの冒険がまさにお菓子のような、甘くて美味いものなら、ハックのそれは乾物みたいなもんである。真剣勝負のハラハラな冒険劇もさることながら、少年の純粋な良心、純粋な目から問われる、社会や人間の汚さ、その世界に翻弄され、葛藤し、逃げながら、戦う主人公ハックと、友達になりたいと思わざるを得ないような、歴史的な少年文学の傑作である。

  • というわけでこれが「海外の長篇ベスト100」の第20位でした。

  • ネタバレありです。

     つまるところ、トム・ソーヤというキャラクターが好きかどうかで、この巻の好き嫌いは分かれるのではないでしょうか。ジムとハックのロードムービーからうって変わって2巻中盤からはトム・ソーヤ劇場です。決して面白くなくはないんですが、悪のりがすごいんです。まあ王様と公爵もひどかったので、言ってみれば2冊あわせて大半を悪のりが占めているとも言えなくもないわけですが、なんでしょう、トムは基本的にもっと安全なところにいてサバイバルではないので鼻につくのでしょうか。その、周囲の人間も読者をも唖然とさせるような悪のりこそがトム・ソーヤの持ち味なわけなので、良い悪いではなくて本当に好き嫌いの問題なんですが、僕は真面目なハックが好きです。

     小4息子の感想「冒険いっぱいだった!」。小6娘の感想「 でもトムや公爵や考えること・やることがおかしすぎてついていけない部分もあった」。トムや公爵には子供たちも「なにやってんだよ!(*゜Q゜*) 」って感じで笑いながら呆れてました。

  • ユーモアのなかに哀愁も感じる。

  • この物語は、黒人奴隷であったジムと父親に虐待をうけていたハックが自由を求め冒険に出る物語です。この物語の中ではハックの父親の死体が川から流れてくるシーンがありました。死体は道端や街中、家で見つかった方が自然であるような気がしますがそうではなく川であったのにとても不思議な気がしました。何故川である必要があったか少しですが私なりに考えていきたいと思います。
    ハックとジムが旅に出るのもこの川からでした。いい代えると日常的な自然である川が非日常的な世界の入り口でありました。そこで、ハックは父親から虐待をうける恐ろしさから、ジムは奴隷という立場など自分の回りの環境がもたらす抑圧から解放されて自由を手にいれることができたのです。これは、自然の中に自分の存在を置くことで社会の中に自分の存在を置くときに生まれる選ぶことが出来ない環境から与えられる苦悩から、解放されたからではないでしょうか。川でなければ成らなかったのは、ハックにとって大きな存在である父親が川によって簡単に流されることにより、社会の中で与えられる存在や位置付けは自然の中では無意味だということを示したかったのではないでしょうか。

  • [配架場所]2F展示 [請求記号]B-933/Tw/2 [資料番号]2012300102

  • ハックの選ぶ方法がいちいち好きだし、物事のがんばりどころとあきらめどころが凄くいい。

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著者プロフィール

マーク・トウェイン 1835年ミズーリ州フロリダに生まれる。4歳のとき、ミシシッピ川沿いの村に移り住み、自然に恵まれた少年時代を過ごす。12歳で父親を亡くし、生活のために印刷工、蒸気船の水先案内人、新聞記者など様々な職業についたが、やがて『トム・ソーヤーの冒険』『ハックルベリー・フィンの冒険』『王子と乞食』など多くのすぐれた作品を世に送り出し、アメリカの国民的作家となった。

「2019年 『さらわれたオレオマーガリン王子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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