新編 悪魔の辞典 (岩波文庫)

制作 : Ambrose Bierce  西川 正身 
  • 岩波書店 (1997年1月16日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003231227

作品紹介・あらすじ

風刺と機知に富む社会批評で、アメリカ草創期のジャーナリズムで辛辣な筆を揮ったビアス(一八四二‐一九一三)の箴言警句集。芥川龍之介の『侏儒の言葉』にも大きな影響を与えた。名訳の誉れ高い旧訳にさらに手を入れ多くの新項目を加えた決定版。

新編 悪魔の辞典 (岩波文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 日本には「寸鉄人を刺す」という言葉がある。この言葉を、遙か海の向こうアメリカのアンブローズ・ビアスさんに贈りたいと思う。

    『悪魔の辞典』との最初の出会いは高校の英語の授業に遡る。先生は熱心な方で、毎時間はじめにちょっとした英語のフレーズを紹介して下さるのが常だった。ある日黒板に書かれたのがこれ。
    "Happiness, n. An agreeable sensation arising from contemplating the misery of another."(幸せ、名詞:他の不幸について考えることから生じる快い感覚。)
    うおっ、と思った。何かが電流のように背筋を走り抜けた。優れたブラックジョークだけがもたらしてくれる、あの快感だ。その瞬間、ビアスにやられっちまったんだ。授業でこの本を取り上げたのは、教師という立場を考えるとなかなか思い切ったチョイスだったと今にして思う。先生ありがとう。

    数年後、思わぬ形でビアスと再会することになった。当時、私は近代日本文学に夢中になっていた。中でも芥川に惚れ込んだ。全集を一巻から順に、図書館から借り出したものだ。そんな中で彼の『侏儒の言葉』を読んだ。真っ先に思い出したのが『悪魔の辞典』だった。日本にアムブロオズ・ビイアスを紹介したのは他ならぬ芥川龍之介だと知ったのはその時のことだ。芥川の作風を思い浮かべて、なんだか妙に納得したのを覚えている。

    そんなわけで、私はビアスと二度出会った。ビアスの作品は決して万人には勧められない。全くもって勧められないのだが、それでも、私にとっては不思議な縁を感じる文筆家なのである。

    最後になるが、私をこんなにもひねくれた冷笑家に育て上げて下さったビアス御大には、心からの感謝の念を捧げたい。





    感謝の念(gratitude n.)
    すでに受けた恩恵とこれから期待する恩恵との中間に位する感情。

    • 佐藤史緒さん
      突然すみません、紅茶です。
      さっき操作ミスでフォローを解除してしまったので、慌てて再フォローさせてもらった次第です。挙動不審なことをしてしまってすみませんでした(汗)

      『悪魔の事典』文庫で出ていたのですね。知りませんでした。ratsさんのレヴューを読んで、俄然読みたくなりました。情報提供ありがとうございました。

      あと遅ればせながら、進級おめでとうございます。学業のさらなる御発展を心からお祈りいたします!
      2012/04/24
    • ratsさん
      紅茶さん、こんばんは。ratsです。
      最初は紅茶さんが二人!?とびっくりしましたが(笑)なるほどそういうことでしたか、納得です。

      『悪魔の辞典』ですが、私も最初に読んだのは筒井版の単行本でした。文庫では岩波と角川から出ているようです。こういう箴言の類はたまーに読み返したくなるものですよね。

      おかげさまで無事進級できました。二年生の前期は時間に余裕があるので、専門に向けて自分の勉強の時間が取れそうです。もちろん読書時間も!

      紅茶さんのレビュー、いつも楽しく拝見しております。これからもよろしくお願いします!
      2012/04/24
    • 佐藤史緒さん
      こちらこそよろしくお願いします。
      いつもratsさんのレビューを拝読するたびに、10代でよくもここまでの文章を書けるものだと感心させられます。(自分が読んだことのある作品にしか花丸を打たない方針なので、つけた花丸の数は比較的控えめですが、つけていないレヴューにも感銘を受けたものはたくさんあります。)「今時の若者はなってない」とか「これだからゆとりは」とかいう年寄りの繰り言がいかに偏見に満ちた根拠薄弱なものか、これだけでわかろうというものです。

      こうしてお互いの存在を知ることができたのも何かのご縁でしょう。お互い邁進すべき本業は別にありますから、なかなか思うように読書が進まない時期もあるとは思いますが、これからもブクログを通してゆるーく繋がっていけたら良いなと思います。

      お互いに、これからも素敵な書物との出会いに恵まれると良いですね。それでは!
      2012/04/26
  • この辞典を開くと、最初は愛国者から始まる(そう、愛は存在しない)。内容はこうだ。「部分の利害のほうが全体のそれよりも大事だと考えているらしい人。政治家に手もなくだまされるお人よし。征服者のお先棒をかつぐ人。」ははは。南北戦争の兵隊上がりのジャーナリストにとって、ペンと銃の区別など必要なかったようだ。敵兵だろうが言葉だろうが、対象を狙い定めてただ容赦なく打ち抜くのみ。乾いた時代には乾いたユーモアが良く似合う。巻末にある長田弘氏による解説は、本文の徹底した辛辣さの中に潜む誠実さを見事なまでに炙り出している。

  • 注目すべき点はp.294「人間の心は一定量の愛情しか持たない。従って、対象の数が多くなれば多くなるほど、一つ一つの対象が受ける愛情は、それだけ分量が少なくなる」である。これを念頭に入れてから読んだ方が、効力は一層大きくなる。

  • たぶん、ずっと「いま読んでる」

  • 「誰だって頑張ってるんだよ!」「信じれば夢は叶う!」みたいな言葉に吐き気を催す人へ。ビアスの真骨頂。

  • 「お前、A〜Zまでこんなに悲観的な定義拵えやがってそんなヒマだったんか」と突っ込みたくなる毒舌集。言うなれば2ちゃんねらーの鑑。

    ただ、切れ味はもう一つというか、もっと刺しにくるような訳だと良かったかも。
    だから筒井訳も読んでみたくなる。

    短編作家としてはシニカルさに彩られた名作をバンバン書いてた人だけど、こちらはお遊び的な要素が強い。

  • 色々嫌になった時に読むと、スッキリするか、もっと嫌になるか。

  • 辞典の形をとった随筆で知識の宝庫
    この本自体が135ページの「造語」に
    値するのかもしれない
    毎回開いたどこから読み始めても問題なし
    暇つぶしの知識のお散歩に連れ立つのに
    適しているとも言えそうだ

    無駄な知識に興味のない私には退屈だけれど
    134ページの「象の鼻」などは
    ユーモアを楽しめる人ならば
    この本を読みこなしたことになれるだろう
    しかし呉れ呉れもこの世をはかなんで
    高い崖から身を乗り出さないように
    お願いします

  • ユーモアあふれる毒舌で現実を痛快に皮肉る!
    ご賞味あれ。

  • これは痛快にして悪魔。
    相当の皮肉屋さんだ。ふふっと笑ってしまう。
    諧謔がある。風刺がある。
    現代ならミニブログ系SNSで持て囃されるのかも。

    皮肉とは真実を不愉快に言い表すことだ、っていうのを耳にしたことがある。まさにそういう言葉のオンパレード。表現の在り方の幅を見せつける。

    もちろん辞書として編まれているのでどこからでも読める仕組みになっている。

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