- Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003231234
作品紹介・あらすじ
『悪魔の辞典』のビアスはまた、芥川竜之介が「短編小説を組み立てさせれば彼ほど鋭い技巧家は少ない」と称賛した短篇小説の名手である。北軍の義勇兵として南北戦争の激戦地で戦い続けたビアスは、この戦争で人間の生死をつぶさに眺め、人間をみつめ、社会を知った。短篇集『いのちの半ばに』他から15篇を収録。
感想・レビュー・書評
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ビアスといえば『悪魔の辞典』が有名だけれど、小説も実に巧い。ポーの再来だとか、芥川の元ネタだとか、頷ける。気が利いている。
とりあえず、どの話も、ことごとく人が死ぬ。だが、それをあくまで地面に足を付けたまま書いている。皮肉に唇を歪めて死を睨めつける作者の顔がページの裏に透けて見えるようだ。持ち前のシニカルな筆致で淡々と物語を語り、最後に鮮やかに落とす。短編小説の醍醐味が存分に味わえる。
ビアスの描く死は、単なるおとぎばなしのスパイスではない。凝ったプロットに使うための小道具ではない。読者を感動させようと意図された悲劇ではまったくない。もっと確かなもの、乾いてざらざらしているもの。鼻歌歌いながら歩いていて、ふと振り返ったら暗い路地の隙間からこっちを見ているような、なんだかそんなふうな死のかたちだ。
南北戦争での従軍経験。ビアスは戦場で何を見たのだろうか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
お手本のような短編小説には飽き飽きした方にオススメ。
『悪魔の辞典』で知られるビアスの短編集。
ビアスの短編の共通点は、「死」と「意外な結末」だ。
ジャーナリスティックで硬質な文体で描かれる幻想的な死。
そして、最後にズドンと来る結末。
ただ、現在では模倣しつくされ、結末の意外さはそれほど感じられない。
ビアス短編の中でも最高傑作が「アウル・クリーク鉄橋での出来事」。
他の収録作品と比べて、この作品だけが突出している。
後にも先にも存在しえない、模倣不可能な作品だ。
これを読むためだけでも、本書を手に取る価値がある。 -
文学
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芥川龍之介の「藪の中」のヒントになった作品があると聞いて読んでみた。
その作品も面白かったが、圧巻なのは第二部の南北戦争を描いた作品群。
感傷は最低限に、淡々と、軽妙にすら描かれることで、かえって背筋が寒くなる。
一番好きなのは、第三部の「猫の船荷」。 -
芥川龍之介の最高傑作『藪の中』の元ネタとなった『月明かりの道』を読めて感動。
評論家達に絶賛された『アウル・クリーク鉄橋での出来事』も期待を裏切らない作品。
あとはビアスの歪んだ少年時代の恨みをぶちまけるような近親殺しネタのオンパレードw -
挫折…(-_-;)
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この人、すごい。そして、こわい。
いわゆるスプラッタとかの怖さじゃなくて、運命のいたずらの怖さ、人間という生き物の怖さで、背筋がゾっとした。
どれもオチが凄い。 -
今読んでる最中だか、とても皮肉てきでおもしろい。「アウルクリーク鉄橋での出来事」を原作とした映画もあるが映像は汚いらしい(´・_・`)
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南北戦争時代に風刺を交えた小説を書いたビアス。短編小説を組みたせさせたら彼はやはりすごい。現在まで彼の技巧が語り継がれているのも納得。
いつか再読したいと思う。