大地 4 (岩波文庫 赤 320-4)

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  • Amazon.co.jp ・本 (410ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003232040

感想・レビュー・書評

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  • 山﨑豊子『大地の子』と同じ中国を背景にしたせいか、同質性を探ってしまう。人間も植物と同じように、種がまかれた時期・土壌に影響されて一生を過ごす。自分だけの力では生きてはいけない、逆に他からの圧力から逃れる事も出来ない。

  • 大地3部作も、この巻で完結です。3部では、王虎の息子・王元の視点から物語が描かれます。優秀だけれど、どこか煮え切らない王元の言動にイライラすることもありましたが、全て読み終えてみると、王元が抱えている生きづらさは、現代の私たちの生きる苦しみと重なるようにも思えます。
    自分の意思と無関係に、慣習や制度を押しつけられるのは辛いですが、逆に自由にも責任や選択肢の多さという新たな悩みの種が生まれます。
    自分に与えられた時代や境遇の中で、よりよく生きることの難しさを考えさせられる作品でした。

  • 大地 三部作の最終巻

    作者は結局 I代目夫婦に感情を移入できたけど、2代目以降は特になんの感情も持っていなかった それこそ孫そのI とかで良かったんじゃない?

    と思う程度に、第一部と比較すると2部 3部はウーンという感じです 特に2部の前半は、必要なのこの人たちという感じ

  • 匪賊と革命軍、古い価値観と新たな価値観。女性に結婚の選択権が無かった近代の中国。混乱期に西欧文化が侵食し、混沌としながらも少しずつ落ち着き、変貌を遂げた。その過渡期、王龍の孫にあたる王元を通じ、時代の劇的な変動と共に、旧価値観から見えるもの、新たな価値観から見える世界を味わわせてくれる。

    何かを手に入れるとは、どういうことなのか。王家は、結局、何も手に入れていないのか。快楽を得るだけが旧価値観との言葉も出てくるが、しかし、では、ここでいう新価値観とは何なのか。我々は、ただ、繋いでいるだけなのかも知れない。同じ時代背景からリアルさを感じるならば、ユン チアンのワイルドスワンや、莫言の作品の方が良いかも知れない。

  • 突然,父から結婚を無理強いされて,親子の溝の深さを思い知った元は,父に決別し革命運動に身を投じようとした矢先,捕えられ投獄されてしまう.何とか難を逃れて海外に留学し,新しい知識と文化を吸収しながら,次第に母国への思いを深める元.革命を知って帰国した彼を迎えた中国の現実は,苦いものだった.(Amazonより)
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    壮大な?中国近代サーガ完結です!
    若く新しい男である王元は、留学生活の中でほのかな恋と挫折を味わいながらも貪欲に知識を吸収して祖国に役立てたいと奮闘します。

    大学の老教授と親しくなり、家族ぐるみの付き合いをするようになって、教会へも足を運んだり。

    この老教授いいですね~。
    新天地で不安になってる若者にとっては何よりもありがたいのでは?

    ここの娘と、淡い恋もあるのですが、なかなか手ごわい感じの女性です。

    ただ、祖国でも疎外感を感じていた彼は、留学先でも当然のごとく同様以上の疎外感を感じて引きこもってます。
    それで、何か違うと感じていたはずの祖国を美化し、懐かしく思い、中国の庶民の話をする牧師に大反論したり...

    でも、革命と聞いて戻ってきた祖国には、留学中に美化しすぎた部分もあってやっぱり馴染めない。

    うん、王元はあれですね、
    「ここではないどこか」症候群ですね。
    (←勝手に名付けた)

    どこにいても、自分の居場所はここじゃない、と思い悩んでしまうタイプ。

    そんな王元さんにはこの本をどうぞ!
    「置かれた場所で咲きなさい」
    by渡辺和子

    ってのは置いておいて、ともあれ最後は
    思いを寄せる美齢さんと結婚できそうで何より。

    無事に完結したのですが...
    個人的には、もう少し歴史的事実を加えて欲しかった。
    少しでいいの、少しで。

    たとえば、
    「間もなく辛亥の世が明けることになる」とか
    「世界は大規模な戦争に入って行った」とか
    その程度でもいいの。

    歴史的事実があればもっと、
    初代王龍二代目王虎、そして三代目の王元の
    生活や感情の移り変わりが納得できたかなぁ~って...

    書いてないわけじゃないのよ、もちろん。
    「革命」「戦争」の文字は。
    でもたくさん革命あったじゃない?
    戦争も日中とかアヘンとかあれこれあるじゃない?

    そのへんがもっと分かるとよかったなぁ。
    近代の人々の思いがせっかくぎゅっとつまってるんだから...

    誰かそのあたり、注釈付けて再発行してもらえないでしょうか~
    自分ではたぶん出来ないと思うので><

    ...ないよね(笑

  • 現代の感覚で読むと何マゴマゴしているんだと主人公に感情移入できないが、時代が大きく変わる様は面白い。

  • 今年の夏の長編読書.中学生の子供がとても感動していたと言っていたので読むことにした.
    20世紀初頭の大きく社会が変動した時期の中国を背景に描かれる王一族三代にわたる年代記.極貧から身を起こし大地主になる王龍,王龍の性格の全く違う側面を受け継いだ王一,王二,王虎.軍人王虎の息子,元は精神的には王龍の後継者だが,時代には抗しきれず,自分の存在の根源にある大地になかなか戻ることができない.
    私はその三代のいずれにもある部分で共感を抱きながら読んだ.中国の家族,社会を舞台にした小説だが,世代間の葛藤,夫婦の関係といった、いつの時代でも,そしてどこの国でも,多くの人がそれぞれの年代で出会うことが主題であり,そういう意味ではこの王一族の物語は読者の家族の物語でもある.

    素朴とまで言えるような,持って回った表現がほとんどない文章で,難しい語彙も全くなく,それこそ中学生でも十分読める.そして私のような年代で読んでも,あるいは何十年か経って読んでも,それぞれ,また違った感じ方で読むことができるだろう.懐の深い小説.

  •  中国の近代史のどの時点の話なのかが、今一よくわかりませんでした。

  • すすめられて読んだ本です。
    淡々とした文章が読んでいて心地よかったです。
    さまざまな登場人物が醸し出す人間像が興味深く、
    また人間の欲望が時代背景とともに
    変化していく様も3代に渡るストーリーだから
    描けたのでしょう。読み応えがありました。
    (一)が大地と結びついた人間本来の姿を描いていて
    評価も高いのでしょうが、私は(四)の王元の
    悩む姿に共感できました。

  • 王元の物語、つづき。

    時代も国も違うのに、共感するところが沢山あった。人物の心理描写が丁寧だからか。ノーベル賞作家ってすごいんだな。

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著者プロフィール

(Pearl Sydenstricker Buck)
1892-1973。アメリカの作家。ウェスト・ヴァージニアに生まれる。生後まもなく宣教師の両親に連れられて中国に渡り、アメリカの大学で教育を受けるため一時帰国したほかは長く中国に滞在し、その体験を通して、女性あるいは母親としての目から人々と生活に深い理解をもって多くの作品を発表した。1932年に『大地』でピュリッツァー賞を、38年にはノーベル文学賞を受賞。また1941年に東西協会設立、48年にウェルカム・ハウスの開設と運営に尽力するなど、人類はみな同胞と願う博愛にみちた平和運動家としても活躍した。

「2013年 『母よ嘆くなかれ 〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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