- Amazon.co.jp ・本 (410ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003232040
感想・レビュー・書評
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山﨑豊子『大地の子』と同じ中国を背景にしたせいか、同質性を探ってしまう。人間も植物と同じように、種がまかれた時期・土壌に影響されて一生を過ごす。自分だけの力では生きてはいけない、逆に他からの圧力から逃れる事も出来ない。
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大地3部作も、この巻で完結です。3部では、王虎の息子・王元の視点から物語が描かれます。優秀だけれど、どこか煮え切らない王元の言動にイライラすることもありましたが、全て読み終えてみると、王元が抱えている生きづらさは、現代の私たちの生きる苦しみと重なるようにも思えます。
自分の意思と無関係に、慣習や制度を押しつけられるのは辛いですが、逆に自由にも責任や選択肢の多さという新たな悩みの種が生まれます。
自分に与えられた時代や境遇の中で、よりよく生きることの難しさを考えさせられる作品でした。 -
大地 三部作の最終巻
作者は結局 I代目夫婦に感情を移入できたけど、2代目以降は特になんの感情も持っていなかった それこそ孫そのI とかで良かったんじゃない?
と思う程度に、第一部と比較すると2部 3部はウーンという感じです 特に2部の前半は、必要なのこの人たちという感じ -
匪賊と革命軍、古い価値観と新たな価値観。女性に結婚の選択権が無かった近代の中国。混乱期に西欧文化が侵食し、混沌としながらも少しずつ落ち着き、変貌を遂げた。その過渡期、王龍の孫にあたる王元を通じ、時代の劇的な変動と共に、旧価値観から見えるもの、新たな価値観から見える世界を味わわせてくれる。
何かを手に入れるとは、どういうことなのか。王家は、結局、何も手に入れていないのか。快楽を得るだけが旧価値観との言葉も出てくるが、しかし、では、ここでいう新価値観とは何なのか。我々は、ただ、繋いでいるだけなのかも知れない。同じ時代背景からリアルさを感じるならば、ユン チアンのワイルドスワンや、莫言の作品の方が良いかも知れない。 -
現代の感覚で読むと何マゴマゴしているんだと主人公に感情移入できないが、時代が大きく変わる様は面白い。
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今年の夏の長編読書.中学生の子供がとても感動していたと言っていたので読むことにした.
20世紀初頭の大きく社会が変動した時期の中国を背景に描かれる王一族三代にわたる年代記.極貧から身を起こし大地主になる王龍,王龍の性格の全く違う側面を受け継いだ王一,王二,王虎.軍人王虎の息子,元は精神的には王龍の後継者だが,時代には抗しきれず,自分の存在の根源にある大地になかなか戻ることができない.
私はその三代のいずれにもある部分で共感を抱きながら読んだ.中国の家族,社会を舞台にした小説だが,世代間の葛藤,夫婦の関係といった、いつの時代でも,そしてどこの国でも,多くの人がそれぞれの年代で出会うことが主題であり,そういう意味ではこの王一族の物語は読者の家族の物語でもある.
素朴とまで言えるような,持って回った表現がほとんどない文章で,難しい語彙も全くなく,それこそ中学生でも十分読める.そして私のような年代で読んでも,あるいは何十年か経って読んでも,それぞれ,また違った感じ方で読むことができるだろう.懐の深い小説. -
中国の近代史のどの時点の話なのかが、今一よくわかりませんでした。
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すすめられて読んだ本です。
淡々とした文章が読んでいて心地よかったです。
さまざまな登場人物が醸し出す人間像が興味深く、
また人間の欲望が時代背景とともに
変化していく様も3代に渡るストーリーだから
描けたのでしょう。読み応えがありました。
(一)が大地と結びついた人間本来の姿を描いていて
評価も高いのでしょうが、私は(四)の王元の
悩む姿に共感できました。 -
王元の物語、つづき。
時代も国も違うのに、共感するところが沢山あった。人物の心理描写が丁寧だからか。ノーベル賞作家ってすごいんだな。