ブラック・ボーイ 下 ある幼少期の記録 (岩波文庫 赤328-2)
- 岩波書店 (2009年12月16日発売)
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感想 : 8件
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Amazon.co.jp ・本 (292ページ) / ISBN・EAN: 9784003232828
感想・レビュー・書評
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ようやく、息苦しい実家を離れられる年齢になったリチャードは、金をためて(ここで彼は生涯唯一の詐欺と盗みを働く)メンフィスに行き、職をさがして自活する。白人からの、「人間以下」の扱いを思いしらされながらも、唯一の協力者を見つけて、図書館で本を借りるようになり、むさぼるように本を読みはじめる。
本を媒介に、心のなかの世界が一気に広がるあたりの描写はほんとうに美しくて胸を打たれた。
この本で描かれているのは、ついにシカゴへ向かう列車にのるまで。解説によるとそのシカゴで著者はジョン・リードクラブという芸術家の団体に入って、一気に才能を開花させ、賞をとって小説家として身を立てることになる。しかし、この『ブラック・ボーイ』のあとは、目立った傑作はないのだという。たとえそうではあっても、彼の記した足跡をたどって、また多くの黒人作家たちが生まれたわけで。わたしは今回、初めて読んだのだけど、ここを起点にまた今まで読んだ物を読みかえしたり、べつのものを読んだり、少しずつ進めていきたいな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
13/6/2022
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黒人として生きる過酷さが精神的な部分から描かれている。読むのが辛くなるほどのリアルさと著者の読書への抑えられない想いなど、全く飽きる事なく読めました。今読めて良かったです。
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上下まとめて。
アメリカ南部出身のライトの少年時代の自伝。
白人からリンチという不文律に縛られた黒人達は、生きるために愚かに振る舞う。
ライトは、幼い頃から世間に揉まれて、タフになったけど、周囲からは疎まれる。
本に出会った事で、世界が広がり、北部シカゴに脱出する。
人はみんな、好き嫌いを問わず、育った環境によって形作られていて、例え黒人にとってのアメリカ南部のような厳しい地で育っても、新たな土地で自分の中の花を咲かせることが可能である事をライトは信じてした。 -
黒人作家の作品を初めて読んだ。リチャード・ライトの自伝的小説で「ある幼少期の記録」というように、彼の生まれた南部を脱出するまでのことが描かれている。
世界中で虐げられている人々は、ユダヤ民族や、奴隷として連れてこられたアフリカ系黒人、朝鮮半島での両班(ヤンバン)に虐げられた賤民が思い浮かぶ。
そんな中でもいわゆる黒人と言われる人々の文学には触れたことがなかった。今回この「ブラック・ボーイ」でアメリカの、それもアメリカ南部の独特な黒人に対する白人の接し方、アメリカ社会における黒人のおかれた立場を垣間見る思いがした。いろんな本やドラマ、映画で知っているつもりだったのに、読んでいてあらためて衝撃を受けた。それはやはり作家ライト本人が黒人であり、その人生の一部を落ち着いて赤裸々に語っているからだろう。
翻訳は野崎孝氏だ。「グレート・ギャッツビー」などアメリカ文学を多数手掛けている。とても読み易いと思えたのも、氏の翻訳が良かったからなのかもしれない。 -
終盤の、読書に浸る主人公がたまらなく清々しい。(前半の人種差別描写があるからこそ、より感動する)
著者プロフィール
リチャード・ライトの作品
