フィッツジェラルド短篇集 (岩波文庫 赤 334-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003233412

感想・レビュー・書評

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  • 「短篇集の決定版を編むつもりで、収録作品は奇をてらうことなく、声価の定まった、いわゆる代表作とされるもののうちから選ぶことにした」と編訳者が書いているだけあって、きゅっと締まったそれぞれに色合いが異なる短編が収められている。訳文も読みやすく、自分としては手に取って正解だった。

    ほぼ発表順の収録で、徐々にトーンが渋みを増していく。自分には後半3編が特に味わい深い。どの話も何かが損なわれてしまうことを描いているのだが、後半の作品のほうに、主人公たちの暮らしがその後も続いていく気配が強くあるのが好みだった。

  • 特に最初に出てくる「リッツ・ホテルほどもある超特大のダイヤモンド」が素晴らしかったと思います。短篇集の中では一番現実離れした作品ですが、これが書かれた時代を考えると、妙にありそうな感じがするのですよね。

  • どこか物寂しい恋愛話が多かったが、全体として面白い話が多く楽しく読めた。

  • これは拾い物だったな〜。フィッツジェラルドというと『ギャツビー』のような20年代金持ち青年の孤独ものばかりかと思いきや『リッツ・ホテルほどもある超特大のダイヤモンド』は生き生きと子供の想像力に満ちていて、稲垣足穂か星新一かって感じもしましたよ。もちろん『バビロン再訪』など彼らしい作品も魅惑的。

  • 途中で読むの疲れた。

  • 訳:佐伯泰樹
    リッツ・ホテルほどもある超特大のダイヤモンド◆メイ・デイ◆冬の夢◆金持ち階級の青年◆バビロン再訪◆狂った日曜日

  • かなり面白く読んだ。テーマパーク化した社会で生きる虚しさのようなものが滲み出ている

  • 世界の美しさと残酷さ。20年代の芳しい空気。すべてがきらきらと光っていて一瞬で消えていく、この、あまりの悲しさに、フィッツジェラルドが見た人生とは、と深く考え込んでしまって動けなくなった。冬の夢、いつか見た夢、それは全部冬の夢なのである。夏の夢じゃない。悲しくて、寂しくて、愚かで、救いがあるように思えた夢。こういう本が本当に好きだ。こういう本こそが人生の糧であると強く思う。
    あと、翻訳がとても好き。冬の夢の言葉の一語一句のあまりの素晴らしさに、光文社の翻訳と読み比べてみたけれども、全然違う。美しさと胸にはいってくる強さが全然違う。

  • いいな。すごい好き。特に前半3つくらいが好き。愛だとか恋だとか、派手に豪奢に。バブリー?
    「冬の夢」は、村上春樹の「回転木馬のデッドヒート」収録の『今は亡き王女のための』の下敷きだよなぁ。村上が影響を受けていること、なおかつ違いが鮮明に現れてて一番楽しく読んだ。

  • 彼の作品は人の崩壊、破滅を
    よく捉えていると思います。
    本当のことを行っておくと、出てくる作品は
    全部バッドエンドととってもいいぐらいです。
    ですが、まだ救いのある終わり方もあります。

    興味深い作品は
    あらぬ未来を描いていたものの
    崩壊によりすべてが水泡に帰してしまう
    「リッツ・ホテル…」や
    お金持ち、しいてはマネー・ゲームを皮肉った
    「金持ち階級の青年」
    決してこれらの作品は幸せにはなりません。

    だけれども読後に不快感はないのです。
    本当に不思議。
    むしろ彼の作品をいろいろ読みたいな、と思わせて
    くれるのですから…

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著者プロフィール

1896~1940  1920年、処女長篇『楽園のこちら側』がベストセラーとなり、妻のゼルダと共に時代の寵児ともてはやされるが、華やかな社交と奔放な生活の果てにアルコールに溺れ、失意のうちに死去。『グレート・ギャツビー』『夜はやさし』等長篇数作と数多くの短篇を残した。

「2022年 『最後の大君』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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