ニーベルンゲンの歌〈後編〉 (岩波文庫)

制作 : 相良 守峯 
  • 岩波書店
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レビュー : 22
  • Amazon.co.jp ・本 (353ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003240120

感想・レビュー・書評

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  • 再読。北欧神話の流れで英雄譚+恋愛もの要素の強かった前編と違って、後半はクリエムヒルトの復讐に名を借りた部族間の争いと戦争の史実の物語化。

    ジーフリト亡き後、フン族のエッツェル王と再婚したクリエムヒルトはしかし前夫を殺された恨みつらみを忘れられず復讐するために実行犯ハゲネと自分の兄弟たちを招待、歓迎するふりで大虐殺という暴挙に出る。

    ハゲネ憎しの気持ちはわからないでもないけど、自分に優しくしてくれた兄弟まで殺して心痛まないのかな…しかも個人の恨みが国単位の戦争になってものすごい数の人間がクリエムヒルトのエゴのために死ぬ。何度か「鬼女」と罵られるけどまさにその通り。しかもどうも彼女の言いぐさ、夫を殺された恨みより財宝奪われた恨みのほうが強そう。結局最後まで自分は、クリエムヒルトを夫の仇をとった貞女、健気という見方はできず、身勝手すぎて苦手だった・・・。

    ジーフリトを暗殺したハゲネは一応悪役ということになるのだろうけど、それほど人間性に問題あるとは思えない。むしろ楽師フォルケールとの友情や、辺境伯リュエデゲールとのやりとりなど、ハゲネ側のほうが騎士道物語にありがちな義理人情を重んじる好人物に見えてしまった。

    ハゲネを苦しめるためなら自分の兄王の首までバッサリやっちゃうクリエムヒルトは人としてかなりクズ。そのあまりのクズっぷりに味方からぶった切られちゃったのを痛快がられるヒロインって・・・とりあえずなんかすごい。

    • 淳水堂さん


      こんばんは(^O^)



      下巻は、前半のメロドラマ展開と打って変っての大虐殺の連続でびっくりですよね。

      どちらかの軍...


      こんばんは(^O^)



      下巻は、前半のメロドラマ展開と打って変っての大虐殺の連続でびっくりですよね。

      どちらかの軍が閉じ込められ火をかけられた場面で、
       兵1「喉が渇いてたまらん」
       兵2「それなら味方兵士の死体の血を飲むんだ!」
       兵1「(血を飲んで)おお!知らなかった!血がこんなにうまいとは!」
      …という場面で、「この民族とは遺伝子が違うわ~ (@。@;)」と思いましたよ(苦笑)。



      さて、「ニーベルンゲンの指輪」の映画版は、
      伝承やワグナー歌劇の映画化ではなく、伝承を現実に当てはめたような映画です。ワグナー音楽も使われません。

      ジークフリートは滅ぼされた国から逃がされた王子、ブリュンヒルデはアイスランドン女王で、彼らの信じる神はオーディンを中心とする古き北欧の神々。
      それに対してグンター王たちは新しいキリスト教を信仰し、
      古い神々が新しい神々に追いやられて去る…みたいな。


      竜退治はするし、指輪の持ち主の民族は半透明で出てくるからまったく伝承を排除したわけではないのですが、「あの伝説が現実だったらこんなだったんだろうな」と言う感じ。

      機会があればぜひ~~。


      2016/08/22
    • yamaitsuさん
      淳水堂さん、コメントありがとうございます!

      血を飲むシーンありましたね~(@_@;)
      あんたたちは吸血鬼か!とビックリしました。いや...
      淳水堂さん、コメントありがとうございます!

      血を飲むシーンありましたね~(@_@;)
      あんたたちは吸血鬼か!とビックリしました。いや興味深くはありますけどね、血液になんらかのパワーが宿ってるみたいな原始的な信仰とか、突き詰めれば何か出てくるのかもしれません・・・

      映画版「~指輪」はそういう感じなのですか・・・なるほど。「~歌」も後半は、フン族とブルゴンド族の争いや滅亡の史実を物語に当てはめたものみたいですし、古い神様を滅ぼすのを物語化しちゃうのはキリスト教の定番のやりくちですね(苦笑)

      トールキンの「指輪物語」が大好きなので、ルーツをたどる意味でもニーベルンゲンのほうの指輪も機会があれば是非見たいです!
      2016/08/23
  • 新書文庫

  • 本来4行詩で表現されているので、日本語にするという試み自体に無理がある。が、クライマックスはそれなりに盛り上がる。

  • 人間はいつまでたってもバカだバカだと思っていたが、何の、昔の人に比べたら相当進化している。
    野蛮で頭が悪くて自己中の嫌なヤツばかり出てきます。

  • めちゃくちゃおもろい。姫めっちゃ血を呼んでる

  • 豪奢華麗な前編と打って変わり、後編は強烈な血の嵐。愛と嫉妬の宮廷劇から復讐を叙にした男臭ァい騎士道物語へ様変わりする。火責めに危して酒の変わりに屍の血をすする描写にはゾッとした。

    解説より、前編・後編を代表する精神はそれぞれ「名誉(もしくは誉れ)」と「忠誠(ないしは真心)」であり、これは中世騎士道徳の二大支柱とのこと。

    仇ハゲネと楽師フォルケールの友情には心惹かれるものの、そのキレ方にはついていけなかった。復讐の鬼と化した絶世美女クリエムヒルトが魅力的。前編では対を成したブリュンヒルト妃の活躍がなく残念。フン族のエッツェル王が不憫。グンテル王弟の若武者ギーゼルヘルがなんだか気になる!

    予想以上に面白くて満足。個人的にはロマンティックな前編が好み。本作は「ドイツのイリヤス」と称せられるらしく、古代ギリシアの叙事詩『イリアス』(ホメロス著)も読んでみたいと思った。

    (第三十八歌章2323節より)
    「何びとも悲しみのため死ぬことができぬとは、なんと心憂いことだ。」

  • ジークフリートを失ったクリエムヒルトはいよいよ復習を実行する
    フン族の後妻として再婚したクリエムヒルトは実家の家族を招待する
    ハゲネの反対があったものの、ハンガリーへ旅立った一行は宴の夜にクリエムヒルトの部下に急襲され、その後戦いは両方の部族全てが死に絶える
    これをニーベルンゲンの悲劇と伝えられた

  • 浦野所有

    ラインのほとりからアイスランドへ、そしてはるか東のハンガリーへ。ヨーロッパを舞台にした壮大な叙事詩『ニーベルンゲンの歌』の後編は、愛する夫ジーフリトを殺されたクリエムヒルトの復讐物語。クリエムヒルトの策略に踊らされるフン族と、その復讐相手であるハゲネとフォルケールの活躍を中心に、話は展開します。

    後編は何といっても、数々の修羅場で生々しい描写が続くのが印象的。それにしても、「殺しすぎだろう」ってくらいに人が死んでいきます。

    <2114~2115節>
    するとトロネゲのハゲネがいった、「気高い天晴れな騎士たち、
    咽喉(のど)の渇いた人はここで血を啜(すす)るがよい。
    こう暑ければそれは酒よりもうまいぞ。
    今の場合、これにまさるものはまずあるまい」

    そこで一人の勇士が、死骸のそばに行ってその傷口のところにひざまずき、
    兜の紐を解いて流れる血潮を飲みはじめた。
    こんな経験は初めてであるけれども、
    彼はたまらなくうまいと思った。

  • イリヤスの方が古いにも関わらず、一応あちらは「ホメロス作」ということで全世界共通認識が持たれているのに対し、こちらの方が新しいにも関わらずこちらは「パッサウからウィーンに至るドナウ地方出身の詩人」という以上には作者に関して世界的な統一見解というものが持たれていません。  そしてこの叙事詩は「ニーベルンゲン詩節」と呼ばれる一種独特の形式、リズム感で書かれている韻文なのだそうですが、ドイツ語の読めない KiKi にはそれがどれほど素晴らしいものなのか、正直なところ漠然・・・・としかわかりません。  もっともこの韻文を翻訳されていらっしゃる相良守峯さんのご努力のおかげで、とっても味わいのある訳文がいかにも「歌」という雰囲気を醸し出してくれています。

    前編は19歌章、後編は20歌章から成り、ゲーテは「前編はより多く華麗、後編はより多く強烈。  しかし両編ともその内容において、また形式において、相互にまったく均衡を保っている。」と仰っているとか・・・・、確かにその通りで前編はきらびやかな宮廷生活描写や明るいジーフリトのおかげでゴージャス感に溢れています。  これに対して後編はクリエムヒルトの結婚 & リュエデゲールの元での祝宴あたりまでは辛うじて華麗な感じを保っているものの、それでもどこかに最後にぱっと燃えさかるロウソクの炎のような、そして仇花的な雰囲気もあり、グンテル王御一行様がエッツェル王の宮殿に到着してからは血みどろ、力(Power)のインフレ、火責め、壮絶・・・・・と恐ろしい世界が繰り広げられ、そして誰もいなくなった・・・・(嘆息) っていう感じです。

    (全文はブログにて)

  • 前編に同じ。叙事詩、悲劇、英雄、運命、恋、……、様々なものの結晶(原石)をここに見出すことができる。

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