若きウェルテルの悩み (岩波文庫 赤 405-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (275ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003240519

作品紹介・あらすじ

親友のいいなずけロッテに対するウェルテルのひたむきな愛とその破局を描いたこの書簡体小説には、ゲーテ(1749‐1832)が味わった若き日の情感と陶酔、不安と絶望が類いまれな抒情の言葉をもって吐露されている。晩年、詩人は「もし生涯に『ウェルテル』が自分のために書かれたと感じるような時期がないなら、その人は不幸だ」と語った。

感想・レビュー・書評

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  • 豆苗さんの感想を読んで、ゲーテに、挑戦(図書館で)してみたいと思いました。

  • それまで冒険小説などのいわゆる娯楽小説が大半を占めていた中でいわゆる私小説というジャンルを創設したのがゲーテ。啓蒙主義に基づいた理性への信頼全盛の時代にあって、恋愛にまつわる激情を描き出した画期性はたしかにあったのだろう。あったのだろうけど人生経験の乏しさゆえか、そこまで没入は出来なかった。ゲーテに言わせればウェルテルに共感できない僕はまだまだ不幸な人間なんだろう。
    しかし、表現がいちいちロマンチックで刺さった。一番好きなのはこれかな。
    「ときどき不可解な気がする。私がこれほどまでにただあのひとだけを、これほどにも熱く、これほどにも胸いっぱいに愛して、あのひとのほかには何も知らず、何も解せず、何も持ってはいないのに、どうしてほかの男があの人を愛することができるのだろう?愛することが許されるのだろう?」
    芸術のみならず実務方面でも才能に恵まれて、世俗的成功は意のままのウェルテルが本当に欲しいものは手に入れられないことの哀しさをこれほどまでに痛切に伝える文があるだろうか。

  • まさに疾風怒濤という小説で、主人公が畳み掛けるように心理が変化していく様が痛いほど分かった。様々なモチーフや風景描写が随所に散りばめられ、後々の考えに影響を及ぼしたりする伏線のようになっているところも面白かった。ただ、一部二部と三部で構成が変わり、いいところもあるのだけど、没入感やテンポがなくなってしまったように感じられ残念だった。(解説にも同様に思った人もいたと書いてあり安心した)
    ウェルテル効果という現象や言葉ができた理由が分かったように思う。

  • 小説前半のウェルテルの鷹揚と、後半の激情、そして編集者による考察。この三段構えの構成がゲーテの天才性を感じさせる。自分としては深く感情移入する作品ではなかったが、とある詩人は「もし生涯に『ウェルテル』が自分のために書かれたと感じるような時期がないなら、その人は不幸だ」と語ったそうである。ふむ。

  • 現代的な私小説の走りということで発表された時はきっと画期的だっただろう。
    そういったことを特に意識せずに読んだわたしは、「金持ちでフラフラしてる若者が人妻に横恋慕し、相手も不倫願望ありありで思わせぶりな態度取られて、結局苦しんで自殺する」という、ありがちで下世話な話をずいぶん大仰に語っていると思ってしまった。おまけに金持ちぶりに僻んでみたりロッテのズルさに閉口したりと余計なことを考えてしまって素直にウェルテルの繊細さに感嘆できなかった。
    こういう本こそ若いうちに読んでおいた方が良かったんだなと思う。

  • こうやって人が追い込まれて自殺に至るんだなと思った

  • あらすじを簡単に言うと(正直書きたくない、心理描写が美しいから読んでほしい…でも読む必要はないのか?)
    ウェルテルさん(主人公)という人が引っ越し先で、アルベルトさんという人と婚約中のロッテさんに片思いをしてしまい、困って困ってでも大好きで、遂にはロッテさんに会うのが辛くなり申し訳なくもなり、遠く離れた別の所で暮らすことにするというのが前篇。
    後編では、別の素敵な女性を見つけるものの、様々な不愉快な出来事も起き、また上司ともうまくいかず、そこで暮らせなくなり、結局ロッテさんが忘れられず彼女のところに戻るウェルテル。でももう既にロッテはアルベルトと結婚している。
    ロッテはとうとう(遅い)ウェルテルの思いを察し始めるが、アルベルトを愛しているしどうしようもなく、ウェルテルのことを親友として考える一方なぜか他の女とは結婚させたくないような気もする(自分だけのものにしておきたいかも)とか思ってる間に、ウェルテルは様々な出来事を通じて、もうどうしようもなくなり、アルベルトから「旅行携帯用」として借りた拳銃で自殺してしまう、という話。

    これを読んだだけであると、恋しすぎて自殺に至るという展開については、あまりにも「よくある」ものであるとか、小説としてはそれでいいかもしれないが現実には死ぬわけにはいかないしね笑、とか批判が出てくるかもしれないけれど、小説として美しいだけじゃなく「片思い」「恋愛」について真摯に向き合おうとするウェルテルの姿には何かしらの共感と尊敬が生まれるはず。
    さっき読む必要はないとか書いたけれど、本気の恋愛をした経験があると自負する方には一読の価値があると思われます。

  • 恋が成就せずに自殺するという流れは知っていたけど、思い詰めて思い詰めた先に自殺かと思ったら、結構序盤で自殺のことを仄めかしていた。
    もとからウェルテルは自殺へのハードルが低い人だったんだろう。

    さすが詩人、情熱的な描写が秀逸なんだけど、ちょっと長いな!!(特にロッテへの読み聞かせ)

    ウェルテルは若者らしく、感受性豊かで、曇りない世界を愛している。けれども現実は権力欲に取りつかれた人間や、(ウェルテルにとって)この世の理をわかっていない連中ばかりで理解者がいない。

    ロッテは唯一ウェルテルの安らぎだけど、別の人の物で、どうにもならなさが、この世の不条理がじわじわとウェルテルを蝕む。
    ウェルテル自身も教養のある富裕層だけど、アルベルトがぐうの音も出ない完全に自分の上位互換で絶対に勝てない相手だから、ウェルテルにとっては負け戦。消化試合。
    自分に寄り添ってくれる理解者がおらず、世にはどうにもならないことが取り巻き、愛していた自然もウェルテルの思い出の場所を破壊し、ウェルテルに牙をむく。追い詰められた人間の行く先は死のみ。

    繊細で生き辛さを抱えているウェルテルだけど、少しも感情移入できない読者はそれもまた不幸だと思う。

  • 自殺という衝撃をそよ風が吹くみたいにふと訪れるものとしてこんなにもたやすく受け止められるなんて

  • ウェルテルの恋とその破局を描いた書簡体小説。とにかくドラマチック、熱い。
    ウェルテルの激情は、なかなか理解しがたかった。でも、まったくの共感は出来ずとも、心の奥底にどこか共鳴するものがあった気がする。
    生身の人間がそこには描かれているからだと思う。

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