ヘルマンとドロテーア (岩波文庫)

  • 岩波書店 (1981年6月16日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (192ページ) / ISBN・EAN: 9784003240557

みんなの感想まとめ

フランス革命を背景にした物語は、恋愛と家庭の幸福を描く一方で、動乱の時代における理想と現実の対比を鮮やかに表現しています。真面目な青年ヘルマンと難民のドロテーアの出会いは、彼らが直面する困難を乗り越え...

感想・レビュー・書評

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  • ゲーテによるヘクサメトロス詩であり,フランス革命を背景に市民の恋愛が描かれている。

  • シューマンがこれに曲をつけており、今度ぼくはそれに取り組む予定なので、衝動で買いました。
    好きな人ができると、既に他の相手はいないか、気持ちは如何か、誰しも気になって仕方がないものです。そしてそれは本人の口から聞かないとどうしても安心できないものでもあります。淡い心の揺れをゆっくりと楽しめる、ささやかで美しい恋愛叙事詩です。
    流石ゲーテ先生、数多くの言葉が光ってます。結婚式にもっていきたい一冊です。読みやすいので皆さん読んでください。

    こんな素晴らしい母親がいたでしょうか?
    「授かったままに、我子をそだて、かわゆがって、できるだけよい教育をさずけ、生まれつきを伸びさせてやるのが、親の務めです。人の長所はめいめい違うものですし、てんでの長所にむだはなく、それぞれの道を行きさえすれば、誰でも良い人、幸福な人になるのです。」
    「けれどああ! 後々の楽しみに倹約するのが、なんの仕合わせになりましょう! いくらお金を積み上げても、たとえ田畑をひろげても、財産をずらりと並べたところで、なんの仕合わせになりましょう。父親が年をとれば、子ももろともに、その日その日の楽しみもなく、明日の気遣いばかりで老けていきます。」

    ヘルマン青年のアツい思い、すてき…
    「その娘なのです! 今日中に婚約して連れてこないと、どこかへ行ってしまいます。戦争の乱れのなかを、ここかしこ悲しい旅をつづけるうちに、永久に逢えなくなるかもしれません。母さん、そうなれば、眼の前の財産がいくら殖えても、なんの張合いがありましょう。この先いくら豊年に逢っても、なんの嬉しいことがありましょう。住みなれた家屋敷でさえいやになります。いえ、母さんの御慈愛でさえ、惨めなこの身の慰めにはなりません。愛の絆はほかの絆を一切解くということを、わたしはつくづく本当だと思います。」

    ヘルマンの決意!
    「たとい結果はどうあろうと、わたしはやはり、自分で往って、今まで男が女に向かって嘗て抱いた信頼のうち、誰にも劣らぬ大きい信頼をわたしが抱いた、あの娘の口から、直にわたしの運命を聞き知ろうと思います。」

    2人の恋が成就したときのドロテーア……
    「まあ、堪忍してくださいまし。あなたに縋っておりながら、このように震えたりして。やっと岸に辿り着いた船びとには、揺るがぬ大地の安全な地盤さえ、ゆらゆらするように思われますのね。」

    〈この指輪を形見に残して、二度と故郷に帰らぬようになったあの人〉の言葉。彼の万事を見通したスピーチは、本書で最も尊い場面です。是非全文を読んでください。
    「生きる日を大切と思って欲しい。しかしこの世の命をどの財よりも高いものと思わぬがよい。すべて財は当てにはならぬよ。」

  • ゲーテは明るい。朗々としている。その点が本当に好きだ。フランス革命の騒乱を背景にした叙事詩。ちょっと古風だが、リズミカルな訳文で読みやすかった。真面目な青年ヘルマンが、難民のドロテーアに恋をする。父親は最初反対するのだが、ドロテーアの本当の人柄を知った後に結婚を認める。ハッピー・エンドなので安心して読める。読んだ後は胸の中をそよ風が吹き抜けていくような心地になる。ゲーテが自分の作品の中でこれを一番愛していたことに納得。深読みもできる内容で、特に難民の苦しさは現在の中東の問題に通じるものがあった。

  • フランス革命を背景とした「市民的叙事詩」。革命の戦乱に巻き込まれたライン地方からの避難民ドロテーアと裕福な家庭にそだった質朴なヘルマンとが出会い、互いにひと目で恋に落ち、家族や牧師から祝福を受けて結婚するに至るという実に幸福感に溢れる物語。しかしこのような恋愛、家庭の幸福を守る志操堅固な人という理想が、動乱に満ちた革命(もちろんフランス本国だけでなくライン地方も巻き込まれている)という像に対置されているという点で、偉大な反政治的政治叙事詩である、とも言えるだろう。

  • 2015/5/24読了。
    ヘルマンが草食系すぎる。ドロテーアの完璧さが際立つ。なんていい女。

    思ったほど物語に起伏がなくトントン拍子に進んでいった印象。

  • ゲーテ(1749-1832)による恋愛叙事詩、1797年の作。

    ゲーテ自身、この詩を生涯に渡り愛誦し続けたというが、この岩波版も読んでいてテンポの好い翻訳だと思う。下女ドロテーアの、自己に対しても他者に対しても凛として、優しさと確固たる人格を備えた姿が印象的だ。泉のほとりで再会した男女が二人で水を汲む場面は実に美しい。

    以下のような科白に、現代にも通じる近代的な市民的感性が窺われる。

    「授かったままに、我子をそだて、・・・、生まれつきを伸びさせてやるのが、親の務めです」(ヘルマンの母親) 「・・・、生のうちに生を完成させたいものです」(牧師)

    本作品の背景には、フランス革命という同時代の世界史的大事件がある。フランス革命とその動乱について登場人物たちがしばしば語っており、当時の人々が大革命をどのように受け止めていたかが垣間見えて興味深い。

    「・・・、私は往く、いま世界中のあらゆるものが揺れ動いて、何もかも離れ離れになるようだから。・・・。形を備えたこの世界が、混沌の闇に逆戻して、新しく作り直されるかと思うほど、何もかも揺れ動いている。お前の心が変わらずにいて、二人がいつかこの世の廃墟の上で巡り合うことがあったなら、その時こそお互いは、すでに作り直されて、運命に左右されぬ、自由な、生まれ変わった人間と成っていよう、・・・」(ドロテーアの嘗ての婚約者)

  • ただの恋愛小説じゃない。色々な時代背景を感じ楽しめる一冊。

  • 好きな小説を読むと満たされるー。ゲーテだったら『若きウェルテルの悩み』よりもこっちの方がお気に入りだな。

  • 富裕な一市民の息子ヘルマンが、フランス革命の戦乱におわれた避難民の娘ドロテーアを妻に迎え、人生の秩序を築くにいたる顛末をうたった恋愛叙事詩。ドイツ小都会の香り高い市民生活と、世界という大劇場の動揺・転変とが同時に映しだされた珠玉の名篇であり、ゲーテ自身、終生愛誦してやまなかった作品。

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著者プロフィール

1749年ドイツ・フランクフルトに生まれる。小説「若きウェルテルの悩み」などにより疾風怒濤(文学革新運動)期の代表的存在となる。政治、美術研究、自然科学研究の分野でも活躍。他作品に戯曲「ファウスト」「エグモント」小説「ウィルヘルム=マイスター」「親和力」自伝「詩と真実」「イタリア紀行」詩集「西東詩篇」などがある。1832年没。

「2021年 『ゲーテショートセレクション 魔法つかいの弟子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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