牡猫ムルの人生観 (上) (岩波文庫 赤 414-3)

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  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003241431

感想・レビュー・書評

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  • 面白い。ユーモアセンスにニヤニヤしてしまう。構成も2声フーガのよう。

     楽典や和声学など音楽知識や、シェイクスピアなどのオペラや古典文学がわかるとより良いと思うけれど

    この作品へのオマージュは
     『吾輩は猫である』も有名だけれど、シューマンの『クライスレリアーナ』も。そういう興味深い作品。
    ドストエフスキーもこの著の愛読家だったという。

    「クライスレリアーナ」は、「楽長クライスラー」から取ったタイトル。シューマンはホフマンに傾倒しており、この小説に自分とクララとの恋愛を重ねていたという。またホフマン自身を映したキャラクターだとも。

    • シャルたん@読書さん
      愛人の意味が変化したのは戦後。
      改訂時に変えなかったのですね
      https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E6%84%...
      愛人の意味が変化したのは戦後。
      改訂時に変えなかったのですね
      https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E6%84%9B%E4%BA%BA
      2024/03/20
  • ざっくりわかりやすく言うとドイツ版「吾輩は猫である」ですが、漱石よりもホフマンが先。猫自身が書いた自叙伝という体裁をとっていますが(ムルくんは自分でペンとインクを使って文字を書けるんです!)それだけでなく、ムルが執筆しながら吸い取り紙として勝手に使った別の著作(楽師クライスラーの伝記)が紛れ込んでいて、猫の自伝と楽師の伝記が交互に進行するという構成。

    このクライスラーとムルは全くの他人というわけではなく、ムルの飼い主アブラハム先生(職業はいまいち謎だけど奇術師?)が、弟子のように可愛がっているのがクライスラーなので、両者には一応面識があり、ストーリーも微妙に重複しつつ進んでいきます。

    ムルくんはとってもお利口ですが、読書家で勉強家ですから少々理屈っぽく、詩人でもあるので表現が大仰で難解、自尊心も強いので、もし人間だったとしたら少々おつきあいし難いタイプ(苦笑)。親友は犬のポントーくんですが、こちらはさすが犬族だけあって処世術に長けており(飛躍しますが、さながら「失恋ショコラティエ」のサエコさんもかくや、という自分の可愛さを熟知したうえでの人間への媚にポリシーを持っていて素晴らしい)ムルくんより一枚上手。白い美猫のミースミースと恋に落ちたり結婚したり浮気されて離婚したり、ムルくんにはさまざまな試練が。

    一方楽師のクライスラーのほうは、なんだか人間関係が込み入っていてややこしい。といっても堅苦しい話ではなく(どちらかというとムルの語りのほうが堅苦しい)、ムルの飼い主でありクライスラーの師匠筋であるアブラハム先生のキャラなんかは、いかにもホフマンらしい、「砂男」のコッペリウスにも通じる胡散臭さ。

    翻訳が古い(初版は1935年)のでちょっと読みづらい部分もあるんですが、下巻でどうなるのか続きが楽しみ。

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