スキュデリー嬢 (岩波文庫 赤 414-5)

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  • Amazon.co.jp ・本 (110ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003241455

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  • 1818年の作品。パリを舞台にした連続宝石強盗事件の顛末。佳作を一晩で楽しみたい人にお勧めな感じだ。

  • 人は本当に他人のことを信じているんだろうか?
    他者を信じるというのは、他者の何を信じることなんだろうか?

    他者のイメージを信じている?人柄を?記憶?論理?社会的地位?名声?富?
    あるいは自らの感情や理性を通してみた他者?

    法律家はもちろん、民衆も、王も、スキュデリーでさえも、果たして一貫して他者を信じることはなかった。記憶と照らして、イメージを描いて、信と不信のあいだを行き来する。
    そのなかでただ、マデロンのみが、深い愛をもってオリヴィエを、最初から最後まで信じていた。
    これはホフマンの「黄金の壺」のなかでのゼルベンティーナの「信じることでのみ愛が生まれるのよ」という言葉に通じていたとおもう。

    翻って今日の社会はどうか。
    物的証拠、科学的論理が、「信頼」というよりも「信用」として私たちの「信じる」という行為に取って代わってはいないか。さらにいえば、その科学への信用は、人への疑いという自己疎外を生んではこなかったか。
    他方で私たちは、科学的論理がはらむ不可視の誤謬を感知していながらも、それをより高度な科学的論理でもってして覆い隠してきた。いまやこの社会は、いや私たちの生活は、実存は、その弥増さるリスクなしには成立しえなくなっているのではないだろうか・・・。

    そんなふうに、ベックがいう再帰的近代化やリスク社会と通底するものを、そこはかとなく感じた。

    規範や伝統から脱埋め込みされて解放された私たちの「愛」は、いまどこにあるのかしら、ね。
    ≪人間らしくしてください≫ とな。

  • ホフマンというと真っ先に浮かぶのは『くるみ割り人形~』や『砂男』といったダークな匂いのするファンタジーですが、これはルイ14世の時代に実在した女性作家スキュデリーと、実際にあった事件をモチーフにした(かなり脚色されてるけれど)、一見推理小説仕立ての中篇。スキュデリー視点で見れば勧善懲悪な結末で大団円だけど、犯人の犯行の動機がジキルとハイド的二面性だったり、自分の作品をこよなく愛する宝石細工職人の変質性だったり、その遠因を母親にまで遡ったりするあたりは、『砂男』のコッペリウスなんかにも通じる不気味さがあって、やっぱりホフマンらしいなあという感じ。

  • 宝飾品強奪事件に巻き込まれた貴族の老婦人が誤認逮捕された青年の無実を晴らすために奔走する物語。

    冒頭、主人公に会おうと自宅に押し入ろうとした時の誤認逮捕された青年の言葉遣いが乱暴になったのは不可解。
    好青年だったらいくら切羽詰っていたとしてもあんなに乱暴になるの?
    あそこを詠む限り悪人っぽく感じてしまう。
    あと、青年の恋人マデロンがただ主人公に泣いて縋るばかりなのが気になってしまった。

    行動的な主人公は素敵だったけれど脇役の幾人かが好きになれなかった。

  • 70を超えるハッスルお婆ちゃんが怪事件の解決に挑む

    短編小説

    しかし 心の中は純真無垢な太陽のようであった。

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