影をなくした男 (岩波文庫 赤 417-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003241714

感想・レビュー・書評

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  • 自分の影を売って大金持ちになった男の話。

    影がないというだけで犯罪者並みの扱いを受ける主人公。"影"という当たり前の物がないだけで、周りの目が変わって行った。当たり前にある物の大切さがテーマだと感じた。
    謎の灰色服の男が本当に謎だった。ポケットから何でも出せる。

    岩波文庫にしては、分かりやすく読みやすい作品だった。p.21、p.111の挿絵が好き。
    好きな文
    『鉄の鎖にとめられているというのに翼をもったとても何の役に立ちましょう?
    翼をもてばこそ、そのためかえって絶望が深まるのです。』-p.32-

    岩波文庫4/100冊目。

  • 字が小さくて読むのがつらかった。失ったものは失ったと受け入れるという教訓。

  • 自分の影と引き換えに無限に金貨を出せる金袋を手に入れたペーター・シュレミール。しかし影を持たない男に世間は冷酷だった……。
    いわゆる教訓話か、最後には影を取り戻しめでたしめでたしで終わる話かと思っていたら、意外な展開になった。第8章のトーマス・ヨーン氏の件は唐突に感じ、一瞬訳がわからなかった。

  • 初めましての作家さん。読み友さんから貰った本です。
    悪魔との取引で苦しみ、更に狡猾な魂かすめ取り作戦を
    仕掛けられるも、拒否。逆に影奪還作戦を決行するものの
    無理だと悟って追及をやめる。
    そこからの急展開に( ̄△ ̄;)エッ・・?
    イソップ物語風の寓話として読めば納得できるでしょう。
    前情報なしで読むと、ある意味ビックリします(^◇^;)
    それなりに楽しめました。
    やっぱりベンデルへの配慮を考えて欲しかったぁ~!

  • ドイツ文学部生時代に求めたのか?いつ入手したのか記憶がない。断捨離前に一読するつもりで旅の空に持ち込んだところ、意外にするする読めた。が、再読はないので、図書館へ寄贈

  • 視点というか発想は面白いと思う。
    誰にでもある「影」の喪失、というか自らの手による放棄からくるその後の人生。
    でも率直に言えば物足りない、その内容が。もしかすると子供向けの作品ということかもしれないけれど、若干深掘りが足りないというか、何かこうもっとできるよね?という感想をどうしても抱いてしまうなぁ。
    色んな意味で時代のせいかも知れませんけれども、あまり今読まれていないような気がするのも気のせいではないかもしれないです。

  • 灰色の服の男に幸運の金袋と引き換えに影をゆずってほしいと言われた彼は、深く考えることもなく承諾する。悲劇が待ち受けているとは知らずにー。彼に影がないことに気付いた人々に冷たい仕打ちを受け、彼は取り引きを後悔したが、灰色の服の男に再会しても影の返還の取り引きには応じなかった。ひょんなことから彼は、影がなくても困らない人生を送れるようになった。
    なくした影を取り戻す条件をのまず、どん底に陥ったときにたまたま生きづらさから脱却できたことは、影をなくしたからこそ出来た経験だと思う。そういう点で、"影"は色々な意味にとれる。影絵が流行した時代に書かれたそうだが影をなくすという斬新な発想であることと、もともと子供向けの話だったので子供を裏切るような終わり方になっていない優しさとが、今も世界中で読まれ続ける理由だろうか。

  • 図書館で借りた本。1814年に書かれたメルヘンチックな本。灰色の男から影を売ってくれと言われたシュレミール。影と交換に金貨が永遠に出てくる幸運の金袋と交換したのだが、世間の人々は、大金持ちになったシュレミールでも影が無いというだけで冷たい。そんなシュレミールは影を取り戻そうとするのだが…と言う話で、途中から魔法の靴で世界を旅して冒険に。灰色の男はいろんな囁きでシュレミールを惑わすが、シュレミールが選んだ道は?という話。薄い本ですぐ読了できるし、比喩だと思える事象も色々と出てくるので退屈はしなかった。

  • ふーん。

  • 恐らく、
    普段当然と思っている何気ない事柄が実はお金よりももっと大切
    という教訓を、導きだそうと思えば導き出せなくはないんだろう。
    でもシャミッソーはそんなことは考えていなかったんじゃないかな。
    あるいは、
    自分のフランス人にもドイツ人にも成り切れない疎外感を投影していたのかもしれないけれど。

    主人公は軽い気持ちで影を悪魔に売ってしまい以降大変惨めな生活を余儀なくされるわけだが、
    文章が飄々としているのでそんなに悲壮感はない。
    結構理不尽な目にあってはいるけれど、
    なんだかんだと心を許せる人は一人いたわけだし、
    最後にはそれなりの偉業を達成し忠犬と幸せな日々を送っているわけだし、
    悪くはない人生なような気がする。

    それよりも何よりも最も酷いと私が感じたのは、
    ペーター・シュレミールが信頼して託した原稿が、
    意に反して出版されてしまったことではないだろうか。
    出版したフケーや友人ヒッツィヒの文章や行動に滲み出るシュミレールへの軽視が、
    実はシュミレールにとっては一番の仕打ちだと私は思う。
    そしてこれは影がないこととは関係ないのだ。
    そう考えると、なかなか遠まわしの悲しみの描き方だ。

    最後に訳者へ疑問。
    何故シュミレールのシャミッソーへの手紙を勝手に最後にしたんだろう。
    順番を変えるなんて結構大きなことだと思うけど、
    訳者ってそんな勝手なことしていいの?
    何様なの?
    と言うわけで、池内紀さん、答えて欲しいです。

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