歌の本 上 (岩波文庫 赤418-1)

  • 岩波書店 (1973年10月16日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (258ページ) / ISBN・EAN: 9784003241813

みんなの感想まとめ

深い霧に包まれた月夜のような雰囲気を持つこの詩集は、19世紀初頭に活躍した青年詩人の言葉の魔術が詰まった作品です。表面的には甘美な恋歌が並ぶ一方で、その背後には底知れぬ闇や皮肉が潜んでおり、読者の心を...

感想・レビュー・書評

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  • 深い霧に包まれた月夜のように、どこか憂いを帯びた『歌の本』。19世紀初頭、一人の青年詩人が紡ぎ出した言葉の魔術とでも呼びたくなる詩集です。

    表向きは、愛に溺れた若者の甘美な恋歌のようでありながら...その実、どこか底知れぬ闇を湛えています。美しい詩行の裏側には、時として毒を含んだような皮肉が潜み、読む者の心を不意に掻き乱すのです。

    私が最も魅了されるのは、『抒情的間奏曲』。まるで月の光に照らされた水面のように、その表層は優美でありながら、深く覗き込めば覗き込むほど、底知れぬ深みが見えてくる。

    「君は花のように美しい」という詩などは、一見すると純真な恋歌のようでいて、最後の一節で突如として漆黒の不安が顔を覗かせる...そんな妖しい魅力に満ちています。

    シューマンやシューベルトといった作曲家たちもまた、この詩集の持つ魔力に取り憑かれたかのよう。彼らが紡ぎ出した旋律は、ハイネの言葉をさらに幻想的な領域へと誘います。

    もしあなたも、日常の世界に少し倦んだなら...この『歌の本』の扉を開いてみませんか?そこには、あなたの心を密かに誘う、甘美で危険な詩の世界が広がっているのですから。

  • [ 内容 ]
    <上>
    激動の時代を熱烈に生きて戦った詩人ハイネ(一七九七―一八五六)。
    祖国ドイツでの彼の評価はめまぐるしく変わり、ナチス支配の時代には完全に抹殺されさえしたが、その秀麗な抒情と卓抜な批判精神は、国境を越え時代を越えて数多くの読者を持った。
    一八二七年刊の『歌の本』は、青春時代の抒情詩の集大成で、シューマンらの作曲で愛唱されている。

    <下>
    激動の時代を熱烈に生きて戦った詩人ハイネ(一七九七―一八五六)。
    祖国ドイツでの彼の評価はめまぐるしく変わり、ナチス支配の時代には完全に抹殺されさえしたが、その秀麗な抒情と卓抜な批判精神は、国境を越え時代を越えて数多くの読者を持った。
    一八二七年刊の『歌の本』は、青春時代の抒情詩の集大成で、シューマンらの作曲で愛唱されている。

    [ 目次 ]
    <上>


    <下>


    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 大学でドイツ語を履修しているのは、これをドイツ語で読みたいから。

    マルクス・メンデルスゾーン・ベルリオーズ・ショパン・ヴァーグナー・小デュマ・ユーゴーとかと親交を持ち(特にマルクス)
    ナチスには排斥されてしまったりと、話のネタが尽きないハインリッヒ・ハイネ

    寝る前に1つ詩を読んで、頭の中でその詩の世界を想像しながら寝るといい夢が見られます(笑)
    このサービスのカテゴライズには読んだか、読んでいる途中か選ぶ欄があるね。
    きっとこの本はずっと「いま読んでいる」のままだと思うよ。

  • 「なにが騒がす」
    なにが騒がす 狂うこの血を
    なにが灼くのか 燃える心を
    煮えたち 泡だち 沸き立つ心
    はげしい炎が胸やきつくす

    血は荒れ 沸きたち 泡だつばかり
    そうだ 悪夢にうなされたからだ
    暗い夜の子がやってきたのだ
    おれを、息せき連れだしたのだ

    以下、元恋人の結婚式の風景
    たった一度の失恋でよくこれだけ詩をひねり出せたものだな

    「深夜、ヘリンの」
    深夜 ヘリンの家を出て
    もの狂おしくさすらった
    墓場へぼくが来かかると
    こっそり墓がさしまねく

    楽士の墓石がさしまねく
    月の光がゆらめいた
    「きみ いま行くよ」と囁いて
    霧の姿が浮かび出た

    ……

    わたしは歌を うたっていたが
    きれいな歌も 終わりとなった
    心臓が胸で 裂けてしまえば
    歌は古巣へ いっちまう

    「さて おれは 呪いで」
    あのひとを 愛して いけないなら
    このおれの いっさいは どこにある

    「朝 めざめては」
    朝 めざめてはたずねる
    いとしいひとはくるかしら
    ゆうべ 伏してはかなしむ
    きてはくれない 今日もまた

    なやみを胸にいだいて
    ねもやらず夜をすごす
    昼もゆめみごこちに
    あてどなくさまよい歩く

    「うるわしい わが悩みの」
    うるわしい わが悩みのゆりかご
    きよらかな わが恋の墓標
    うつくしい町よ もうお別れだ
    さらばと わたしは おまえに告げる

    さらば 神聖な あそこの閾よ
    恋しい人の 通うところよ
    さらば 神聖な あそこの場所よ
    ふたりがはじめて 出会ったところよ

    もしも あなたを 見なかったなら
    おお うるわしの 心の女王よ
    けっして わたしも これほどまでに
    いまは惨めに ならなかったろう

    あなたの心を かきうごかして
    愛してくれなど 願わなかった
    ただやすらかに 暮らしたかった
    あなたの息の 通うところで

    けれども あなたは わたしを追いやり
    にがい言葉を 口にするのだ
    わたしの五官は 狂わんばかり
    心は病んで 傷ついている

    からだは衰え ちからも失せて
    杖にすがって とぼとぼ行くのだ
    はるか異国の つめたい墓に
    疲れた頭を よこたえるまで

  • 『地獄の季節』より好き

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