グライフェン湖の代官 (岩波文庫)

  • 岩波書店 (1999年2月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784003242599

みんなの感想まとめ

多様な恋愛の物語が織りなす、感慨深いオムニバス形式の作品です。主人公は老年の領主で、彼の若き日の五つの恋愛を振り返り、それぞれの相手の個性豊かな描写が際立ちます。恋愛の成就しなかった理由は、相手の性格...

感想・レビュー・書評

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  •  スイスで一番有名なドイツ語の作家は、やはりゴットフリート・ケラーでしょう。日本ではこの作家の本はなかなか手軽に読めないのですが、岩波文庫には復刊で一冊だけ入っています。それが、この『グライフェン湖の代官』です。

     このお話は、チューリッヒの東10kmのところにあるグライフェン湖(グライフェンゼー、同名の町もある)の領主が、いずれも成就しなかった自分の若き日の五つの恋愛談を語る話で、各挿話を現在の領主のひとつの計画話が包む枠構造のオムニバスです。この小説自体も短編集の一編だそうなので、言わば二重の枠構造になっています。

     主人公ランドルト大佐の五つの恋愛の相手は、ある者は天真爛漫、ある者は聡明快活、ある者は愚かで傲慢、ある者は・・・とみな違った性質を持っているが、いずれも等しく美しい女性たちだ。おそらくは、作者ケラーの恋愛経験に基づくところが多いのでしょうが、女性たちの描写は生き生きとしておりそれぞれにモデルがいたことがうかがえます。ランドルト大佐が女性を勝ち得ない理由も、相手の問題、自分の問題、様々で面白いし現代にも通じる点もあります。まことに男女の仲はこの時代でも難しいものだったと思われます。

     最後に年老いた主人公は5人を館に集めて、自分を選ばなかった昔の恋人たちを前に一芝居していっぱい食わせるのですが、ユーモラスでほのぼのとした中に生涯独身を貫いた主人公の姿に、婚約者の自殺が原因で同じく生涯独身を選んだケラーの哀愁が感じられ、すこしほろ苦く、また甘酸っぱい読後感です。

  • これは、五つの恋物語と、それを包括する一つの筋と……、私の好きな枠物語だ!というわけで、これらの作品に読み耽って、『緑のハインリヒ』後半は放ったらかしです、ごめんなさい。

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