ワイマルのロッテ (上) (岩波文庫)

制作 : 望月 市恵 
  • 岩波書店 (2002年7月9日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (337ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003243428

ワイマルのロッテ (上) (岩波文庫)の感想・レビュー・書評

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  • ある日ワイマルの旅館エレファントを、品のよい年配の淑女が訪れた。実は彼女こそ『若きウェルテルの悩み』の悲恋の相手、ロッテの44年後の姿であった。彼女は(一応ワイマルに嫁いだ妹を訪ねるという目的はあったものの)44年前に別れた詩聖ゲーテ、つまり当時の“ウェルテル”に会うつもりでこの地を訪れたのだった…。

    上巻は、旅館に到着してからシャルロッテおばさまのモトを続々と訪れる人たちとの会談が続きます。
    来訪客の中でも特筆すべきは、ゲーテのもとで長年秘書を務めているリーマー氏との会話でしょうか。

    リーマーは、ゲーテ自身、または彼の作品や言葉について、

    「倫理的でないもの、自然力的で中立的で、悪魔的で混迷したもの、一言で申しますと『妖魔的』なもの──(中略)──つまり、ひろい意味での寛容と圧倒的な忍耐づよさとの世界、善も悪もそれぞれ同等のアイロニカルな権利を持つ世界、目的も理由もない世界」

    と、評しています。そして同時に、妖魔的であるゲーテを「悪魔性は神性の一面」です、と神になぞらえて「神の本質は明らかにすべてを包括するアイロニーです」とまで言っています。

    ようするに、リーマーから見たゲーテは悪魔的でもあり同時に神的でもあるようです。リーマーは自分がゲーテの天才性に及ばないことに内心懊悩しつつも、彼のそばで仕事ができることの喜びを謳歌しています。

    この会話により詩聖ゲーテの姿が浮き彫りにされていくのです。トーマス・マンはそうとうのゲーテファンなようですが(この作品から2年後に『ファウスト博士』とか書いてるあたりからも察せられる)マンの中での『ゲーテとはなんぞや』を、この小説を書くことによって明確にしたかった模様。

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