デミアン (岩波文庫 赤435-5)

制作 : 実吉捷郎 
  • 岩波書店
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本棚登録 : 823
レビュー : 100
  • Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003243558

作品紹介・あらすじ

デミアンは、夢想的でありながら現実的な意志をいだき、輝く星のような霊気と秘めた生気とをもっている謎めいた青年像である。「人間の使命はおのれにもどることだ」という命題を展開したこの小説は、第1次大戦直後の精神の危機を脱したヘッセ(1877‐1962)が、世界とおのれ自身の転換期にうちたてたみごとな記念碑ともいうべき作品である。

感想・レビュー・書評

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  • 自分の稚拙な言葉ではこのスゴさが表現できない。
    もう、逆立ちして世の中をみているような、
    こんな風な見方もできるのか!と。

    引きよせの法則とか、潜在意識、無意識の活用とか、
    そういう本が最近盛んに出版されているけど、
    これはそんなことを総括してさらにもっと深いこところに届く。

  • 国文学ばかり続けて読んだ後に手にとったためか、翻訳の文体にどうも馴染めなかった。簡単な単語をわざわざひらがなで表記したりとか・・・些細なことなのだが。いつか別の訳者でも読んでみたい。

    感想をひとことで言うと・・・キリスト教の理解が浅いと厳しい。(西洋の小説を読むたびに痛感することだが)
    カインとアベルの話が前フリなしで出てくるくらいならまだ良いのだが、終盤に進み話題が抽象化するにつれてどんどんその感が強まっていく。勉強不足か。

    期待していた当のデミアンの人物造形は、超越的すぎて今ひとつ感情移入できず。彼を評して天体のよう、とは言い得て妙である。筋もあまりに予定調和、ご都合主義な感じが否めなかった。最後あっさりと救済が訪れるのも納得が行かない。このへん、やはり宗教や神に対する意識の違いだろうか。

    とはいえ随所に至言だなあと思わせるフレーズも散りばめられており、少なくとも自分の生き方について考える契機にはなったと思う。

  • わからん。

  • 30年以上ぶりの再読。
    懐かしい学生時代が思い出された。かつて住んだ街とあの頃の想いと。

    「カインのしるし」というアイデアはオリジナルである本書を読みなおしてあらためて素晴らしいと思った。物事を違った視点で見るということ。額にしるしを持った人間がいるということ。マンの『トニオ・クレエゲル』にも「しるしのある」という表現がフツーに出てきている。『ハリー・ポッター』にも。

    それから「ふたつの世界」というアイデアも素晴らしい。子供時代の、危険のない、矛盾もない、家族で構成された世界がひとつ。それと、家族から切りとられた、先の予想がつかない、混沌とした世界がもうひとつ。この「ふたつの世界」は他にもいろいろ敷衍できて便利だ。

    物語は最初、主人公エミール・ジンクレールがひょんなことから悪党の手に落ち、破滅の淵まで追いつめられる。が、謎の転校生マックス・デミアンのひと睨みで問題はいっぺんに解決。読者はスリリングな冒頭から、胸のすくカタルシスを味わえる。
    しかしその後の展開はどんどん観念的に、さらには神秘主義的になり、最後の方はもうオカルトかと・・・、いや意識革命といおうか・・・。エヴァ夫人など、本当に実在している女なのかどうか疑わしくさえなる。

    いずれにせよ、世界大戦の黒い雲が彼らの頭上に迫りつつある。ジンクレールンやデミアンは果たしてこの後、彼らの新しい理想の世界を築くことができたのだろうか?

  • ピストリウスとの章が一番好きで、何回も読み返してしまう。人物としても一番親近感を持てました。

  • この作品の中にはまた会いに来たいと思う人がたくさん出てくる。そう感じるそう思える作品だった。よさを要約するのは難しい。ただ、強い共感のような小説に本来期待していたようなものがここにはあったと思う。前提が必要なのか、タイミングがあるのかはよくわからない。ひとつは青臭さを自覚している人にとってはきっといい読書になるんじゃないかなと思う。素晴らしい作品だった。

  •  新潮文庫の高橋健二訳の恥知らずなパクリ。

  • なぜか、ヘッセの代表作の一つを読んでみる。

    なぜか、と書いたけど、一応、自分のなかでの流れとしては、
    ・数年前、原始仏教の関心から、「ブッダ最後の旅」を読むついでに、ヘッセの「シッダールタ」を読んで、感動した
    ・サーバント・リーダーシップ論のなかでヘッセの「東方巡礼」が注目されている(文庫版がないため未読)
    ・ジョセフ・ジャウォースキーの「シンクロニシティ」のなかで、たしか「デミアン」への言及があった
    ということなんだけど、やっぱり自分のなかでは、「ヘッセは青春期に読むもの」的な固定観念があって、読もうと思ってから、実際に読むまでには、時間がかかった。

    第1次世界大戦後のヨーロッパの精神的な危機のなかで、「自分への探求こそ、人生の意味である」というメッセージは、大きな救いだったんだろうな、と思う。こういう自分の内面を探求していくことを通じて、実は広い世界を理解できる、という考え方は、U理論とか、最近の組織開発理論の流れともあっていて、「シンクロニシティ」で言及してあった必然性もよくわかった。

    が、やっぱり、なんだか若者の「自分探し」の原典という感じもあって、なんだかなー、とも同時に思う。

    むしろ、この世界って、ドイツのギムナジウムとかラテン語学校に、ある日、とても魅力的な転校生が入ってきて、その母親がまたすごく魅力的で、デモニッシュというところが、萩尾望都みたいで、彼女の原点は、ヘッセなんだなー、と思った。

    あと、「オーメン」にでてくるデミアンもきっとここから命名されているんだろうね。

    と、邪念ばかり頭をよぎり、とてもヨーロッパの精神的な危機を乗り越えたヘッセ中期の代表作、というふうには読めないのであった。

  • 内向的な男性の「青春」を描かせたらヘルマン・ヘッセの右に出るものはいない。「デミアン」は一見同性愛的にもみえる。女っ気がほとんど無い。酒場に入り浸るようになって堕落していた時期から救うのが、恋愛感情というよりは信仰だ。その女性の顔を描きたくて描いていたら、デミアンの顔のようなものになる、というのは神秘的に感じられるが、実際その光景を防犯カメラで見ていたとしたら、ドン引きするであろう。とにかくイコンを描くように絵を描き、それは主人公を救っただろう。そして最終的に戦争が運命を回収していく。

  • ヘッセの小説は『車輪の下』が最初で、やたらと暗い(でも思春期の子どもの葛藤や心理の描写が非常に秀逸)と感じたんですが、この『デミアン』もそれに負けず劣らず。

    厳格なキリスト教の教義の中で育てられた少年が主人公で、彼は最初は「宗教的に許されている、愛情と厳格、模範と訓練によって秩序立てられた、両親の暮らす『自分の馴染みの世界』」に生きています。が、ちょっとした嘘をついたことから、彼は「怪談と醜聞、悪臭のする『悪の道の世界』」に足を踏み入れてしまい、これまで正しい道に導いてくれていた人を欺くことへの罪悪感や疎外感、孤独感に苛まれながら生きていくことになります。

    そんな中で、彼の人生と精神に大きな影響を及ぼしていくデミアンという少年に出会い、主人公の世界と信仰は徐々に変化していきます。時折、聖書のエピソードをデミアンなりに大胆に解釈していたりするんですが、このあたりについては聖書についての初歩的な知識がないと、読んでいても何が何やら、となってしまうかもしれません。その点、キリスト教についての基礎的な体力がないと読み進めるのがちょっと辛いかな。

    人が生きる上での矛盾にどのように対処したら良いのか、思春期の子どもの視点と思考を借りて表現した小説とも言えます。さくさく読めるわけではないですが、立ち止まり、考えさせられながら読める小説です。

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著者プロフィール

ヘルマン・ヘッセ(Hermann Hesse)
1877~1962年。ドイツ、バーデンヴュルテンベルク州生まれ。詩人、作家。1946年ノーベル文学賞受賞。代表作に『青春彷徨』(『郷愁』)『車輪の下』『デーミアン』『シッダールタ』『荒野の狼』『ガラス玉遊戯』などがある。

「2019年 『文庫 愛することができる人は幸せだ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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