パサージュ論 ((二)) (岩波文庫 赤 463-4)

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  • Amazon.co.jp ・本 (536ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003246344

作品紹介・あらすじ

遊歩、アレゴリー、メランコリー…。資本主義をめぐるベンヤミンの歴史哲学は、ボードレールの「現代性(モデルニテ)」の探究に出会う。『パサージュ論』の中で最大の断章項目「ボードレール」のほか、「蒐集家」「室内、痕跡」を収録。(全五冊)

感想・レビュー・書評

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  • ベンヤミン『パサージュ論』とのそもそもの出会いは、笠井潔の『群衆の悪魔―デュパン第四の事件』だ。
    それは、パリの街を舞台に探偵オーギュスト・デュパン、ボードレール、バルザック、ブランキなどのビッグネームが活躍するミステリーで、その中でベンヤミンと『パサージュ論』について触れられていたのだ。
    この巻は、先日、『悪の花』、『ボードレール パリの憂鬱』の二冊の詩集を読んでもあまりピンと来なかったボードレールがテーマの巻ということで、案の定取り付く島もない感じではあったが、かろうじて心に残った断章を引用しておきたい。


    《一八四〇年ころのユゴーについて。「同じころ、彼は、人間が孤独を好む動物だとすれば、孤独を好む者とは、群衆の人だということを次第に悟るようになる。ー以下略ー」ガブリエル・ブヌール「ヴィクトール・ユゴーの深淵」(略)》


    《新しいものがどういったものであるか、そのことをもっともよく教えてくれるのは、おそらく遊歩者であろう。独自の運動をし、独自の魂を宿した群衆という仮象こそは、遊歩者の新しいものへの渇望を癒すものである。実際のところ、この集団は仮象以外のなにものでもない。遊歩者が享受するこの「群衆」は、七〇年後に民族共同体〔ナチズムを示唆している〕なるものが流し込まれる鋳型なのである。》


    《大都市で売春がとった形態のもとでは、女性は商品として現われるだけでなく、明確な意味で大量生産品として現われる。化粧によって個人的感情を覆い隠し、職業的表情をするということから、その事態がわかる。後に、お揃いの衣装を着たレビューの踊り子たちがこうした事態をさらに強調することになる。》

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著者プロフィール

1892-1940 ドイツの思想家・文学者。「ドイツ悲劇の根源」「パサージュ論」など

「2011年 『ベンヤミン・アンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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