ウンラート教授 あるいは一暴君の末路 (岩波文庫 赤474-1)

  • 岩波書店 (2024年5月17日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (410ページ) / ISBN・EAN: 9784003247419

作品紹介・あらすじ

ハインリヒ・マンの名を世界に知らしめた小説。「ウンラート(汚物)教授」とあだ名される教師は、生徒を追いかけ入った酒場で美しい歌姫の虜となる。転落していく主人公を通して帝国社会を諧謔的に描いた本書は、マレーネ・ディートリヒ出演の映画『嘆きの天使』原作であり、ファシズムを予見した作ともされる。

みんなの感想まとめ

精神的な醜さと幼稚さを持つ教師が主人公の物語は、彼の狂気じみた行動が周囲を巻き込みながら進展していく様子を描いています。19世紀末のドイツを舞台に、貴族と平民の階級差や、教師としての権力を持つウンラー...

感想・レビュー・書評

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  • 19世紀末のドイツ、本名はラートでありながらウンラート(汚れ物)というあだ名をつけられた、学校(ギムナジウム)の老教師が主人公となり、彼の精神的な醜さとその精神から生み出される狂気じみた行為が彼の住む街全体を巻き込んでいき、その末路までの顛末を描いた物語となる。

    まあとにかくウンラート教授、醜い。醜いというか幼い。
    当時はまだ階級の影響が社会に色濃く及んでおり、決して超えられない身分的な壁が存在する。
    貴族の子供と、身分は低いが学校内では教師としての権力を発揮できるウンラート。
    ウンラートのことを小馬鹿にする子供たちに対し、執拗に粗を探し、粗が見つからない場合には無理矢理作り出し、落第や放校に処したりする。そして溜飲を下げる。
    馬鹿にする子供も悪い、ただ、それに対応する態度としては教師の道にもとる。
    「このクソガキまじでむかつく。大人の力を思い知らせてやる。」と感じるのは誰にでもある。でも普通は行動に起こさない。
    ウンラートちゃん、普通にやる。(ちゃんづけで呼ぶのは、中身を読んだらわかる)
    言い方はアレだが「社会を知らない教師」の悪いところを煮詰めて煮詰めて凝縮したものを雪だるまくらいに大きくした感じ。

    これだけでも幼稚なのに、もう一人の主人公、女芸人フレーリヒと出会い恋に落ちてからの行動もまた目を見張るほどに幼い。
    これはこれで、まともな恋を知らない初老の男が恋に落ちたときの悪いところを蒸留し続けて一斗缶を満タンにした感じ。

    もうとにかく最悪なのだ。最悪。
    でも、目が離せない。一度読み出したら止められない。
    この物語はメタファーを多用しているのだが、その隠喩が実に写実的で躍動感があるのだ。
    本の中で、ウンラートの気持ち悪さが気持ちいいくらいに飛び跳ねている。目が離せない。
    そしてそのメタファーが、ヒロインである女芸人フレーリヒの美しさと色気も躍動させる。
    これはウンラートじゃなくても惚れてしまうのかもなと思わせる納得感があり、その魅力にも目が離せない。

    結果、気持ち悪いのに割と傑作になっている。不思議。

    最後の1行を読んだ後、私は何を読まされたのだろうかときょとんとしたのだが、割と傑作だったなって思わせる。不思議。

  • 『ウンラート教授 あるいは、一暴君の末路』ハインリヒ・マン - ボヘミアの海岸線(2011-09-13)
    https://owlman.hateblo.jp/entry/20110913/p1

    vol.28「嘆きの天使」と『ウンラート教授』| (kiri58)リタ
    http://www.t-net.ne.jp/~kirita/kiri/kiri58.html

    嘆きの天使(1930) - 作品情報・映画レビュー -
    https://www.kinejun.com/cinema/view/15014

    図書出版松籟社ホームページ :: ウンラート教授
    https://www.shoraisha.com/main/book/9784879842558.html

    ウンラート教授 あるいは一暴君の末路 - 岩波書店
    https://www.iwanami.co.jp/smp/book/b644859.html

  • 「あんた…あんた一体誰なのさ?」
    「私は…私は教師だ。」ウンラートは言った。まるで、世界の意味と法を宣言するように!

    カフカ的な喜劇

  • 教師の話としては全く訳たたないが、ハインリッヒ・マンの小説、あるいは映画『嘆きの天使』、またはナチス政権のもとでの禁書として考えるとまた面白みがある。
     日本と全く異なるドイツでの風習を学ぶにはいい小説である。ギムナジウムの教師UnratがProfessor教授と呼ばれるという地位の高さとその踊り子との交際から生徒との関係で罷免されるまでと、その後の生活と教授が逮捕されるまでである。

  • 【本学OPACへのリンク☟】
    https://opac123.tsuda.ac.jp/opac/volume/715226

  • 矮小と崇高が入り混じる凄まじい話だった
    ウンラートは街の命運を握る(ある意味で神話的な)人物のようになってからも生徒を迫害しようとする教師でしかなかったのか
    ローザの人物像も興味深い 彼女は人間憎悪を持っていたわけでもないだろうになぜ共犯になったのか
    ウンラートへの仲間意識と反抗心

    ギリシャ・ラテンvs.(当時の)現代小説のくだりが興味深かった
    ウンラートが古典教師である点も重要な意味があるのか

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著者プロフィール

ドイツの作家(1871-1950)。戦間期、ヴァイマル共和国を代表する知識人として活躍。作家トーマス・マンは実弟にあたる。ナチス政権成立後、フランスに亡命。母国ではその著書は販売禁止となった。第二次世界大戦勃発後はアメリカに渡り、カリフォルニアで亡命生活を続ける。戦後、東ドイツの招きで帰国する予定であったが、直前に客死。代表作は本書『ウンラート教授』のほか、帝政下の臣民根性を痛烈に諷刺した長篇小説『臣下』など。

「2007年 『ウンラート教授 あるいは、一暴君の末路』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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