エセー 6 (岩波文庫 赤 509-6)

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  • Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003250969

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  • 「エセー(六)」モンテーニュ著・原二郎訳、岩波文庫、1967.10.16
    312p ¥300 (2020.10.07読了)(2020.09.30借入)(1974.03.30/5刷)
    第六巻にたどり着き、読み終わりました。『エセー』は、222頁までで、残りは総目次、人名・地名索引、事項索引、解題、等です。
    堀田善衛さんの『ミシェル 城館の人』を買わなければ、モンテーニュの『エセー』を読むことはなかったと思います。
    ラロシュフコーも買ってあるので、
    「ラ・ロシュフーコー公爵傳説」堀田善衛著、集英社文庫
    いずれ読みましょう。
    「カトリーヌ・ド・メディシス」オルソラ・ネーミ・ヘンリー・ファースト著、中公文庫
    も買ってしまいました。いずれ読みましょう。

    【目次】
    第三巻(つづき)
    第十章 自分の意志を節約することについて
    第十一章 びっこについて
    第十二章 人相について
    第十三章 経験について
    モンテーニュ年譜
    解題  落合太郎
    訳者あとがき
    総目次
    人名・地名索引
    事項索引

    ●職業(21頁)
    われわれの職業の大部分は芝居に似ている。われわれは自分の役割を正しく演じなければならない。
    ●公的な行為(35頁)
    すべての公的な行為は、不安定な、さまざまの解釈を受けやすい。あまりに多くの頭脳がこれを判断するからである。
    ●暦の変更(49頁)
    二、三年前にフランスでは一年を十日間短縮した。
    ●死について(96頁)
    死を恐れる人々はあらかじめ、死を知っていなければならない。だが私は、死がどんなものであるかも、来世にどんなことが起こるかも知らない。おそらく死は良くも悪くもないものであろう。
    ●裁判官(130頁)
    数人の者がある殺人のかどで死刑の判決を受けた。ちょうどそのとき裁判官のもとに、近くの下級裁判所の役人から報告があって、数人の罪人を捉えたところ、その者どもが素直に殺人を告白したので、この事件の疑いは完全に晴れたと言ってきた。裁判官たちは、最初の判決の執行を中止すべきか、延期すべきかを協議した。そこで、前例がないことや、判決を取り消すことの将来に及ぼす影響や、判決が合法で、めいめいの裁判官にやましい点がないことが考慮された。結局、このあわれな連中は法律の形式の犠牲になった。
    ●死について(167頁)
    おまえは病気だから死ぬのではない。生きているから死ぬのだ。死は病気の助けなど借りなくとも、立派におまえを殺す。
    ●子育て(181頁)
    父は、私を揺籃の時代から、領内のある貧しい村に里子に出し、私が乳を飲んでいる間、いや、その後も、そこに留めおいてもっとも卑しい普通の暮らしに私を慣らした。
    庶民の、自然の掟の下で、運命が子供らを作り上げてくれるのに任せるのがよい。

    ☆関連図書(既読)
    「エセー(一)」モンテーニュ著・原二郎訳、岩波文庫、1965.05.16
    「エセー(二)」モンテーニュ著・原二郎訳、岩波文庫、1965.11.16
    「エセー(三)」モンテーニュ著・原二郎訳、岩波文庫、1966.01.16
    「エセー(四)」モンテーニュ著・原二郎訳、岩波文庫、1966.10.16
    「エセー(五)」モンテーニュ著・原二郎訳、岩波文庫、1967.09.16
    「モンテーニュ」原二郎著、岩波新書、1980.05.20
    「ミシェル城館の人 第一部」堀田善衛著、集英社文庫、2004.10.25
    「ミシェル城館の人 第二部」堀田善衛著、集英社文庫、2004.11.25
    「ミシェル城館の人 第三部」堀田善衛著、集英社文庫、2004.12.20
    「モンテーニュ」宮下志朗著、岩波新書、2019.07.19
    「王妃マルゴ」アレクサンドル・デュマ著・鹿島茂訳、文芸春秋、1994.12.20
    「王妃マルゴ(1)」萩尾望都著、集英社、2013.01.30
    【内容情報】Rakutenブックス
    全6冊、ついに完結
    「われわれは死ぬことを心配するせいで、生きることを乱しているし、生きることを心配するせいで、死ぬことを乱している。生はわれわれを苦しませ、死はわれわれをおびえさせるのだ」
    『エセー』の最後の1冊である本書は、著者円熟の「第3巻」の後半部にあたる。37歳で早々と高等法院判事を引退し、隠遁生活のなか書き上げた第1巻・第2巻を刊行した後、モンテーニュはドイツやイタリアへ1年半に及ぶ大旅行に出かけ見聞を広げた。やがて、血で血を洗う宗教戦争が苛烈を極めた地元ボルドーに呼び戻され、新旧両派の調停役としての市長職を5年にわたり務めることになる。
    その厳しい経験の中から導き出したモンテーニュの人間哲学が、第3巻に注ぎ込まれている。自己・人間・生死についての徹底した観察と探究が、『エセー』の「真骨頂」と言われる第3巻において、より一層深められているのは、まさにそうした背景による。「人相について」「経験について」など、とくに引用されることの多い4編を収録。巻末に『エセー』6冊の総目次、「モンテーニュ年譜」付。

  • ようやく読み通した。
    この間に義父が亡くなって、その移動時間に読むことが多かったせいか、エセーは人間が生きて、死んでいくことについて書かれているように思えてきた。気持ちをしんと静かにして一人きりで読むようなのがちょうどいい。
    もともとモンテーニュは自分の死後に、身の回りの人がこれを読んで自分のことを思い出して楽しんでもらうために書き始めたらしい。これ自体が自分の体を張った実験っぽい。
    自分の身体的特徴、人相、持病、喋り方、一日の中の大便をする時間帯まで赤裸々に?書いてあって、しかも生前に出版して読書の反応に応える章があったりして、同時代でもかなり面白い読書体験だったのではないかと想像する。
    さすが母国語より先にラテン語の英才教育を受けただけあって古典の歴史、詩、哲学からの引用が多く、比喩や例え話が古すぎて余計に混乱を招くけれども、それでも人間が生きて、考えて、困って、楽しんで、死ぬということ自体はいつの時代も変わらなくて、色んな意見はあっても自分なりに選ぶしかないんだけど、モンテーニュならどう言うかという心の中のモンテーニュおじさんを持てる心強さを得たように思う。
    最後の解説に面白い章ばかりではないので拾い読みしてよいと書いてあって笑ってしまったが、また何年後かに読み返して楽しい読書だと思う。

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著者プロフィール

1533―1592。16世紀フランスを代表する思想家、モラリスト。現実の人間、事象を洞察し、人間の生き方を、長短さまざまな〈随想〉を通して探求した主著『随想録』は、フランスのみならず、世界各国に影響を与えた不朽の名著としてあまりにも名高い。

「2014年 『モンテーニュ随想録』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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