いやいやながら医者にされ (岩波文庫)

  • 岩波書店 (1962年1月16日発売)
3.60
  • (7)
  • (18)
  • (16)
  • (3)
  • (1)
本棚登録 : 161
感想 : 21
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (109ページ) / ISBN・EAN: 9784003251256

みんなの感想まとめ

軽快なコメディが展開されるこの作品は、17世紀フランスの劇作家モリエールによるもので、短いページ数ながらも笑いを誘う要素が満載です。物語は、医者に仕立てられた主人公が巻き起こす騒動を中心に、滑稽な人間...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 17世紀フランスの劇作家モリエールの喜劇。とても短いのであっという間に読めます。
    話の筋は本当にばかばかしい限りですが、あまりにもばかばか過ぎて随所で笑いがこみ上げてきます。(笑)これは現代でもギャグマンガとして立派に鑑賞できるような気がします。話の筋は筋として、誰彼となく棒で叩かれたり、お金にコロっと豹変する姿があったり、ごにょごにょとごまかす仕草がたびたびあったり、女性に言い寄ったりと、観客から笑いを取るバリエーションも見もので、モリエールの人間の滑稽な姿をとらえる確かな目が窺えます。
    ギャグマンガとはいえ、話の流れがきっちりとできていて、セリフも舞台特有の言い回しのようなので、これはオペラにしても面白いのではないかなと思っていたら、「あとがき」によるとちゃんとオペラにもなっているようですね。また人気の故、各国で翻訳・翻案され上演もされているようで、日本でも尾崎紅葉の翻案である『恋の病』をはじめ、様々な翻案・翻訳もあるとのことで、実際に舞台で観て大笑いしてみたいですね!(^o^)

  • 「病は気から」でモリエールが好きになったけれど、内容的には「病は気から」と似ている。
    医者嫌いのモリエールが、医者という存在を痛烈に批判(小馬鹿にしているようにも見える)していて、皮肉もたっぷり効いていて相変わらず面白かった。
    妻へのDV描写もちらりとあったけれど、これは風刺なのかな?と疑問に思ったけれど、現在も各国でモリエールの演劇が人気な中、DV描写も現在なりに必要な場面でもあると感じた。
    腕っ節の良い医者たちが滑稽になる場面はモリエール作品ならではだけど、上手い皮肉、上手い小馬鹿の仕方で飽きないし、この戯曲は僅か数十頁とありあっという間に読めるのでサクッと楽しみたい時にはおすすめ。
    また再読をしたいと思う。

  • 「ル・ミザントロープ」の不入りを支えるために書かれた作品で、これ単独で上演されることはなかったらしい。ファルスは、あくまでも本格的なドラマの添え物としての存在ということのようだ。世話浄瑠璃のようなものだったか。劇の初演は1666年だから、日本でもまもなく元禄文化の時代だ(もっとも、近松の活躍は18世紀初頭だが)。さて、劇そのものだが、もう徹頭徹尾風刺精神に満ちている。とりわけ揶揄されるのが医者の存在だ。しかし、新興のブルジョワジーもまた、主人公の医者に攪乱されながら相対化され、観客たちに笑いのめされる。

  • 初のコロナ陽性。うなされながら、読了。こんなお医者さんだったら辛い…と思い、主治医に感謝。このような時代もあったのだなぁと、

  • 111P

    コメディー、風刺、ユーモア

    初版発行: 1666年

    360年前に書かれたものがこんな面白いって凄いな。コメディーの古典だと思う。普遍的な笑い。

    モリエール
    (1622-1673)フランスの俳優、喜劇作家。本名ジャン=バチスト・ポクラン。オルレアン大学で弁護士の資格を取るが、女優と恋に落ち、劇団を結成。13年余りの巡業生活の後、1659年に風刺劇「才女気取り」で成功を収め、パリに定着した。「ドン・ジュアン」「守銭奴」「人間ぎらい」など、現在も国立劇場コメディ・フランセーズで上演される作品を数多く残している。

    いやいやながら医者にされ
    by モリエール、鈴木力衛
    【スガナレル】 学は大ありだい。おれみたいな 薪 つくりがほかにいたら、お目にかかりたいもんさ、物の道理はよくわかる、有名な医者の家で六年も勤めあげた、若いころにゃ、ラテン語の片言もしゃべれたもんだぜ。

    【スガナレル】 どうかしてるよ、あんなことを気にするなんて。仲よしどうしのあいだだって、ときにはちょっぴりこんなことをやってみるもんさ。好いて好かれたお前とおれだ、五つや六つ、棒でぶんなぐったところで、 情 は深まるばかりじゃないか。どれ、おれは森へ行って来よう。今日は必ず 薪 を百 束 持って帰るからな。

    (*1)キケロはローマの政治家、雄弁家(前一〇六~前四三)。樹皮と木のあいだに手を入れてはならぬ、つまり、親しい者どうしの仲を裂くな、という戒めは、フランスでは格言として古くから用いられていた。スガナレルはこれを、木と指のあいだに樹皮を入れてはならぬ、と言い誤っている。意味が通じにくいと思って、このように意訳しておいた。

    【ジェロント】 さきざき入ってくる金なんて、あてになるものか。なんといっても、現金を握っているに越したことはない。 他人 の金をあてにすると、どんなひどい目にあうかもしれん。死神さまは、相続人どもの願いや祈りに、耳をかしてくれるとは限らんからな。自分が食って行くために、誰かが死ぬのを待つとなると、いい加減ひもじい思いをしなけりゃならん。

    (1)モリエール劇では、医者はほとんどつねに大きなとんがり帽子をかぶって登場する。また大きな浣腸器をたずさえている場合もある。いずれにせよ、当時の風俗を誇張したものであろう。

    (2)紀元前五世紀ころのギリシアの名医。モリエール劇に登場する医者は、ヒポクラテスやガリエヌス等、古代の学者たちの説を好んで採用し、多くの場合、病気を治すことよりも、論理をもてあそんで満足する。患者より学説を重んずる当時の医学界の傾向を、モリエールが諷刺したものであろう。帽子云々は、むろんでたらめである。

    【スガナレル】 ではないんです。いやだというのに、むりやり医者にされてしまったんで。学者になろうなんて、一度も考えたことはなし、学校のほうは小学一年どまりですよ。どうして奴らがこんな途方もないことを思いついたか、さっぱりわけがわかりません。あの連中が力ずくでもわたしを医者にしようというので、観念してなることにしたんですが、患者にとっちゃ迷惑な話ですよ。そのくせ、妙な間違いがパッと世間にひろがって、誰もかれもがわたしを名医扱いする始末。四方八方から診察を求めにやってくる。

    いつまでもこんな調子で行くんなら、一生涯お医者 稼業 をつづけてもいいと思いますね。こんなありがたい商売って、あるものじゃない。だってそうでしょう、病気がよくなろうと、悪くなろうと、どっちみち謝礼にはありつける。責任がどうのこうのってことは、絶対にありません。仕立てる布地を好き勝手にぶった切るようなもんでさあ。靴屋が靴をつくる段になりゃ、 へま をしたら、 皮代 をしょいこむことになる。医者の場合は、人間一匹を台なしにしたところで、べつにどうってこともない。われわれにとって、大失敗なんて絶対にあるはずはない。悪いのは死ぬ奴、というのが通り相場になっている。要するに、この商売の面白味は、死人がみんなこの上もなくおとなしく、黙りこくっている点にある。殺した医者に文句をつける死人なんて、見たこともありませんからね。

    そんなものは、あとで聞くと、 くそ の役にも立たねえ 膏薬 みてえなもんだそうで。そこでこんどはゲロ吐き酒(*1)てえやつをためしてみることになりましただが、おらあ、ふんとにおっかなくて、そんなもの飲ませたら、あの世からお迎えがくるんじゃねえかと思いましただ。ああいうデブの医者どもは、妙ちきりんな薬を発明して、むやみに人を殺すというでねえか。

    【リュサンド】 愛してもいない男と結婚するくらいなら、いっそ修道院に入ってしまうわ。

    初演のとき以来、パリの観客が感嘆するよりも笑うことを好んでいることを、モリエールはいち早く感じ取っていた。一方に繊細微妙な心理の あや を理解することのできる二十人の観客があるとすれば、他方には、そうしたものを知らないために反撥する百人の客がいることが読み取れたのである。

     ところで、そのころの興行界では、一日のあがりが千フランを越せば、まずまずの成功、千フラン以下なら失敗といえないまでも不成功、千五百から二千フランなら成功、二千フランを越せば大成功ということになっていたらしい。モリエールの作品のうち、問題作の『タルチュフ』や『ドン・ジュアン』は、しばしば二千フランを越す興行成績をあげているし、大がかりな舞台装置をつかった『プシシェ』(コルネイユ、キノーとの共作)も、これに劣らぬ当りを取っている。十七世紀フランスで、これをしのぐ大成功を収めたのは、当時の流行作家トーマ・コルネイユ(大コルネイユの弟)のみであった。

    「『 力ずくで医者にされ』(Le Medecin par force )は、すばらしい傑作で、誰だってつい見たくなってしまいます。世の中にこれほど面白く、人を笑わせる作品はありますまい。いま、こうしてペンをとっていても、思わずおかしくなってきて、笑いがこみあげてきます。モリエールは、これをほんのくだらぬ おなぐさみ、と呼んでいますが、その おなぐさみ には、機智が満ちあふれており、この作品にたいする尊敬の念は、いまや疫病のようになって、パリじゅうの人びとが『医者』を見に駆けつけている、と申しあげねばなりません」。

     ファブリオーと呼ばれる民間伝承の文学は、十七世紀に入ってからも数多く残っていたが、印刷には付せられず、素朴な戯曲の形で保存されていた。南仏巡業時代のモリエールは、そのような戯曲が上演されるのを見たかもしれないし、すくなくとも筋書くらいは読んだのではあるまいか。一六五八年、パリに帰還するまでに、モリエールは現存する二篇のファルス『バルブイエの嫉妬』(La Jalousie du Barbouille)と『飛び医者』(Le Medecin Volant)のほか、いくつかの短い芝居(おそらくイタリア喜劇における筋書程度のものであったであろう)を書いている。『村の医者』もそのひとつであり、「モリエールが最後の手を入れないままに放置した」(グリマレ)初期の習作ではあるまいか。

    わが国でいちばん古い翻案は、わたくしの知るかぎり尾崎紅葉の『恋の病』(一九〇三、明治三十六年五月)であり、翌三十七年、博文館から刊行されている。以下、すこし長くなるが、第二幕第四場の有名な診察の場の一部(本文五〇頁一三行目~五三頁一六行目)を引用して、読者のご参考に供したいと思う。

  • 図書館では読めん...(笑)

  • ◆木こりが妻のたくらみから始まって名医に”仕立て上げられてゆく”さまを楽しむお話。「お笑い」的な、相手の発言にひねくれた解釈を加えるやりとりの面白さに加えて、その専門性を悪用する医者への風刺、その権威を信じる一般大衆の滑稽さが、なんとも面白いのです。ぼくは、読みながら終始ニヤニヤしていました。

    ◆はたして、”いやいやながら医者にされ”た木こりを「名医」に仕立て上げたのは誰でしょうか。それは本書に登場するすべての人たちではないかと思います。片方には、木こりの妻や、いやいやながら医者となった木こりのように適当なことをいう人間がいて、もう片方にはそれを信じ込む人がいる。なんとも滑稽な、社会の縮図です。初演は1666年とのこと。時代を超えた笑いのセンスには驚くばかりです。

    ◆ただし現代だと、唖(おし、発話障害)をネタにすることはタブーなのでしょうね。

  •  いいタイトルだ。
     病院の待合室、30分で読めた。

     戯曲一本。夫婦喧嘩で殴られた奥さんのいたずら(?)によりいやいやながら医者になった木こりが、町の金持ちの娘の病気を治すまで。この金持ちの娘というのが、親の決めた婚約相手と結婚したくないばっかりに唖を装っている。他に好きな人がある。

     金持ち(父親)は男の家柄と貧乏さゆえに娘との婚約を拒んでいたが、男の叔父が死んで、多額の相続金が入ると聴いて態度を一変させる(笑)。舞台は一挙にハッピーエンドへ、と。

     当時の観客は唖然としなかったのだろうか。叔父の遺産が入ったから……って、それはそれでどんでん返しだったとしても「ええーっ」ってならなかったか。それでいいのかモリエール。納得したか皆の衆。

  • たわいのない話でしたが、あとがき(解説)を読むことで理解が深まりました。同じ著者の『ル・ミザントロープ』を読んでみたくなりましたね。

  • コメディーの原点と言ってもいいかもしれないモリエール。けっこうなドタバタは吉本に通じるところもある?教訓らしいものは読み取れないけれど、医者を怒らせると大変なことになる、という最後の一言はなんとなく笑ってしまいました。小児科の学会で福岡かどっかに行った時に空港の本屋で買って読んだのが2012年4月21日。
    そしてまた今日読み直して、いささか古い感じがするけどやっぱ名作なんだろうな。最後がちょっとあっけない終わり方だけど。

  • モリエールの医者嫌いっぷりが見事。

  • やっぱモリエールは面白いねーっという本。
    「人間ぎらい」の穴埋めに書かれた、実際はちがうらしいけど、っていうのもよくわかる。
    心の機微を巧みに描いた作品もその良さがわかるのは100人のうち20人で、残りの80人はなにがなんだか理解できず、理解できないが故に騒ぎ出す、なんて下りがあるけどその80人も大満足の喜劇。
    20人にしか理解できない劇と、80人が楽しめる劇と、どっちがいいのか考えてしまう、のは野暮か。ま、ま、笑っとけ。

  • テンポよく読めた

    面白かったー

  • 090120(m 100203)

  • 二冊目のモリエール。これまた痛烈な人物描写が、読んで快感。

全15件中 1 - 15件を表示

モリエールの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×