クレーヴの奥方 他二篇 (岩波文庫 赤515-1)

  • 岩波書店 (1976年4月16日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (308ページ) / ISBN・EAN: 9784003251515

作品紹介・あらすじ

道ならぬつらいしかし清い恋に悩んでいるクレーヴ公の奥方が、夫君にそれを打開けて庇護を求めたために、心に悩むものを二人生じる結果になった、悲しい純潔な恋の物語である。フランス心理小説の古く輝かしい伝統の最初の礎石ともいうべき名作で、他に『モンパンシエ公爵夫人』『タンド伯爵夫人』を収める。一六七八年。

みんなの感想まとめ

愛と裏切り、貞節をテーマにしたこの作品は、フランス宮廷の複雑な人間関係を描いています。クレーヴ公は美しいシャルトル嬢と結婚しますが、彼女の心には別の愛が芽生えます。慎み深いクレーヴ夫人は、愛するヌムー...

感想・レビュー・書評

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  • 津村のよみなおし世界文学の1冊である。フランスの貴族の不倫とまでは言わないまでも結婚している奥方への恋の話である。しかも奥方が非常に美人でそれに男性が目を奪われるというパターンである。

  • 日本でいうと江戸時代に書かれた小説なのだけれど、なんとなく源氏物語の現代語訳を読んでいるような気分になったので不思議だった。浮気や不倫というとなんとなく不道徳・不真面目のような気がするけれど、真剣で真摯な内面的なところが非常に繊細に記述されていて面白い。まあそれで死んでしまうということはないだろうなと思うけれど、ここまでマジだったらこの当時なら恋わずらいで死ぬこともあっていい(20220316)。読み直してみてやっぱりヌムールが悪い。

  • 文学

  • 本当に美しい恋愛小説。夫のいるクレーヴ夫人はハンサムな貴公子ヌムール公の求愛を受けて心が揺れ動く。彼女の心の動きが精緻に描かれる。物語としても面白く、主人公の行く末が気になって、ページを捲ってしまう。きりりと引き締まった古典的な文体で、甘ったるい形容詞などは使われていない。訳者はこの物語を訳す時に、源氏物語の文体を意識したそうだ。そのためにこの訳書には雅やかな雰囲気が漂っている。クレーヴ夫人はヌムール公を愛しながらも、身を任せることなく自立した人間として生きることを決意する。この決断に深く感動した。

  •  
    ── ラ・ファイエット夫人《クレーヴの奥方 La Princesse de Clèves
    167803‥ France 19760416 岩波文庫》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4003251512
     
    (20160203)
     

  •  どこかでフランス文学史を触った時に、比較的序盤で名前を見かけた本。歴史を辿る意味で読んでみた。

     1678年出版ということで、それは古いのか?と調べてみたところ、「フランス心理小説の伝統を創始した不朽の作品(ブリタニカ百科事典より)」らしく、最初の近代小説とも言われる『ドン・キホーテ』が同じ17世紀の小説であることも考えると、とんでもない古典だったみたい。海外の古典を読む際、年代がどうとかあまり考えなかったので、17世紀と言われてもぴんと来なかった。もう少し文学史について学んだ方が良いのかも。


     既婚者であり、母親から貞淑な妻としての心をしっかり教わった主人公クレーヴ夫人は、イケメン(?)で独身のヌムール公の求愛に心を惹かれてしまう。貞淑な妻としてヌムールを撥ねつけるか、あるいは恋心に忠実になってしまうか。不倫がどうとか言うよりも、自身の生き方について懊悩しているような印象を受けた。
     亡き母の影響あってか、彼女は最終的には貞淑な妻としての行動をとる。

    「あたくしはそれ(自分の好きなものや自分を愛しているものに抵抗すること)はたいへん困難なことだということはよくわかっていますのよ。いくら道理ばかりたくさん考えても、自分の力はかえって信じられないのですから。クレーヴ殿のことを思って感じる義理というのも、あたくし自身の平穏な生活ということを考えているのでなければ、そんなに強いものではないのかもしれません。また、その平穏を求める心も義理に支えられていなければ、それだけではやはあり弱いものなんです」(p.290)

    の箇所からは、「貞淑」という一見古臭くて保守的な言葉が隠し持つ力強さを感じるし、不義をはたらかないようにと、夫に自らの揺れる気持ちを告白する箇所からは、これまた「貞淑」のイメージと異なる残虐さを感じる。このエネルギーがものすごい。“他の男が好きになっちゃったけど、あなたに相応しい妻でいたい!”これはひどい。こんなもの読んだら恐ろしくて結婚できなくなりそうだ。

     現代と大きく異なる価値観を持つ古典を読む意味は、こういうところにあるのでは?と思える小説。普段は陰になっている場所にスポットライトを当ててもらったようだった。

  • 残ってる古典って力持ってるなぁ。
    最初の関係図とかは読むのに疲れたけど、
    こんな細かく嫉妬心とか猜疑心について書いてある小説はみたことないわ。
    なんしか会話が長すぎてどんだけしゃべんねん!って何回も思ったけど、スタンダールの恋愛論やらなんやらの下敷きになってるんだと思うと一から十まで喋らせてしまうのもいいのかな。

  • デヴィ夫人が読んだそうで。

  • 夫とは別の男性に恋をする女性の物語。と、筋書き自体はいたってシンプルで結婚と恋愛は別腹な、いかにも中世フランス宮廷的思想なのですが、お話をややこしく、かつ、面白くしているのがクレーヴの奥方の心境でしょう。確かに激しい恋に焦がれてはいるけれど、その想いに決して溺れないよう踏みとどまろうとする奥方の信念とひたすら一途なヌムール公、両者の丹念に掘り下げられた心理の対比が見所ですね。とにかく恋が実れば良い。と考える男性とその先も見据える女性の相違。ここが肝だと思います。不義かもしれないけれど、貞淑なお話でした。

  • 抑えきれない想い、激しい情熱と厳しい抑制、嫉妬の懊悩のトライアングル
    神の目で全てがわかってしまうためにみなに感情移入してしまう。
    美しすぎるのは罪だな。

  • 奥方の心理は、現代においても非常にわかりやすい。やはり人間はいつの時代も人間なのだろうか。夫がいる身の貞節、女としての恋心にはさまれ悩む姿は今もよく目にする題材だ。
    ただ、勢力図や人間関係の説明には少々疲れたが、むしろ背景がよくわかりリアリティある話に思えた。クレーブ殿は繊細すぎというかなんというか、であったが。

  • 1678年の本です。
    日本だと、江戸時代です。
    だから、いまの小説だと、禁じ手である、
    「美男・美女」のお話になっています。

    そういう、枠組みやお約束事を了解した上で読むと、
    なかなか、ハラハラさせる展開が心地いいです。
    時代も国も遠く隔たったお話なので、
    作者が意図していることの何分の1かしか、
    伝わってこないのだとは思いますが、
    それでも、読んでみてソンはない小説です。

    この本には、表題作のほかに、
    「モンパンシエ公爵夫人」
    「タンド伯爵夫人」
    という短い物語も掲載されています。
    先にこの2つを読んで、枠組みを理解しておくと、
    表題作が、より親しみやすくなると思います。

  • 以前からいつか読んでみようと思っていた作品。フランスの恋愛心理小説の祖といわれている作品らしい。
    アンリ2世の治める宮廷を舞台に、年若く貞淑なクレーヴの奥方とクレーヴ殿、そして奥方に切ない恋心を抱くヌムール公の三人の物語を描く。
    クレーヴの奥方とヌムール公の苦しみも相当なものだったろうが、読み進めながら私が常に考えていたのはクレーヴ殿の苦しみだった。結婚後も自分の妻に恋しているのに応えてもらえない彼が、三人の中で一番痛ましく映った。互いに恋しているのに結ばれない辛さよりも、同じ想いを返してもらえない片恋の辛さの方がよく理解できるからだろう。
    最後に奥方がヌムール公に伝えた言葉は当時の貴族女性の結婚観が窺えて面白い。

  • 表題作もいいですけど、ギーズ公ファンとしては『モンパンシェ公爵夫人』が好きかも。

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