ジル・ブラース物語 (3) (岩波文庫)

  • 岩波書店 (1954年1月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784003252031

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  • 「廷臣の運命はあまりに空中楼閣です。」

    さまざまな経験をとおして、ますます賢く、世渡り上手になってゆくジル・ブラース。この巻はおもに、宗門人たちや政治についてのあれやこれやがに皮肉たっぷりに語られ、この世の不条理が浮き彫りになってゆく。宮廷の、お偉い方のあれやこれやのいかさま等。ははぁん、こうしてずっと昔から世界はこうしてまわっていたのだな。いまはもっと上手く、わたしたちは騙されているかもしれない。
    そして身分の高いひとに仕えるようになってから、彼はもう贅沢せずにはいられなくなってしまう。あいもかわらず、主人にたいしては誠実をつらぬいてはいるのだけれど。その身分の高さに酔いしれながらも、貧困生活をつづけるという矛盾。この時代のありさまをみごとにあらわしている皮肉のようにおもった。平民の搾取、中央政権のどす黒さ、人間の欲の、果のなさ。それに嫌気がさしたジル・ブラースはついに改心する。

    彼が病に伏したときに担当した医者の癖がつよすぎて細かくて、実際にモデルがいたのだろうなとおもえるほど可笑しくて、声を出して笑っちゃった。時々、エッセイを読んでいるような心地になり楽しかった。

    2025/3/17





    「普通の人間は、常に身分のある人間をはばかっていなければならん。どんなに不平を言う理由があろうと黙っていた方がいい。尊敬を払う価値のないつまらぬ貴族がいることは認めるが、下手をすると、たたるからね。おそれなければならん。」

    「この事実の中に利益と快楽があるのと同じ程度に名誉が伴わないのが何とも残念なことだが。」

    「御承知の通り、スペインの大公爵といわれる人たちの邸ではすべてが討伐抗争と陰謀で決せられ、お気に入りの使用人がご主人を支配し、その使用人たちはまたそれぞれ自分たちの従僕に牛耳られている現状ですから。」

    「場所もあろうに宮廷で、そんな聖人ぶったことを言うとは!どんな汚らしい格好で幸運の神が現れても、決して逃しはしないのがここのしきたりですよ。」

    「どんな性質の詩であろうと、すべての詩において良識と明晰とは欠くべからざる要素だ。君の言うたぐいなきゴンゴラとやらが君以上に明瞭な詩を書かないとあれば、はっきり言っておくが、僕は願い下げだね。せいぜい自分の時代しかごまかすこのできない詩人だね。」

    「我々宮廷人は、ただ結婚のために結婚する。美貌はただこれを友人の細君の中にのみ求めるね。偶然それが我々の細君の中に存在する場合も、ほとんど注意を払わないから、そのために罰をあてられても自業自得さ。」


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