赤と黒〈下〉 (岩波文庫 赤 526-4 9

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レビュー : 26
  • Amazon.co.jp ・本 (468ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003252642

作品紹介・あらすじ

この小説は一平民青年ジュリアン・ソレルの野心をとおして、貴族・僧侶・ブルジョアジーの三者がしのぎをけずる7月革命前夜の反動的で陰鬱なフランス政界と社会を、痛烈な諷刺をこめて描き出した社会小説である。

感想・レビュー・書評

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  • 東京都杉並区・武蔵野ゼミナールの根岸先生に勧められて。

  • 構成が分かりやすく、文章を書くためのテキストとして考えるといいのではないか。「パルムの僧院」でがっかりさせられたので、それに比べればよかった。日本語訳にバラつきが大きかったのは残念ではあった。少なとも現代語の助詞の使い方とは言い難い部分が散見された。結末は「二都物語」を彷彿させるものがある。しかし、20代でこの本を読んでいれば、恋愛についての理解はもっと若いうちから深まったであろう。

  • 家庭教師、神学校の第一部もいいが、加速度的におもしろいのは侯爵の書生となって、社交界デビューする第二部。舞台がぐんと華やかになる。
    出世するし、叡智はあるのに、生まれが悪いせいか、とことん性格が暗いジュリアン。なのに、持ち前の美貌を武器に、貴婦人、ご令嬢などを瓔珞していく。一歩間違ったら、安っぽいハーレム小説まがいなのだが、主人公がまったくの悪で女たらしではないので好感がもてる。

    ラストの処刑前後が圧巻。国王までギロチンにかけた国なのに、王政復古で階級制が息を吹き返す。しかし、主人公を死に至らせたのは格差社会だけなのだろうか。別訳で再読してみたい。

  • 切ないねぇ。どんなに身を立てたくても、
    もともと身分もないに等しい彼を
    フランスの社会は受け入れてはくれませんでした。

    彼の心にはナポレオンの野心がありました。
    しかしながら、身分を重んじる階級には
    それは敵としか映らなかったんですよね。
    だからこそ狂乱の中殺人を犯したジュリアンは
    死の道しかなかったわけで。

    二つの恋が出てきていたけど
    本当の恋は禁断の愛の方なんだよね。
    マチルドとの恋はいわゆる策略だからね。

    でも、確かにジュリアンは愛したのよ。
    だけれども、身分の違い、
    思想がそれを許してはくれなかった…
    せつねぇなぁ。

  • まさにカオスというに相応しい小説。村上春樹のいう総合小説とは、ドストエフスキーのようにその時代の流れのようなものを掴み、物語という形に変換することでその一切を語り尽くすというものであるが、赤と黒を敢えて何かの枠組みに当てはめる試みをするのであればこれは総合小説ではなく、むしろその時代にあるものをさながらイギリスの自然公園のようにそのまま移し込んだといった具合に感じる。それは不可能のようにも無意味のようにも見える。しかしながら、スタンダールはこの所業をやってのけた。出版当時人気が出なかったのは当時の人々にとっては少しも夢を感じなかったからではないだろうか。夢の中で現実を見ても大して嬉しくないのだ。だが、スタンダールは貴族、聖職、第三階級の関係性を綴るとともに男女の愛を描き、その2つの軋轢から生まれる自尊心と野望の滑稽さを浮き上がらせている。そして、その事象は単なる偶然で片付けるものではなく、階級から生まれる問題であることを多義的に表している。スタンダールの小説が後から賞賛を浴びるようになったのは時が経てば経つほどその問題の根源が理解されるようになったからではないかと感じた。

  • 上巻に比べて下巻は読むのがしんどかった。ジュリアンも高慢だけど対するマチルドも鼻持ちならない高慢ちき。お互いプライドばかり高くて相手を振り回すことにゲームみたいにムキになって、あまりいい印象を持てない。不倫だけどレノール夫人との関係のほうがむしろ微笑ましい。

    ラ・モール侯爵の秘書になってからはジュリアンの人生、マチルドの件を除いてトントン拍子に進んでいた。けど転落も早かった。あれだけ野心を持っていた男が生きる気力をすっかり無くしてしまう様もなんだか解せない。

  • 主人公ジュリアンがパリに向かう場面から始まる。この巻にはいると、レナール夫人とマチルドに対する愛が極めて対比的に語られる。前者では「自然」な感情が語られるのに対して、後者では勝利や支配、征服といった極めて策略的な関係が描かれる。もはや、後者の愛は偽善でしかない。
     加えて、この小説は、フランス革命やナポレオン戦争のモチーフが大量に動員され、なおかつ、マチルドはジュリアンにユグノー戦争時の英傑たちの精神を見ようとする。しかし、実際にやっていることというのは、上流社会での駆け引きと恋愛沙汰であり、そこには議会での討論もクラブでの活動も戦争も存在しない。だから、マチルドとジュリアンの関係はただちぐはぐなもののように感じられる。――最後の数章でのレナール夫人とマチルドに対するジュリアンの応対の差は、このちぐはぐさの表現なのではないかと思われるほどであった。

  • (こうやって死の二歩手前のところで自分と語り合っていてすら、おれはまだ偽善者だ……おお、十九世紀よ!) 446
    (…
    一、おれは誰か聞き手があるかのように本心を偽っている。
    二、もう余命いくばくもないおれが、生き、恋することを忘れている……ああ! レナール夫人がいない。多分、あのひとの夫は妻がここへ来て、ますます不名誉の上塗りをすることを許すまい。

    このことが俺に孤独の感を与えるので、公正、善良、万能の、悪意なく復讐心に渇していない神のいまさぬことではないのだ……)447

    「…あたしはあなたに、本当は神さまだけに対してもたなければならない気持をもっているのよ。尊敬と、愛と、服従の心のまざったもの……」(431f.)

  • ジュリアン、パリのサロン編。

  • 色々読みとるべきところはあるんだろうけどやっぱり恋愛の描き方のすごさに目が行ってしまう…。描き方っていうか駆け引き(無意識)っていうか…。
    アンナカレーニナのもっているようなキラキらしたロマンス要素は薄く、よりリアリティのある恋愛でした。

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著者プロフィール

スタンダール(本名アンリ―・ヘール)は、フランス革命からはじまるフランスの歴史的な激動時代を生き抜いた、フランスの代表的な作家。著書に「赤と黒」「パルムの僧院」「恋愛論」など。

「2016年 『ディズニープリンセス 「恋愛論」 Disney Princess Theory of Love』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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