赤と黒〈下〉 (岩波文庫 赤 526-4 9

制作 : Stendhal  桑原 武夫  生島 遼一 
  • 岩波書店
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本棚登録 : 534
レビュー : 21
  • Amazon.co.jp ・本 (468ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003252642

作品紹介・あらすじ

この小説は一平民青年ジュリアン・ソレルの野心をとおして、貴族・僧侶・ブルジョアジーの三者がしのぎをけずる7月革命前夜の反動的で陰鬱なフランス政界と社会を、痛烈な諷刺をこめて描き出した社会小説である。

感想・レビュー・書評

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  • まさにカオスというに相応しい小説。村上春樹のいう総合小説とは、ドストエフスキーのようにその時代の流れのようなものを掴み、物語という形に変換することでその一切を語り尽くすというものであるが、赤と黒を敢えて何かの枠組みに当てはめる試みをするのであればこれは総合小説ではなく、むしろその時代にあるものをさながらイギリスの自然公園のようにそのまま移し込んだといった具合に感じる。それは不可能のようにも無意味のようにも見える。しかしながら、スタンダールはこの所業をやってのけた。出版当時人気が出なかったのは当時の人々にとっては少しも夢を感じなかったからではないだろうか。夢の中で現実を見ても大して嬉しくないのだ。だが、スタンダールは貴族、聖職、第三階級の関係性を綴るとともに男女の愛を描き、その2つの軋轢から生まれる自尊心と野望の滑稽さを浮き上がらせている。そして、その事象は単なる偶然で片付けるものではなく、階級から生まれる問題であることを多義的に表している。スタンダールの小説が後から賞賛を浴びるようになったのは時が経てば経つほどその問題の根源が理解されるようになったからではないかと感じた。

  • 上巻に比べて下巻は読むのがしんどかった。ジュリアンも高慢だけど対するマチルドも鼻持ちならない高慢ちき。お互いプライドばかり高くて相手を振り回すことにゲームみたいにムキになって、あまりいい印象を持てない。不倫だけどレノール夫人との関係のほうがむしろ微笑ましい。

    ラ・モール侯爵の秘書になってからはジュリアンの人生、マチルドの件を除いてトントン拍子に進んでいた。けど転落も早かった。あれだけ野心を持っていた男が生きる気力をすっかり無くしてしまう様もなんだか解せない。

  • 主人公ジュリアンがパリに向かう場面から始まる。この巻にはいると、レナール夫人とマチルドに対する愛が極めて対比的に語られる。前者では「自然」な感情が語られるのに対して、後者では勝利や支配、征服といった極めて策略的な関係が描かれる。もはや、後者の愛は偽善でしかない。
     加えて、この小説は、フランス革命やナポレオン戦争のモチーフが大量に動員され、なおかつ、マチルドはジュリアンにユグノー戦争時の英傑たちの精神を見ようとする。しかし、実際にやっていることというのは、上流社会での駆け引きと恋愛沙汰であり、そこには議会での討論もクラブでの活動も戦争も存在しない。だから、マチルドとジュリアンの関係はただちぐはぐなもののように感じられる。――最後の数章でのレナール夫人とマチルドに対するジュリアンの応対の差は、このちぐはぐさの表現なのではないかと思われるほどであった。

  • (こうやって死の二歩手前のところで自分と語り合っていてすら、おれはまだ偽善者だ……おお、十九世紀よ!) 446
    (…
    一、おれは誰か聞き手があるかのように本心を偽っている。
    二、もう余命いくばくもないおれが、生き、恋することを忘れている……ああ! レナール夫人がいない。多分、あのひとの夫は妻がここへ来て、ますます不名誉の上塗りをすることを許すまい。

    このことが俺に孤独の感を与えるので、公正、善良、万能の、悪意なく復讐心に渇していない神のいまさぬことではないのだ……)447

    「…あたしはあなたに、本当は神さまだけに対してもたなければならない気持をもっているのよ。尊敬と、愛と、服従の心のまざったもの……」(431f.)

  • ジュリアン、パリのサロン編。

  • 色々読みとるべきところはあるんだろうけどやっぱり恋愛の描き方のすごさに目が行ってしまう…。描き方っていうか駆け引き(無意識)っていうか…。
    アンナカレーニナのもっているようなキラキらしたロマンス要素は薄く、よりリアリティのある恋愛でした。

  • 当時(高3?)は、情熱的な若者の恋愛小説、としか記憶がなかったが、
    権威、権力に対する政治小説だったんだね。
    時代背景を気にするようになったのは、20代になってから。

  • ジュリアンの考え方が自分に似ていると言われたけど、確かに似ている…
    いろいろなことを頭で考えて行動しようとする癖に最終的には感情で行動する部分とか。根本的に自尊心で動く部分なんかはずいぶんと違うと思うけど。

    18,19世紀のフランスを知らないし、特に当時の階級文化やら、恋愛感情なんかが理解に苦しむ部分が凄く多かった

    読みにくい部分と読みやすい部分がはっきりとわかれたけど、全体としては読みやすく全体に魅了される作品でした。

  • 上巻の途中から面白くなってきたので、早く続きが読みたかった。

    最後のシーンは非常に引き込まれるものがあった。

    長かったが、最後まで読んでよかった。

  • 結局のところ、こういうオチになるのもわかる気がする。
    それだけのテンション持った男だよね、ジュリアンって。
    腹をくくった姿はなかなか男らしくて見直した。

    しかし令嬢は気丈だ。
    デュマの「王妃マルゴ」を読み返したくなった。

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著者プロフィール

スタンダール(本名アンリ―・ヘール)は、フランス革命からはじまるフランスの歴史的な激動時代を生き抜いた、フランスの代表的な作家。著書に「赤と黒」「パルムの僧院」「恋愛論」など。

「2016年 『ディズニープリンセス 「恋愛論」 Disney Princess Theory of Love』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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