知られざる傑作―他五篇 (岩波文庫)

著者 : バルザック
制作 : 水野 亮 
  • 岩波書店 (1965年1月1日発売)
3.51
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  • 本棚登録 :270
  • レビュー :36
  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003252918

知られざる傑作―他五篇 (岩波文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 改めて読むと、無駄のない文章の美しさ、描写のリアル感、ともにとてもレベルの高い文体だと気づかされる。
    バルザック、どうみても“肉屋のおっちゃん”の風体なのになぜ美文?(笑)と思う。

    どれも秀逸ながら『砂漠の情熱』がやはり印象深いかな。
    身近にありうる感覚(絶対、身近にないシチュエーションだが)は、ともすると粘着質な描かれ方になりがちだが(心理小説とか)、しっくり・すっきりに感じるのは
    やはりバルザックならでは、か。

  • 表題を含むいくつかの短編が収められている。うまくいえないけどここには、現代文学が失いつつある背景に支えられた人の気持ちみたいなものがある。そこに出てくる気持ちには背景を伴った質量があり故に響くものがあるように思う。表題の作品は、そのまま芸術論のようでもあり気持ちの動きと併せて印象深い作品だと思う。他の作品もいい。

  • 芸術を突き詰めようとする画家の人間喜劇。

  • バルザックの短編を集めたもの。
    ざくろ屋敷については、『谷間の百合』に収録されていたが、それ以外の短編は初めて読んだ。人間喜劇を中心とした彼の人間への飽くなき探求の一頁。
    短いゆえに、人間同士のやり取りはそんなに多くはできない。社交から生み出される独特の相互作用は形成されない。その分、人間が根付く空間や状況によってつながる筋書きが十二分に生かされている。
    時は革命時分のフランス。戦争、恐怖政治の中にあって、ひととひととが交錯する。これらの小説を総じて『人間喜劇』と名付けるあたり、バルザックの生きることへの諦めに似たものを感じる。
    筋書だけとってしまえば、単純になってしまうが、それだけでは不十分なのは、空間や時間、状況といったものが密接に絡まって、人間というものを編み出しているからであると思う。そして、そうして動き出す人間を一短編の中にとどめず、可能性を別の作品においてもいかせるように、拡げたところも、時間の中で生きる人間というものの表現に一役買っている。
    ふとどこかで出会いそうな、そんな人間たちであるにも関わらず、その人間独特の物語が展開される。これを喜劇と言わずに何と言ったらよいのか。
    ずいぶん原稿にも工夫を凝らして、ことば以上の表現にも挑戦していたようであるが、どうやら、書くということを飛び越えてバルザックは何かを探していたのかもしれない。書くことのできない何かを求めて、彼は人間を追い求め、書き続けていた。

  •  
    ── バルザック/水野 亮・訳《知られざる傑作 19281125-196501‥ 岩波文庫》他五篇
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4003252918
     
    …… 鈴木 信太郎/渡辺 一夫・編:フランス文学19世紀(解説)
    《世界短編文学全集06 19630119 集英社》P7-34
    ── 《Le Chef-d'oeuvre inconnu 183108‥-1846 France》
     
     Balzac, Honore' de 17990520 France 18500818 51 /
    http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/search?idst=87518&key=%C3%CE%A4%E9%A4%EC%A4%B6%A4%EB%B7%E6%BA%EE
    ── Balzac《人間喜劇 La Comédie humaine 1842‥-19500818 France》
     |
    …… 1834年に彼はその著作全体を「19世紀風俗研究」、「哲学的研究」、
    「分析的研究」に分けて体系化することを考え始め、そして同年に執筆
    を開始した『ゴリオ爺さん』において、後述する「人物再登場法」を用
    い始めている。その後、1846年には『エポック』の当初の構想に変更を
    加え、執筆予定作品を含めた『人間喜劇』の総体系を発表した。しかし、
    1850年にバルザックが死去したことで結局、『人間喜劇』を終結させる
    ことはできず、執筆予定作品も50作品余りが残った。
    『人間喜劇』に属する作品は「Aの作品の脇役がBの作品の主人公になる」
    といった人物再登場法と呼ばれる手法を用いて、相互に関係づけられて
    いる。それによって、あらゆる階層、あらゆる人間を描いて19世紀の
    フランス社会を壮大に映し出している。作品は細かく分類・整理されて
    おり、具体的には風俗研究・哲学的研究・分析的研究の3つに分類され
    ている。(Wikipedia)
     
    (20161103)
     

  • 半分くらい読んで放置してようやっと読了。バルザックは2作目だけど短編ばっかり読んでる気がする…。一番印象的なのは表題作かな。もっとも最初の方の作品は読んだのが前過ぎて覚えていないのだけど…。2012/391

  • 「砂漠の情熱」の、一人ぼっちで砂漠に取り残された男が一匹の女豹と出会い打ち解け合っていくという筋書きはファンタジーっぽくて印象に残った。ただしラストにはがっかり。
    「ざくろ屋敷」の風景描写がきれいで、こんなところに住んでみたいと思う。都会のマンション生活のいかに味気ないことか…。
    「知られざる傑作」は芸術家って大変だな、と思った。絵描き、物書き、音楽家、なんにせよ一つのことを突き詰めるというのは周りが見えなくなりがちだろうなと。

  • 知られざる傑作のみ

  • 「人間喜劇」からの抜粋だそうで。邦訳は限られているみたいです。

    「砂漠の情熱」
    豹と兵士がだんだんと歩み寄るところがとてもとても、印象的なんです。・・・・なのにこの結末かい!?
    バルザックって結構ヤなヤツ??

    「恐怖時代の一挿話」
    フランス史がもう少しわかれば楽しめるところもあるんだろうな、と思いつつ。
    神父の「フランスのどこにも勇気が見あたらぬときに」
    という言葉が重いです。

    「エル・ベルディウゴ」
    メリメ「マテオ・ファルコーネ」なんかを彷彿とさせる、
    ばりばりの究極の選択もの。
    命の価値って本当、普遍的ではありませんね。
    光りますねえ。

  • バルザックのさまざまな辛苦を咀嚼して描き出したような作品には何か希望が見える。

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