ゴリオ爺さん 上 (岩波文庫 赤530-8)

  • 岩波書店 (1997年9月16日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784003253083

感想・レビュー・書評

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  •  ゴリオだ。ついにゴリオですよ!
    『ゴリオ爺さん』(1835)とは、フランスの怪物小説家バルザックが紡ぎ出した、最大のヒット作です★ バルザックで一作だけ選ぶとしたら(別に決めなくてもいいのですが)ゴリオでしょう。

     前年にバルザックのもう一つの有名作『谷間のゆり』(1834)が出ていることも考えあわせると、この作家の全盛期に著した小説と言えます✧
     キラキラ成分が多く、美しく狂い咲く『谷間のゆり』に比べ、『ゴリオ爺さん』は強烈な貧富の差をローラーコースターで往復するよう★ 酔います!

     時代は、ナポレオンが追われブルボン朝が復活した「第二次王政復古」の頃。舞台は、フランスの花の都パリ。
     当時のパリは、もとから家名があり社交界に息づくキラキラ貴族と、後で力や金を得たギラギラ成り上がり者、つましく暮らす庶民とが、くっきり層を成していたようです。
     ネクストステージへ進めるか。簡単ではないにせよ、才覚次第でチャンスも転落も含め逆転の可能性があり、混沌の中で異様に活気づいてるイメージです★
     冒頭、街の描写が長いし細かくて大変ですが、ここは踏ん張りどころ……

     上巻は、ペール・ゴリオを中心に、格安下宿屋のユニークな面々が登場を飾ります☆
     思い込みで突っ走り、上流のご婦人を住まわせてチヤホヤしたところ、一杯食わされちゃうおかみさん。
     立身出世を望んで法律を学びつつ、パリの貴婦人の心を射止めて成功したくもある、夢だらけの学生ラスティニャック☆
     この初心な若者を悪の道に引き込もうとする、影暗いヴォートラン★
     そしてゴリオです。部屋に高級な品々を持ち込むような暮らしぶりだったのに、着飾った娘たちが彼を訪ねるうち、吸い取られるようにして惨めに変貌していった爺さんの謎とは……?

     サマセット・モームが『世界の十大小説』で取り上げ、作者に「確実に天才とよぶにふさわしい人物」と最上級の賛辞を浴びせた傑作を堪能☆


    ▼下巻
    https://booklog.jp/users/kotanirico/archives/1/4003253094

  • 強者が弱者を踏み台にしていく、金と欲望が渦巻く当時のパリ社交界や社会の暗部。その世界で束の間の栄光を摑んだ勝者と、強者に利用された敗者、それぞれが辿る果ての破滅。そうした社会での立身出世意を夢見る一方でみずみずしい純真さもあわせ持っている青年と、娘二人を社交界に送り出して貢ぎ続けた挙句、報われないまま落魄しきって最期を迎える、強烈な父性愛をもつ老人との交わり。これらを巧みな構成と迫真の描写でものして強烈な印象を与える本作がバルザック35歳の作品であることには、音楽の世界でのシューベルトやモーツァルトの才能を思ってしまいます。

    この作品を読むと、再登場人物の前後談を含むバルザックの作品全体『人間喜劇』への興味がいや増します。
    バルザックの作品は、学生時代に読んだ『「絶対」の探求』『従兄ポンス』『従妹ベット』以来。今回、岩波文庫の2024年一括重版で出てきたのを機に読みましたが、やはり代表作の本作を最初に読むべきだったな、と今更ながら思いました。

  • いつの時代になっても変わらない人間の欲の深さや嫉妬、見栄といった負の部分に多くの焦点が当たっているので、時代を超えて迫ってくるものがあります。ゴリオ爺さんは、自分で分かっていながら娘たちに尽くしたのでしょう。その部分が可哀想で涙が出ました。

  • ゴリオが見せた父性愛とその顛末はトラウマとして封じ込められ,ラスティニャックの欲望は前向きなものとして残される,そういう時代かもしれない。

    文学作品として見た場合,写実主義の代表とも言えよう書き込みの多さが特徴的である

  • 下巻に合わせて記述

  • ゴリオ爺さんは傍から見るとかわいそうな人だけど、本人は娘二人を愛し続けることで満足しているのだから幸せなのかもしれないな。むしろ娘は過保護に育った分、お金があっても幸せではない気がする。しかしラスティニャックはダメ男だなぁ。若い頃はあれくらいハチャメチャでいいのかもしれないが、こちらの家族は可哀そう。振り返ると自分にもラスティニャック的なところがあった。家族には迷惑かけたなぁ。

  • ピケティの21世紀の資本から読んでみようと思った本。
    当時のパリの貴族の様子が描かれている。特に感情面の描写が豊かなのがとても良いと思った。
    法学部の楽聖がいかに立身出世をしていくかを考え、社交界を渡っていこうかという序章。
    どのように振る舞うべきかについても考えさせられる。

  • 再読終点。前回より楽しめた。人間の汚ない面が強調されているように思って、前回は気分が悪くなったけれど、こういう浅ましい人間は、実はどこにでもいることに気がついた。バルザックはおもしろい!

  • レヴュは下巻にて

  • 彼女のからだつきぜんたいがこの下宿屋の特徴をあらわし、またその反対に下宿屋は彼女の人品骨柄を包含しているのだ。

  • あれやこれやとお金関係で父を頼りに来る娘達に父はこれ以上にない愛情で接するが、自分が最期という時に見舞いにも来ない娘達の本性を随分前から知っていた風に言うゴリオにはとても驚きました。
    熊本学園大学:(まんぼう)

  • バルザックははじめて読みました。
    ストーリーはなんだか最後まで救いがないように思われて、気持ちが沈みましたが…。
    仕事を求めて上京した息子(娘)になけなしの生活費の中から仕送りを送る親、肉親に看取られずに死んで行く一人暮らしのお年寄り…。
    この小説の舞台は200年近く前のフランスだけど、肉親どころか誰にも気づかれずに亡くなる孤独死が問題視されている現代の日本、『ゴリオ爺さん』はとても他人事とは思えませんでした。
    親孝行ってなんだろう?と、親子関係について考えさせられた一冊。

  •  
    ── バルザック/高山 鉄男・訳《ゴリオ爺さん(上)19970916 岩波文庫》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4003253086
     
    ── モームは、バルザックを「確実に天才とよぶにふさわしい人物」
    と自著『世界の十大小説』のなかで述べている。バルザックは90篇の長
    編・短編からなる小説群『人間喜劇』を執筆した。── (Wikipedia)
     
     Balzac, Honore' de    17990520 France     18500818 51 /
     Maugham, William Somerset 18740125 France England 19651216 81 /
    http://d.hatena.ne.jp/adlib/19630119 人間悲喜劇
     
    http://twilog.org/awalibrary/search?word=%E3%83%90%E3%83%AB%E3%82%B6%E3%83%83%E3%82%AF&ao=a
    http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/search?idst=87518&key=%A5%D0%A5%EB%A5%B6%A5%C3%A5%AF
     ↑バルザック ↓人間喜劇
    http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/search?idst=87518&key=%BF%CD%B4%D6%B4%EE%B7%E0
    http://twilog.org/awalibrary/search?word=%E4%BA%BA%E9%96%93%E5%96%9C%E5%8A%87&ao=a
     
    (20120612)(20170915)
     

  • とにかく、くどい。
    これがフランス古典なのか。

    しかしながら、日本文学にはないこのくどさが、
    われわれ読者に情景をありありと浮かばせる。
    想像の余地がないということは、筆者の思い描く場面がそのまま
    伝えられているということでもある。

    場面をある程度把握するまでは、確かに疲れる作品ではあるが、
    一度頭の中に思い描けば、その中で進む物語にのめり込まずにはいられないだろう。

  • 読書期間:2010年1月5日-1月12日

    原題『Le Père Goriot』
    英題『old Goriot』
    著者 Honoré de Balzac(オノレ・ド・バルザック)

    感想は下巻で。

  • 古典イコールお堅くてとっつきにくいのかな~、と手を出さずにいたけど全然そんなことがなくて面白い。
    パリジャンの言葉遊びを交えた軽快な会話や、王政復古時代の貴族の馬鹿馬鹿しくも本人たちにとっては必死な生活が興味深い。

  • 喜劇にして、悲劇なのか。日常の喜劇とは。人間の喜劇とは。

  • フランス文学の授業でこれを読み、衝撃を受けました。
    すさまじくリアルな人物描写には鳥肌が立ちます。

  • 2008/01/23

  • 2007.11. ゴリオ!やっと上巻を読み終わった。やっぱり、翻訳物は読み進めにくい。ラスティニャックがやっっっと社交界へ出ていけたんだけど、どうなるんだ、ゴリオは。主役はゴリオ爺さんのはずなのに、ラスティニャックのことばかり語られているような…。長い長い会話や心理描写が、鬱陶しいようで気づいたら引き込まれそうになっている。そのまま下巻も読み終えたい。昔の、今はもうないパリでも人々は今と同じように醜い思いとか駆け引きとか、いろいろ隠したつもりで生きているらしい。そして、ゴリオの行く末は・・・。

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