レ・ミゼラブル 4 (岩波文庫 赤 531-4)

  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (623ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003253144

作品紹介・あらすじ

1832年6月5日、パリの共和主義者は蜂起した。激しい市街戦が展開する。バリケードにたてこもった人々の中にはマリユスとジャン・ヴァルジャン、そして今やスパイとして捕われたジャヴェルの姿があった。物語はいよいよ大詰にむかって進展する。

感想・レビュー・書評

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  • 全4巻を読了し、ジャン・バルジャンにすっかりぞっこんである。その強烈な存在感、鋼のような意志と強靭な肉体を持ち、精神は高潔。ヒロイックで且つ聖人。(時に「ダークマン」。)
    いま俺的には三大文学ヒーローが居る。
    ストリックランド[月と六ペンス]、そしてヴィターリス師匠[家なき子]、そしてジャン・バルジャンだ。

    <ネタばれ注意> 

    *****
    パリ市街「防寨」(訳語が旧い)での市街戦の場、ユリウスのもとに、ジャン・バルジャン、さらには警視ジャベルまでぶち込んでくるとは。なんとも大胆な物語展開。やはり劇画度が強いな、という印象を改めて感じた。
    そして、ふと「麒麟がくる」を連想した。思えば少年ガブローシュやエポニーヌ、そしてテナルディエすらも、「麒麟」における菊丸や駒のように、主要人物の人生の縦糸を交錯させてゆく。ユリウスやコゼットを追跡したり探偵して住処をつきとめ、文を連絡したりするのだ。ジャン・バルジャン「父娘」とユリウスの人生を結びつける横糸の役割を担っているのだ。

    最終盤、パリ市街の動乱。ジャン・バルジャンはここでも(陰ながら)超人的な活躍。その劇的な展開ののち、マリユスとコゼットは結ばれる。 だがきっと普通の幸福で安楽な終幕は無いだろうな…。いかなる波乱が待っているのか…、と胸騒ぎのような感じを抱きつつ読み進めた。そして、そうかそうきたか…の終幕。飽くまでも高潔な生き方を貫くジャン・バルジャンなのであった。

    ただ、ジャン・バルジャンが秘してきた多くのことが最終盤でユリウスの前に詳らかになり、彼の誤解も解ける。そのことは大いにスッキリ。

    テナルディエは最後までしぶとく、徹頭徹尾、最低な下衆野郎、唾棄すべき男なのであった。

  • 6か月ほどかけて全4巻読了。長かった(^^;
    途中物語とは関係ない歴史的背景や著者の思想などの話が結構入っていて、それで進みが止まる。。っていうのを繰り返してやっと終み終えた。興味深い挿話もあればそうでもないのもあった。どこかの誰かの感想でコゼットは中身的に魅力がない、エポニーヌの方がよいと書いていた。少しわかる気がする。見た目はすばらしいのでしょうけど、、。当時の女性観はそんなものなんでしょうか。見た目が麗しければ中身も素晴らしい的な。。

    最後はハッピーエンドなんだと初めて知った。長かったけど読んだあとの達成感はアリ。

  • 20171217
    演劇、映画でも有名なレミゼラブル。
    題意としては、社会の悲惨な状況が生み出す貧困や犯罪を如何にして無くすことができるか。1832年のフランス6月革命もテーマとなっている。
    政治経済の話では、再分配する政策を上手く機能させる事が重要である。資本主義をベースに経済的に豊かにする政策を取りつつ、貧困を掬い取る分配策を講じる必要がある。
    経済政策が社会を救うというメッセージ以上に、人間の精神性の向上を深く考えさせられた。すなわち、愛についてである。
    幸福な人間関係を築くこと、つまり最愛の伴侶と生きていくこと。神の教えに従い、自分の良心=魂に背かない生き方とは何と素晴らしいことか。自分の信念をどう見つけるかは、とても難しいテーマであり、レミゼラブルでは神様の教えが重要な軸となる。人の英知が詰まっている宗教であり、愛に満ちた、本当に参考になる教えである。
    自分の全てがキリスト教をベースとすることは無いものの、自分を大きく占める考え方であるし、これからも自分の魂をブラッシュアップしていくことに邁進していきたい。

  • 全部合わせて2ヶ月ぐらいかかり読了。マリユスが真実を掴んでくる展開、そのときのジャンヴァルジャンの態度。そしてラスト。語り継がれる作品です。おこがましいですが。

  • 長い読書であった.5ヶ月くらい読んでいただろうか.
    小学生の頃に小学館の「少年少女の世界文学全集」で「ああ無常」を読んで以来の再読.読書の力が弱かった私が,二段組のこの本を小学生のころに読めたのは今思えば不思議.またまた不思議なことにこの本の表紙にあったマネの絵も覚えている.よほど異国の話として強い印象があったに違いない.
    さて,この岩波版の完訳本.ずいぶんまえから家の本棚にあっていつかは読もうと思っていたのだけど,今年のお正月にようやく読み始めた.ストーリーが面白いのはいうまでもない.波乱万丈.19世紀の小説の楽しみが詰まっている.しかし,ところどころ,著者の冗長な挿話的エピソードが続く部分がこの本の通読を著しく困難にしている.
    しかししかし,こういう部分はよほど歴史,風俗に興味のある人以外読み飛ばしてかまわないのではないかと思う.実際に私は数十ページの単位で何度も飛ばし読み.この本が面白いと思えばもう一度読むときに細部を読めばいいのだし,あまりストイックに完読することを考えなくても良いのではないか.そういう意味では抄訳を読むのもいいと思う.
    読み終えてしまえば,こうして長い時間,読み継がれているのが納得できる良さがある.子供の頃にも面白いと思って読んだに違いないものを,大人になっても楽しめるというところに良い作品の良さがあるし,読書の愉しみがある.

  • ひたすらに冗長だと思って読み進めていた蘊蓄部分がどんどん主筋に絡められていき、ストーリーに深みを持たせているあたりがなんとも奇妙な感覚。

  • 最後は涙止まらなくなりました。
    うまく説明できないけれど、この作品が長く愛され続けている理由がわかった気がします。
    読めてよかった、出会えてよかった。
    ジャンヴァルジャン、凄く好きです。

  • ABCの友たちは暴動を企て飯屋に立てこもった。
    マリユスはコゼットへの遺書の手紙をガヴローシュに彼を逃がす目的も込め預ける。受け取ったジャンは喜ぶが、考えて彼も暴動へ参加する。ジャヴェルが捕まっていたが、砲撃手を倒した功績でジャンは彼を撃つ権利を得る。しかし外に出た所で逃がし、空砲を撃つ。ガヴローシュもABCの友もみんな死んだがジャンはなんとかマリユスが撃たれ気を失ったところを下水道へ引き込み彼を抱えたまま脱出をはかる。下水道についての執拗なまでの凄まじい説明と描写。困難を極めたがテナルディエが鍵を持っていて偶然外に出られる。そこでジャヴェルに遭うが捕まえる前にマリユスを家に送らせてくれと頼み、また家にコゼットへのメッセージを残させてくれと頼み家に着くとジャヴェルの馬車はいなくなっていた。良心の呵責に耐えかねジャヴェルは自殺する。
    マリユスが目を覚まし養生とともにジルノルマン氏は全てを許しコゼットとの結婚も許し祖父と孫は和解する。コゼットとマリユスは再会し婚約する。ジャンは器用に二人の婚姻や相続財産の中に名を残さぬよう立ち回り、結婚式翌日マリユスに自分が徒刑囚であることを明かす。コゼットに毎日逢いに来るがマリユスはそれを避けるようにさせ、また財産の出処を恐れ使わない。ジャンは苦しみながら会わないようにして病気となり遺書を書く。
    テナル氏となる者がマリユスに会いに来てジャンのことを言って金銭を要求する。そこでマリユスはジャンがジャヴェルを殺していないことを知り、また自分の命を救ったことを知り父の恩人であり悪党であるテナルディエに金銭を投げつけ追い払い、コゼットと彼に会いに行く。そこでジャンは最後、幸せに死ぬ。

    大作だ。ただの娯楽小説ではなく、フランスで起こった暴動への動機など、当時若者や民衆が抱えていた想いなど社会的な問題にも深く込み入っている。また信仰、善行、無私についてはこの物語に貫かれているテーマだろう。ジャンの生き方には胸を打たれる。またマリユスの父の恩人たるテナルディエと愛するコゼットを巡る葛藤など、深く張られた人間関係の巡り合わせも大変に面白かった。名訳でした。大満足です。

  • 映画を見たとき、ジャヴェルが自殺する動機がいまいちよく分からなかったが、原作を読んで納得。
    フランス革命の頃のフランスの風土、文化、政治、民俗などが非常に濃厚に描かれ、読者は引っ張りこまれる。
    エポニーヌの死の場面、ジャヴェルが自殺に至る心理、コゼットの服に泣き崩れるジャン・ヴァルジャンなど、原作にしかない場面こそ、この小説の白眉だと思う。
    (2015.5)

  • 当時の社会情勢もわかる。

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