死刑囚最後の日 (岩波文庫 赤 531-8)

制作 : 豊島 与志雄 
  • 岩波書店 (1982年6月16日発売)
3.44
  • (11)
  • (13)
  • (43)
  • (4)
  • (0)
  • 本棚登録 :250
  • レビュー :27
  • Amazon.co.jp ・本 (169ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003253182

死刑囚最後の日 (岩波文庫 赤 531-8)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 薄い本なのですぐ読了。何の罪か分からないある死刑囚が死刑執行される日までの心情を書いた内容。レミゼラブルの著書ユーゴーは死刑反対論者ゆえか死刑判決を受けた人間も最初は終身刑で生き長らえるより死刑になった方がマシだと言っていたのが最後は命乞いするようになっていく心情の変化を淡々と書いている。ギロチンの刃がうまく作動しなくて何度も刃を落とされた実例も死刑囚としては恐いだろう。死刑制度に犯罪抑制力効果が無いのは、教育や家庭環境や貧困も原因だろうし、死刑執行まで長い年月がかかり隠密に行われるからかな。死刑判決が出るほどの罪は現世で贖罪か死で償うしかないと思うのだが。

  • どのような罪を犯した上での死刑囚なのか語られることなく、死刑が執行されるその日に死刑囚の考えがどう推移していくかを中心に話が展開していく。徒刑囚として生きながらえるよりは、いっそのこと死刑とされることを望んでいた死刑囚の気持ちがどう変化していくかが、強い印象に残る。
    時代背景が違う現代において、短絡的に死刑を廃止するべきかを述べることはできないが、死刑という制度について考える機会を与えてくれる一冊であることは間違いない。

  • 死刑囚が、判決を受けてから刑を執行されるまでの精神の動きを描いた作品。
    徒刑に処せられるよりは死刑の方がましだ、と最初考えていた死刑囚が、命があるだけ徒刑の方がましだと考えるようになり、刑の執行が近付くにつれて当初持っていた冷静さ・平静さをなくし特赦を求めてわめくさまは圧巻。

    作品の根本にあるのは著者、ヴィクトル・ユーゴーの死刑廃止の思想であり、いかにその制度が非人間的であり、不条理なものであるのかが伝わってくる。

    小説部分はそこまで読みにくくはないが、小説の後にある(執筆されたのが小説発表の後なので)序文はわりと読みにくい。
    いいたいことはわからんではないけど。。

  • 2013.8.20 読了

  • 始めは不名誉な長期刑より死刑を望んだ男(何の罪だか判分からないようにしてる)の心境を最後の1日を通して描く。
    ジャン・ヴァルジャンの原型みたいな告白をしてくる悪党や父の運命を知らぬ娘との面会など短いながらも印象的な場面が多い。
    作者自身の前書きというか詳しい解説つき。
    最期の瞬間は俺もこうなる。

  • kindleで無料だったので読了。

  • 外国文学は苦手なのですが、卒論の資料として読了。
    19世紀フランスの文豪、ヴィクトル・ユーゴーの作品。
    小説としてではなく、死刑文学を考えるという視点から★4つの評価。


    小説そのものより、最後の序文がとにかく秀逸。
    1829年に書かれたものと考えると、衝撃です。
    今、私たちが展開する死刑存廃論は、めぐりめぐってもう新しい論は生まれない。
    しかし、その到達点以上のところに、ユーゴーは到達しているような。
    そういう死刑反対の論理を、彼なりに、今からすでに一世紀と3分の2世紀前にユーゴーは展開しているわけです。
    そして、彼の提言が今の日本ではまだ実現されていない。
    死刑、特に現行の日本の刑罰としての死刑を論ずるにあたって、読むべき1冊ではありますよね。


    ユーゴーの死刑廃止論。要約してみます。

    1.罪を犯した人間は社会に害をなしたのであり、再犯のおそれがある(=矯正不可能である)ものは生かしておいてはならない、という死刑肯定の大きな論拠に対する反論

    ユーゴーは、そのためには終身懲役で充分だと主張。
    看守がいれば十分なところに、ギロチン、死刑執行人はいらない。

    2.罪を犯した者は当然償わなければならない、という考え方に対する反論

    復讐は個人の事であり、罰は神の事である。そして社会は、両者の中間にある。中間にある社会は、復讐するために罰してはいけない。
    社会は、神が為すべきことと、個人が為すべきことを併せて一緒にやってはいけないのだ、と主張。

    (つまり、死刑制度というのは「復讐するために罰する」という行為を社会がやっているわけです。
    そうではなくて、社会は「改善するために矯正する」ということを為すべきだ、とユーゴーは主張しています)

    3.実例論(死刑肯定論)への批判

    実例論というのはつまり、犯罪抑止論、見せしめのための刑。

    見せしめのために、ないしは犯罪抑止力として死刑をやろうとすれば、とどまることのない死刑を触発せざるをえない。

    1820年代終わりごろから、フランスでは公開処刑だったのが、こそこそと裏で処刑が行われるようになった。つまり、死刑を行う側が死刑に対して恥を覚えている、罪の意識を持っている、ということの証拠である。
    そういう堂々と正義であるということを貫き通すことができないような刑罰をやってはならない、と主張。


    2と3の論拠はかなり深くて秀逸だと思う。
    現代社会にだって通用するような考え方だなと感じるからです。

    特に3なんて、今の日本の死刑そのまんま。秘密主義、進まない公開。すべては隠されてる。死刑を正義だって考えて存置している以上、情報は全て公開して堂々と処刑を行うべき。やましいところがあるのなら、死刑はすべきじゃない、と思う。


    最後に、ユーゴーはかなり興味深いことを書いています。

    死刑というのは、罪を犯した本人に対する刑罰であるはずなのに、その人と一緒に生きてきた、非常に大事な関係を結んできた家族等々を同時に処刑することになってしまう。


    …もっともっと国民が考えなければならないよなあ、と思ってしまいますね。
    もちろん死刑賛成論も廃止論もどちらも考慮に入れたうえで、もう一度見直す必要のある、究極のシステムです。
    国家が命を奪う、そういうシステム。うーん、難しい。

  • ブックオフ太田、¥240.

  • 描かれる部分と一切描かれない部分の対比が美しい。

  • まさか自分が、という人間の感覚を上手く表現していると思う

全27件中 1 - 10件を表示

死刑囚最後の日 (岩波文庫 赤 531-8)のその他の作品

死刑囚最後の日の詳細を見る 死刑囚最後の日 ヴィクトル・ユーゴー

ヴィクトル・ユーゴーの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ドストエフスキー
三島 由紀夫
ヘミングウェイ
遠藤 周作
ドストエフスキー
フランツ・カフカ
三島 由紀夫
ドストエフスキー
フランツ・カフカ
ウィリアム・ゴー...
ドストエフスキー
有効な右矢印 無効な右矢印

死刑囚最後の日 (岩波文庫 赤 531-8)に関連するまとめ

死刑囚最後の日 (岩波文庫 赤 531-8)を本棚に登録しているひと

ツイートする