モンテ・クリスト伯 1 (岩波文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (353ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003253311

感想・レビュー・書評

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  • 1815年2月、マルセイユの港に商船ファラオン号が帰還する。一等運転士の若者エドモン・ダンテスは、航海中に病死した船長の代わりにテキパキ仕事をこなし、船主モレル氏に時期船長に推すと言われ、希望に満ちて、貧しい父と、愛しい恋人に会いにいく。しかしダンテスの出世に嫉妬する船の会計士ダングラールの悪だくみで、翌日の結婚パーティの最中にダンテスは突然逮捕され、監獄に送られてしまう・・・。

    子供の頃に『巌窟王』は読んだのであらすじはもちろん知っているのだけれど、2018年に現代日本に舞台を置き換えたドラマが放映されて、いやいや無理でしょと思いつつも見ていたら面白くてすっかりはまってしまい、そうだ、この勢いなら元ネタの『モンテ・クリスト伯』も面白く読めるかも、と岩波文庫全7冊を購入、しかしなんやかんやで積んだまま1年以上放置してました。今になってようやく着手。

    備忘録とあらすじ兼ねて以下登場人物などを勝手にまとめます。

    〇エドモン・ダンテス:主人公。物語スタートの時点ではもうすぐ19歳。ファラオン号の一等運転士。爽やかな好青年で、働き者なので船主モレル氏の信頼も厚く、部下の船乗りたちからも好かれている。母はすでに亡く、病弱で老いた父と貧しい二人暮らし。
    前任の船長からも信頼され、病死直前の彼から遺言として、エルバ島にいるベルトラン元帥への届け物を託される。ダンテスはそれを届け、さらに元帥からの返事の手紙をパリのある人物へ届けるよう頼まれ持ち帰る。この「手紙」が後にすべての元凶となる。

    ここで当時(1815年)のフランスの情勢をお勉強。フランス革命(1789-1799)後の混乱を収拾して1804年に軍事独裁政権を樹立したナポレオンが、その後数多の戦争を経て失墜、再び王政復古となりルイ18世(ルイ16世の弟、アントワネットと不仲だった)が1814年即位、ナポレオンはエルバ島へ追放されていたが、なお王党派とボナパルト派の対立抗争は水面下で続いていた。

    ダンテスが船長の使いで立ち寄ったエルバ島にはこの時ナポレオンがおり(ダンテスも面会している)船長は要するにボナパルト党の密使だった。ダンテスが元帥から持たされた手紙はパリのボナパルト党の仲間への連絡、つまりそれを運んだダンテスもボナパルト党一派の密使とみなされ、密告されることになったわけですね。そしてダンテスが監獄にいる間にナポレオンの逆襲による「百日天下」がなり、すぐにまた転覆するのですが、その間もダンテスは何も知らず収監されています。

    <ダンテスの味方>
    〇メルセデス:17歳。ダンテスの相思相愛の美しい恋人。スペイン移民の子孫の住むカタロニヤ村在住。

    〇モレル氏:ファラオン号の船主=ダンテスの雇用主。ダンテスをとても可愛がっており、いきなり逮捕された彼を助けようと何度も奔走するが、お人よしすぎてヴィルフォールの嘘に丸め込まれてしまう。

    〇ファリア神父:ダンテスが収監された政治犯の監獄=マルセイユ沖の孤島にあるシャトー・ディフ(イフ城)の地下土牢の囚人。隠した財宝のありかを教えると吹聴するため狂人と思われているがそれは事実。ダンテスと意気投合し、彼にその財宝を残す。

    <ダンテスの敵>
    〇ダングラール:25歳、ファラオン号の会計士。嫉妬深く、卑屈で、みんなの人気者ダンテスを憎んでいる。彼の出世を妬み、フェルナンを利用して、ダンテスを陥れる嘘の密告状を検事に届けさせる。

    〇フェルナン:21~22歳くらい。メルセデスの従兄。両親を亡くしたメルセデスと一緒に育ち、彼女にずっと粘着質な片思いをしている。メルセデスがダンテスと結婚することを知り、嫉妬からダングラールが書いたダンテスを陥れる密告状を検事に届ける。

    〇ヴィルフォール:27歳。マルセイユの検事代理。検事がたまたま出張中だったため、ダングラールが作りフェルナンが届けたダンテス密告状を受け取りダンテスを取り調べることに。

    このヴィルフォールの背景が結構複雑。彼はサン・メラン侯爵の娘ルネとの結婚が決まっているが、貴族である侯爵家は当然のように王党派、しかしヴィルフォールの実父はボナパルト党の有力者。ヴィルフォール自身は現政権である王党派に媚びて出世する心づもりでルネとの結婚を決めたわけだが、ここへダンテスの事件が持ち上がる。

    当初、ダンテスはただの運び屋として利用されただけだと見たヴィルフォールは、ダンテスの無罪を認めようとするが、彼が証拠として差し出した件の手紙の宛名をみて驚愕する。なんとそれはヴィルフォールの父ノワルティエの名だった。

    この手紙が裁判で提出されれば父親は逮捕されヴィルフォールの出世も台無しになる。ヴィルフォールは手紙を燃やして証拠隠滅し、ダンテスを騙して裁判無しで投獄する。のちナポレオンの百日政権もうまく乗り切ったヴィルフォールは、さらなる権力を手にする。

    〇ノワルティエ:前述ヴィルフォールの父。ナポレオンの復権のためさまざまな裏工作をおこなっていた豪胆な人物。息子とは不仲だが悪巧みのときは結託する。

    〇カドルッス:ダンテスの隣人。小物だが、根っからの悪党ではない。ダングラールとフェルナンがダンテスを密告したことを知る唯一の人物。直接加担はしておらず、ダンテスの逮捕には同情的。


    1巻は、罪状もわからぬまま投獄されたダンテスが餓死自殺を図ろうとするも、隣の独房にいたファリア神父が土を掘って出現、ダンテスと仲良くなり、彼の置かれた立場を看破、復讐すべき相手をダンテスに悟らせ、彼に教養と知識を与える師となる。しかし病に倒れ、財宝のありかをダンテスに言い残すところまで。

    想像していたよりずっと読みやすく面白い!岩波文庫にありがちな膨大な訳注もないので(その代わりフランスの時代背景は自分で調べた)すらすら読み進められます。ダンテスの敵としては、ダングラールとフェルナンはつまらない嫉妬から陥れようとする平凡なクズだけど、ヴィルフォールは政治的に複雑な背景もあり、なかなか手強そう。

    今のところどうしても脳内キャストが日本版ドラマなので、ダンテス=おディーン様、ダングラール=新井浩文、フェルナン=大倉忠義、ヴィルフォール=高橋克典で再生されています(笑)

  • フランスを代表する大作家による大河小説。
    始まりとなるこの巻の物語は、
    幸福から絶望に突き落とされた主人公ダンテスが、
    監獄の中でで師となる囚人ファリア司祭と出会い、
    自分が落された罠、財宝の秘密等を知らされるまで。
    個性際立つ登場人物たち。
    ダンテスの投獄のきっかけを作った者たち、
    ダンテスを愛し、信ずる者たち。
    親子関係。二つの婚約披露と美しい許婚者たち。
    彼らはナポレオン時代~第一復古王政~百日天下~
    第二復古王政の歴史の変遷に翻弄され、行動する。
    そして監獄の中のダンテスは・・・。
    思えば、小学校高学年のときに名作全集で読んだのが
    きっかけで、中学生になってこの岩波版に出会い、
    以後、何度もボロボロになるまで繰り返し読みました。
    今回は、全巻買い替えての久々の読書となります。
    明るいマルセイユの空、陰鬱なるシャトー・ディフ。
    この対比が鮮やかであるほど、ダンテスの運命の変化の
    恐ろしさが際立ちます。
    さぁ、先はどう展開されるのか?
    あ、読むの止められない!・・・・やっぱり面白いなぁ~。

  • 注:全7巻のうちの1巻の段階でのレビューです。

    フランスの文豪の大文学の序曲…と書くと尻込みしてしまう人もいるかもしれないが、その内容もさることながら、セリフや改行の多い言ってみれば純文学らしからぬ文体なので、意外とかなり読みやすい。ただ僕としては、この作品のレビュアーがしばしば言うところの「一気に読んでしまえる特性」や「物凄い楽しさ」は少なくともこの1巻ではあまり見出すことができなかった。

    というのは一つには、この物語ので出しが当時のフランスの政治に強くかかわっているところによると思う。僕は世界史を勉強していないので、ナポレオンやルイ18世、ロベスピエールと言った人物についてあまり知るところがなかった。それゆえその時代の彼らの背景をWikipediaで検索するなどして、知識を補うことを余儀なくされたわけだ。これらの部分も世界史を学んだ人には、楽しめる一つの要因になるのだろうが、そうでない人にはあらかじめこれらの人物の知識をつけたうえで読まれることが望ましいと思われる。

    また、翻訳は少々古いものの、おそらく原文が良いのであろう、上記のとおりあまり突っかからずにすらすらと読める。名訳とまではいかなくとも良訳と言っていいだろう。

    さて、ここまで書くと当時のフランスの知識がないと楽しめない文学かと思われるかもしれないが、そうではない。主人公のダンテスは初めおよそ復讐などというものをするような人間とは思えない素直な好青年として描かれている。ゆえに彼を取り巻く周囲の劇的な変化に、彼がどのように対応していき、また影響を受けるかということは大きな興味を持って読めるのだ。

    また、ダンテスを牢に入れるいわゆる悪役にも、その台詞などの中に思いがけぬ憎めなさがあったりする。要するに主だった登場人物皆が魅力的に書かれているのだ。

  • フランスの小説ぽくなかった。訳者が書いているようにシンプルで華美な装飾のない文章だからだろうか。

    主人公エドモン・ダンテスは物語はじめ、決して教養のある人物ではない。しかし彼は頭の良い人物だった。
    作中にも出て来たが、知識がある人と頭の良い人というのはイコールではないのだろう。我々は大体にして頭が良くないから、知識を身に付けることを目指せというファリア司祭の言葉には励まされるものがある。

    それにしても人を疑うことを知らないダンテス君には一種腹立たしささえ覚える。彼は善意によって自分の首を絞めた。いくら亡き船長の遺言だからと言って、当時追放されていたナポレオンから手紙を預かることがいかに危険かわからなかったのだろうか。

    ファリア司祭によって目を開かれたダンテスが今後どうなっていくかが楽しみな1巻だった。

  • 復讐劇の古典。
    とにかく圧倒的におもしろく、随所に非現実的で、ご都合主義的な展開もあるものの、そこはご愛嬌。
    まずは主人公エドモン・ダンテスが幸福の絶頂から転落するまで。自身が謀略にかけられたなどと疑いもしないエドモンの純粋さがもどかしく、痛ましい。続く獄中での絶望、脱獄の緊張、モンテ・クリスト島で宝を発見したときの高揚もたまらない。物語の核心をなす復讐計画も、真綿で首を絞めるようにじわじわと遂行されるさまがみごと。一見まったく関係のなさそうな多くの挿話が1つの復讐計画に収束してゆき、かつてエドモンを陥れた悪人たちが1人また1人と滅んでゆく展開は、ぞくぞくするような興奮とカタルシスを得られる。
    モンテ・クリスト伯が単なる復讐鬼に終わらず、人間的な魅力にあふれるところもみどころ。自身を救おうと奔走してくれたかつての恩人モレル氏には義理と温情を尽くし、復讐を止めるようかつての許嫁メルセデスに哀願されたときには「復讐しようと決心したとき、心臓をむしり取っておけばよかったんだ!」と弱音を吐き、無関係の子供を巻き込んでしまったことには大いに苦悩する。復讐鬼モンテ・クリスト伯=快男児エドモン・ダンテスであることを思わせる描写が随所にあらわれる。
    長い物語ではあるが、復讐、冒険、恋愛、決闘、相続、逃走劇や法廷劇など、それぞれの挿話にドラマがあるので、最初から最後まで中だるみせずに読み切れる。
    名作。

  • 作者は三銃士も手がけている人物。岩波文庫全八巻。
    古典文学の中でも非常に読みやすい作品で、ストーリーに躍動があり、テンポもよい。
    その中に復讐と正義とは両立するのかを問いかけるように感じる。
    気が狂う程の長い年月の幽閉を経て、一体主人公は何を思ったのか。
    正義と呼ぶにはあまりに私的な復讐を通して、一体何を得るのか。
    古典文学を読み始めたばかりと言う方にはオススメの一冊。
    ただ初めてならもっと短編の物をお勧めする。

  • (1〜3巻)嫉妬、保身、金儲けなどの理由で友人に裏切られ、言われのない罪で14年間も服役させられた主人公ダンテスの復讐の物語。囚人牢で知り合った司祭から、膨大な知識を得て、たまたま巡ってきた脱獄の機会を活かし、隠し財産を得て、素性を変えて社交界にデビューする。かつてダンテスを陥れた面々は華々しく出世し確固たる地位を有している。そこからダンテスによる、真綿でゆっくりと首を絞めるような復讐が始まる。

  • 面白すぎるよ。夢中です

  • とにかく面白い!

    1巻の最後の100頁は頁を捲る手が止まらなかった!

    老神父とダンテスとの脱獄劇!その時に芽生える師弟感絆!

    そして老神父の壮絶で麗美な最期!

    海外文学で1番好きな1冊!震えが良い意味で止まらなかった!

  • ややゆっくりとしたオープニング。
    まず気がつくのは、ひらがなが多く、とても読みやすい翻訳だということ。

    無実の罪で獄に繋がれたエドモン・ダンテスは、おなじく獄中にあるファリア神父と出会い、さまざまな学問知識を授けられ、ついに財宝のありかを聞くことに。

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著者プロフィール

1802-70。フランスを代表する小説家・劇作家。生涯に長短合わせて250篇あまりの作品を書いたとされる。主な作品に『コルシカの兄弟』『モンテ・クリスト伯(巌窟王)』『三銃士』『ブラジュロンヌ子爵(鉄仮面)』『ダルタニャン物語』『王妃マルゴ』『王妃の首飾り』など。

「2016年 『ボルジア家』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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