モンテ・クリスト伯 5 (岩波文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (353ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003253359

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  • オートィユの別荘で過去に直面したヴィルフォールとダングラール夫人エルミーヌは密会、相談する。ヴィルフォールは赤ん坊の棺を埋めた直後にコルシカ人(ベルツッチオ)に刺されて重傷を負い、1年近く治療と療養をし、戻ってきてから埋めた場所を確認したがどこにも遺体はない。庭をあちこち掘り返したりさまざまな可能性を調べて、ついに死んだと思っていた赤ん坊が孤児院に届けられ、さらに引き取られたことまではつきとめたがその後の行方はわからずにいたことをエルミーヌに打ち明ける。赤ん坊は死産だったと思い込んでいたエルミーヌは、自体の深刻さよりも我が子が生きていた喜びに取り乱す。

    ヴィルフォールは、あの別荘をわざわざ購入し自分たちを招待したモンテ・クリスト伯を怪しみ、伯爵の身辺を調べ始める。伯爵の親しい友人としてブゾーニ司祭とウィルモア卿というイギリス人の名が浮かび上がり、ヴィルフォールは自ら変装して警視総監の使いを名乗り二人を訪問、モンテ・クリスト伯について尋問するが、実はどちらの人物もモンテ・クリスト伯その人の変装。ヴィルフォールは偽の情報を信じて帰宅する。

    一方、モルセール伯爵家で舞踏会が開催され、招待されたモンテ・クリスト伯は、モルセール伯爵夫人となったメルセデスから二人きりになるよう温室へ連れていかれる。思わせぶりな会話が交わされるが、確証は得られない。ヴァランティーヌも舞踏会に来ていたが、亡き母方の祖父であるサン・モラン侯爵の訃報が届き急ぎ帰宅、ひとり到着した祖母サン・モラン侯爵夫人も取り乱し、死ぬ前にヴァランティーヌの結婚を見届けたいから帰国したフランツとすぐにでも結婚しろと言う。

    しかしヴァランティーヌとフランツの結婚の誓約書が交わされる約束のその晩に、祖母サン・メラン侯爵婦人が急死。庭でヴァランティーヌと落合うはずだったマクシミリヤンは待ちぼうけを食らわされるが、主治医がヴィルフォールに、毒殺の疑いを告げているのを盗み聞きしてしまう。ヴァランティーヌに会いたさのあまり屋敷に忍び込んだマクシミリヤンは、彼女からノワルティエに会うよう懇願され、ノワルティエと面会、ノワルティエはマクシミリヤンに駆け落ちは待つよう伝える。愛する孫娘のために、なんとしてもフランツと破談に持ち込みたいノワルティエは、フランツを呼び出し彼の父親を殺したのが自分であるという証拠書類を読ませる。

    ノワルティエの思惑どおり、フランツは破談を申し入れ、喜ぶヴァランティーヌとマクシミリヤン。しかし後日、ノワルティエのためにヴァランティーヌが用意したレモネードを飲んだ老僕バロワが急死する事件が起こり、サン・メラン侯爵夫妻の毒殺を疑っていた医者ダヴリニーは三人の毒物死の犯人を遺産の受け取り人であるヴァランティーヌだと推理、ヴィルフォールもそれを信じてしまう。

    伯爵の策略で経済的打撃を受けているダングラールは、娘ユージェニーの婚約者アルベールよりも、アンドレア・カヴァルカンティと結婚させたほうが金持ちになれるとの打算から、アルベールとユージェニーを破談に持ち込もうと画策。そのためにアルベールの父フェルナンの過去を暴こうとする(全部伯爵の筋書き通り)。

    アルベールはモンテ・クリスト伯を訪れ、ギリシャ美女エデに会わせてもらう。エデは生い立ちを語る。彼女がまだ4才の頃、ジャニナの宮殿で暮らしていた彼女はある晩、両親と共に離宮に避難させられる。トルコ皇帝の命令をうけた司令官クールシッドが彼女の父であるジャニナのパシャ、アリ・テブランの命を狙っており、使者にたったフランス軍士官が戻るまで隠れていなくてはならないという。やがてその使者は戻ってくるが、騙し討ちにあいアリ・パシャは殺され、母親とエデは司令官から今回一番手柄をたてたという男の手に渡される(この男こそ裏切り者のフェルナン)。男は二人を奴隷商人に売るが、母親のほうは途次で夫の首がさらされているのを見てショック死、エデはアルメニア人に買われて教育されたあと13才でマームード王に売られる。その王から、モンテ・クリスト伯がエデを買い取ったのだった。

    エデの壮絶な生い立ちにショックをうけたアルベール、ある日彼は「アリ・パシャの城砦がトルコ軍に引き渡されたのはフェルナンというフランス士官が関与していた」という新聞記事を目にする。それが父のことであると察したアルベールは記事を書いたのが友人のボーシャンであることを知り、彼に決闘を申し込むが・・・。



    5巻は、ヴァランティーヌとフランツ、ユージェニーとアルベールの二組の婚約破談をめぐる結婚狂騒曲。フランツくんの件は彼自身に落ち度はないし、ノワルティエは自分の過去の罪悪を暴露してでも孫娘の願いを聞き届けてやりたいというので、一気に好感度アップ。しかしヴィルフォール家では毒殺魔エロイーズがいよいよ本格的に暗躍開始。妻を疑ってもみないヴィルフォールがしかし一瞬だけニヤっとしてる彼女をみてしまうシーンは、日本版ドラマの山口紗弥加の怪演(プチトマト食べてるだけでめっちゃ怖い)を思い出してぞっとしました。

    金に目がくらんだダングラールは娘ユージェニーとアルベールの婚約を破棄させアンドレア・カヴァルカンティと結婚させようと目論んでいるが、アンドレアの正体はエルミーヌとヴィルフォールの子ベネディット。つまりユージェニーとは種違いの兄妹になってしまうのだがダングラールは露知らず。そもそもユージェニーは男に興味がなく、マザコンのアルベールは母メルセデスより素晴らしい女性などいないので結婚に興味がないので当人たちは気持ちの上では問題ない。アルベールは無邪気なお坊ちゃんゆえ悪人ではないけれど、父フェルナンがアリ・パシャ殺害犯人(エデを奴隷境遇に陥らせた元凶)であることを認めようとせず、記事を書いた友人ボーシャンに決闘を申し込むなど思慮浅くカッとなりやすいのはいただけない。

    死んだはずの赤ん坊が生きていたと聞かされて、恐れるより喜んでしまうエルミーヌは哀れをさそう。ヴィルフォールのほうは証拠隠滅に戦々恐々だが、たとえ不義の子といえども母の愛はまた別物。ただこれも日本版ドラマの稲森いずみの母性愛爆発の名演に引っ張られて感情移入してしまっているかもしれない(苦笑)ドラマではユージェニーに該当する人物が登場せず、ベネディットがたった一人の子という設定、そして母子相姦という禁断展開だったけど、原作はどうなるのだろう…。

    エデの父、アリ・パシャは実在の人物なんですね。有力な地方領主で、ナポレオン時代のフランスと同盟していた。ただ勢力を持ちすぎたためオスマントルコ帝国の皇帝に睨まれ1822年に暗殺されている。詩人バイロンも生前の彼の城を訪問しており、『チャイルド・ハロルドの巡礼』にその時のことが記されているらしい。再読しなくちゃ。

  • 『全てがモンテ・クリスト伯の計算通りに進み、彼の周りで不幸が連鎖しだす。彼の無言の復讐劇に恐怖のみならず、グロテスクさをも感じる』。今回多くの伏線が回収される。特にマクシミリヤンとヴァランティーヌの恋。彼らを見ていると在りし日のダンテスとメルセデスのような若い情熱を感じる。モンテ・クリスト伯とメルセデスが再開し過去の追憶にふけるが、モンテ・クリスト伯はメルセデスと別れざるを得なかったあの日を思い、再び悔悟をかみしめたに違いない。今、そのエネルギーが嵌めた奴らを一掃する。後戻りする必要は微塵もない。

  • 巻の四。

    モンテ・クリスト伯の復讐計画さらに進む。

    以下ネタばれ含む
    *****
    計画のポイントその1は婚約話妨害破綻作戦。
    その2は財産喪失破産作戦、のようである。

    ***
    67章、復讐対象の一人ヴィルフォールはモンテ・クリスト伯爵の身辺調査に乗り出す。さすがに検事総長のヴィルフォールである。数多の権力闘争を潜り抜けて来た悪漢でもあり、嗅覚や直感に優れている。ヴィルフォールとダングラール夫人の血塗られた過去の秘密をあからさまにちらつかされ、さすがにおかしいぞ、と思い至ったのだ。
    モンテ・クリスト伯はなぜ自分たちの前で庭で掘り出した子供の話をして聞かせたのか…彼はいかなる男なのか? ヴィルフォールは調べ始めるのであった。

    そしてこの巻では、娘たちの婚約が焦点となる。

    ヴィルフォールは娘のヴァランティーヌ( ノワルティエ老人溺愛の孫娘でもある )と良家の青年フランツ・デネピーの婚約を企図。だがヴァランティーヌはマクシミリアン・モレル(ダンテスの恩人モレル家の長兄)が意中の人。一方でヴィルフォール家周辺で三人が相次いで急死。ヴィルフォールは不安と恐怖に苛まれ始める。そしてヴァランティーヌの婚約話は激震に見舞われる。

    そしてモルセール家(のフェルナン)とダングラール家の間でも娘と子息の婚約話が。マルセイユ時代から旧知の二人。子息同士の婚約は暗黙の約束だったが、ダングラールはその約束に後ろ向きに転じる。資産家とされる青年カヴァルカンティをベターな嫁ぎ先にする思惑が生じた模様。「 資産家」なる虚像を工作したこの青年をダングラールに接近させたのはモンテ・クリスト伯だ。さらには、銀行家ダングラールの投資・投棄は失敗続き。その背後にもモンテ・クリスト伯の迂遠な工作が伺える。

  • 復讐の花が開花し始める第五巻!
    ヴィルフォール家での連続毒殺事件、モルセール伯の過去、
    ダングラール男爵とアンドレア・・・モンテ・クリスト伯の
    蒔いた復讐の種は芽吹き、開花を始める。
    メルセデス、マクシミリアンとヴァランティーヌ、
    そしてエデ。
    彼らもまた行動するが、それがどうモンテ・クリスト伯に
    関わってくるのだろうか?
    老僕のバロワ、ダヴリニー医師、ユージェニー、
    ダルミイー嬢が登場、エデの過去もわかり、
    新たな運命の糸が加わりました。
    そして、なんといっても金・地位・名誉という欲望は、
    如何に人を醜悪にするか。
    ヴィルフォール然り、ダングラール然り、
    そして毒殺者・・・。
    エデの過去語りの中のフランス士官だって・・・ね。
    なお、アリ・パシャは実在の人物がモデル。
    調べてみると、なかなか興味深い歴史有り(^^♪

  •  ボーシャン回。
     アルベールの回であってフェルナンの回なんだけど、なにしろアルベールと口でやりあってるときのボーシャンの言い回しが全部格好良い、最高。ずっと喋っててほしい。

     モンテ・クリスト伯を疑うところまではさすがなのに、ブゾーニ司祭とウィルモア郷に話を聞いて安心しちゃう一枚下手ヴィルフォール面白かった。
     一巻の頃からヴィルフォールの描写が色男だなあとは感じていたけど、高潔な検事長なのに女性関係だらしなすぎてひどいなこの人。

     なんとなく気になっていたヴァランティーヌの悲観癖、伯爵がしっかり切り込んでいてスッとした。さすがだ。

  • 長い幽閉の期間を経て、なお言語に通じ、世事に通じ、超人的な思考と行動を発揮する主人公に読者は魅入られるだろう。2021.7.24

  • モンテ・クリスト伯の復讐は当人たちだけでなく、その家族にも及ぶのか…。自由とお金を得たなら、復讐なんて過去にとらわれたことにそれを費やすのではなく、未来に向かって生きればいいのに、と思ってしまう。

  • 仇敵たちが崩壊しはじめる。
    それにともない奇怪な死者が。
    一方、若者たちのラブストーリー。こちらも目が離せない。

  • ダンクラール家は家庭内不和と破産へ誘われ、ヴィルフォール家は死神の影が舞い始める。

    嗚呼、鮮やかなる哉モンテクリスト伯。

  • 4巻に記載

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著者プロフィール

1802-70。フランスを代表する小説家・劇作家。生涯に長短合わせて250篇あまりの作品を書いたとされる。主な作品に『コルシカの兄弟』『モンテ・クリスト伯(巌窟王)』『三銃士』『ブラジュロンヌ子爵(鉄仮面)』『ダルタニャン物語』『王妃マルゴ』『王妃の首飾り』など。

「2016年 『ボルジア家』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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