モンテ・クリスト伯 6 (岩波文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (361ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003253366

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  • 欲深いカドルッスは、アンドレアを名乗るベネデットからさらに大金を強請ろうと呼び出し、彼のお金の出所がモンテ・クリスト伯であることを聞き出すと、彼のシャンゼリゼの邸の間取りをベネデットに書かせ、盗みに入ることにする。しかしベネデットの裏切りにより返り討ちにあい、ブゾーニ司祭に変装したモンテ・クリスト伯自身から彼の正体がエドモン・ダンテスであることを聞かされたのち息絶える。

    フェルナンがアリ・パシャを裏切ったという記事のことでアルベールから決闘を申し込まれていたボーシャンは、ジャニナまで真相を確かめに赴き、記事が事実であったことをアルベールに伝え、なおかつそれを秘密にすることを申し出る。アルベールはボーシャンの友情に感謝し、彼との決闘は取り下げるが、今度は別の新聞社から同様の記事が出て父モルセール伯爵は貴族院で弾劾され窮地に。さらに裁判でエデがモルセール伯爵こそが自分の父を裏切り自分を奴隷に売ったフランス士官フェルナンであると証言する。

    ボーシャンの調べで記事の出所がモンテ・クリスト伯であることを知ったアルベールは、今度はモンテ・クリスト伯に決闘を申し込む。伯爵は容赦なくアルベールを斃すつもりでいたが、メルセデスが駆けつけ、息子の助命を懇願する。彼女は再会したときからモンテ・クリスト伯がエドモン・ダンテスであることに気づいていたのだった。メルセデスの涙に心を動かされたモンテ・クリスト伯は、決闘でわざと負け自分が死ぬことを決心、エデやマクシミリヤンに遺産を残す遺書をしたためて決闘の場に臨む。

    しかしアルベールは母メルセデスから真実を聞かされ、伯爵に謝罪、決闘を取りやめる。伯爵は自分の身を案じていたエデの愛に気づく。アルベールと入れ違いにモンテ・クリスト伯に会いに来たモルセールことフェルナンは、息子に代わり決闘を申し込むが、モンテ・クリスト伯がエドモン・ダンテスであることを知らされ、すべてを諦める。アルベールとメルセデスが荷物をまとめて出ていくのを見届けたあと、フェルナンは自殺する。

    一方、カドルッスを殺害したアンドレアことベネデットは何食わぬ顔でダングラールの娘ユージェニーと結婚しようとしていたが、その結婚契約式の場へ警察が現れベネデットは逃走。ダングラール夫妻は彼が詐欺師であったことにようやく気付くが、当のユージェニーはもともと結婚式の前に家出するつもりだったため、このパニックを利用してむしろ悠々と男装してルイーズと連れだって出ていく。巧妙に逃走を続けるベネデットは、途中の宿で偶然にも二人のいる部屋に逃げ込み、警察に包囲され逮捕される。

    毒殺魔が暗躍するヴィルフォール家では、ついにヴァランティーヌが毒に倒れる。祖父ノワルティエがこれを予期し予めヴァランティーヌを毒になれさせていたため死には至らなかったものの、病床につくヴァランティーヌ。彼女を心配するあまりマクシミリヤンはモンテ・クリスト伯にすべてを打ち明け助力を仰ぐ。モンテ・クリスト伯は、殺されてもいいと思っていた仇敵の娘を恩人の息子が愛していることにショックを受けるが、マクシミリヤンへの愛情が勝り、彼の手助けをすることに。


    今回はアルベールくんの決闘狂騒曲。自分の父が悪人であるとわかってなお、侮辱ゆるすまじ!と親友に決闘を申し込む大人げないアルベール。ボーシャンくんがマジで良い友達だったため回避されるが、今度はモンテ・クリスト伯爵に決闘を申し込む血気盛んなアルベール。ちょっと落ち着け(苦笑)まあ憎きフェルナンの息子とはいえメルセデスの息子でもある彼は、ちょっと単純だが悪人としては描かれていないため、結局復讐の連鎖からは外される。

    そして復讐の鬼だったモンテ・クリスト伯の冷徹な決意が、ここへきて2回ほどポキンと折られてしまう。ひとつはメルセデスによるアルベールの助命嘆願。かつて愛した女性の懇願に、結局エドモン・ダンテスは非情を貫けず。ふたつめは恩人の息子マクシミリヤン・モレルの頼み。彼が愛するヴァランティーヌは最大の敵ヴィルフォールの娘であり元凶ノワルティエの孫。毒殺魔エロイーズを操って一家ごと勝手に自滅するよう仕向けたモンテ・クリスト伯だったが、マクシミリヤンくんの哀願は断れず。

    とりあえず三人の敵のうち一人目、フェルナンを死に追いやり、残るは二人。それにしてもモンテ・クリスト伯爵は当初、復讐ターゲットである当人だけでなくその家族まで滅ぼす気満々のようだったけど、子供たち世代はなんやかんやで思惑通りにいかずむしろ伯爵のおかげで自由になっていくのが皮肉。アルベールはちょっと利用されたけど直接被害は受けないし、ユージェニーは女友達と駆け落ちする自立心旺盛な女性、ヴァランティーヌはマクシミリヤンに愛されたことから伯爵の庇護下に入る。

    あと「もう誰も愛さない」状態だったモンテ・クリスト伯が、メルセデスに正体を明かしたあと彼女への気持ちに区切りをつけ、エデの愛に気づく下りはときめいた!エデの愛が報われるといいなあ…。

  • 『エドモンさん、主人、私に復讐なさるのは結構です。息子に復讐なさることはおやめください!』かつて、妻として迎え入れるはずだったメルセデスに言われたモンテ・クリスト伯は計画を変更する。モンテ・クリスト伯の復讐という名の人生を諒解する航海は佳局を迎えた。彼の蛮勇な行いの後の達成感はどれほどのものだったろうか。満足感の他にはエデを思う強い愛情、もしかしたら寂寥感をも抱くに至ったのではないか。しかし、彼を嵌めた奴らの破滅っぷりは悲惨極まりなかった。メルセデスとの別れ、彼が愛する者への思いが最終幕を迎える。

  • 復讐の第六巻!
    カドルッス、フェルナンに復讐の槌が振り下ろされる。
    メルセデスとアルベールの選択は?
    ヴィルフォール家の毒殺の手がヴァランティーヌに。
    苦悩するマクシミリアンのとった行動は?
    そして、ダングラール家にも・・・。
    破滅の道を転げ落ちたカドルッスの憐れさ。
    その死すら復讐の手駒の一つになってしまうとは。
    フェルナンは・・・ずっとエドモンの影に脅かされて
    いたのじゃないかな?それが現実に現れたことの恐怖、
    妻と息子に去られた絶望。これまた憐れです。
    また、この巻では、メルセデスの言動と行動、
    マクシミリアンの告白、エデの愛に心乱される
    モンテ・クリスト伯の姿が印象的でした。
    終盤は、ダングラール家が舞台に。
    第一巻のエドモンの婚約披露での出来事が彷彿されます。

  • 全7巻を読んだうえでの感想です。

    いよいよダンテスによる復讐が本格化します。
    最初の犠牲者はカドルッスでした。といっても、ダンテスが直接手を下したわけではなく、味方だったはずのアンドレアに殺されるんですよね。何とも皮肉なもんです。
    殺人や押し込みをやらかしてはいるものの、カドルッスって根っからの悪人ではないと思うんですよ。
    でも、怠惰で小心なところが災いして、しょうもない悪事を働き、結局坂道を転げ落ちるように堕落していく様は、人間誰しもが持つ歪な部分をデフォルメしているようにもに思え、読んでいて哀れになりました。
    個人的にこのカドルッス、全話を通して一番印象に残っています。

    次の標的はフェルナン。
    既に新聞紙上でギリシャでの非道を告発されていましたが、今度は議会でエデにそれを証明され、父親の名誉を守るためにモンテ・クリスト伯に決闘を申し込んだアルベールは結局決闘を辞退するに至り、自身で決闘を挑もうとするもモンテ・クリスト伯の正体を聞かされて衝撃を受け、母子に逃げられた挙句、失意の中自殺するという結末を迎えます。
    このあたりの展開は俄然スリリングで、とても楽しめました。

    この後、ダングラールとヴィルフォールに対してもダンテスの策略が発動しますが、まだこの巻の段階では序の口です。具体的には読んでからのお楽しみということで。

    また、アルベールとの決闘前夜のダンテスの苦悩の独白は、当時の社会における神と人間との距離感を表しているように思え、実に興味深かったです。

  • 【1000 novels everyone must read: the definitive list】

    復讐を生きる意味としてきたダンテスが、シャトー・ディフへ投獄されて以降、初めて怒りや憎しみ、絶望以外の感情で心が揺らぎ葛藤する姿が描かれていたところが印象的だった。
    その感情がメルセデスへのかつての愛情であり、エデからの愛情に気づく点であることが、物語冒頭の純真無垢なダンテスを彷彿とさせる。
    メルセデスの息子を想う母の気持ちに触れ、幸せだった二人にはもう戻れないが、その時のお互いを愛する気持ちに偽りがなかったとダンテスが思えたことでメルセデスへの気持ちが救われたところは、本当に良かったと読んでいるこちらも救われた気持ちになった。

    それを経て、このまま復讐を果たすのはダンテスを本当に救うことになるのか…モンテ・クリスト伯の核となる"人間再生"が色濃く描かれていて、どのように決着をつけるのか次巻が楽しみ。

  •  メルセデスおまえ……。

     正直読んでる最中は、何も知ろうとしないでただ悲しんで生きてきた奴が、エドモン・ダンテス、モンテ・クリスト伯爵の大きな絶望や計り知れない覚悟を悟ろうともせずに自分の要求を通そうとする姿にすごく苛立ったし、これで折れてしまう伯爵に納得がいかなかった。結果色々あって丸く収まった風になるんだけど、その収まった状態も読んでるときのわたしには不満で、どうして殺すことが許されないんだろうと思っていた。
     でも今改めて感想をまとめていると、こうなるしかなかったんだなあという気がする。伯爵は巨大な力を持って復讐劇を続けているけれど、その復讐劇は、マルセイユの朴訥な船乗り、エドモン・ダンテスのためのものだ。そして彼は神に遣わされたものであって、復讐の鬼ではないはずだ。
     殺していたらシンプルにスカッとして、悲嘆に暮れるメルセデスを見て少し苦しんで、「あなたを一生お許しできない」とか言われちゃって、それでもまだ復讐を続ける、みたいな進行しかないと思うんだけれど、それだとモンテ・クリスト伯じゃないんだな、多分。
     息子を思う尊き母と、何も知らなかった息子には、真実を知らせて悔い改めさせて、罪を隠して生きてきた張本人にはその重さを思い知らせる。これが神の摂理なんだ、わかんないけど。

  • 巻の六。

    自らが神の裁きを担うのだ、的な論理を独白するモンテ・クリスト伯。一方で伯爵は悪魔の如し顔を見せる。
    神と悪魔。そのせめぎ合いが本作のテーマの一つか。

    ***以下ネタばれ含む****

    モンテ・クリスト伯はいよいよエドモン・ダンテスという正体を告げる。

    一人はカドルッス。モンテ・クリスト伯邸に強盗に押し入るが、伯爵は事前に察知していて失敗。計画を教唆していた男に刺されて絶命。モンテ・クリスト伯は瀕死のカドルッスの耳元に自分の真の名前を囁く。そして呟く「 これで一人!」。

    そして二人目はかつての許嫁メルセデス。今は仇敵モンセール伯爵( 旧フェルナン)夫人だ。メルセデスはさすがにモンテ・クリスト伯の正体に気づいていたのであった。メルセデスは、モンテ・クリスト伯に決闘を挑んだ息子アルベールの助命を嘆願した場面である。
    その後モルセール伯爵こと旧フェルナンは、かつてギリシア独立戦争の際の卑劣な裏切り行為が世間に明らかにされる( これまたモンテ・クリスト伯の工作)。妻と息子は邸を去る。そしてモルセール伯爵は拳銃自殺する。

    さらに復讐対象者-銀行家ダングラール男爵に対し、モンテ・クリスト伯は強烈な打撃を加える。投機投資の失敗続きで財務状況が急激に傾いたダングラール。彼は信用状況を打開すべく娘と資産家の婚約を企図。その相手にイタリアに巨額の資産を持つという“噂の”カヴァルカンディ家の子息を迎えようとする。だが、このアンドレア・カヴァルカンディはとんだ食わせ者、正体は脱獄徒刑囚。男をパリ社交界デビューに際し舞台裏で工作したのはモンテ・クリスト伯である。この婚約計画の崩壊によって銀行家ダングラールの没落は決定的となる。

    そして、検事総長ヴィルフォールの家では、家内の何者かが飲み物に毒を盛っていたことが明らかになってゆく。

  • 復讐劇は続くが、正体がばれてるメルセデスに懇願され、アルベールに討たれてることを決意、また恩人の息子マクシミリアンに恋する相手が復讐ヴィルフォールの娘ヴァランティーヌであったことに衝撃を受けるも甘受していく。愛なのか良心の為す技か。ストーリーにアクセントがつけられ、ますます虜になる。2021.8.12

  • 着々と復讐が進み、決着もつき始める。人の不幸を願うって不毛。自分の幸せが他者の反応に依存するってバカみたい。昔の彼女に息子との決闘をやめてほしいと頼まれた時の、じゃあ僕に死ねと言うのだねって感じで、拗ねて(?)みせるとことか、引くわ…。最終巻がどんな結末になるのか。

  • 次々と復讐が遂げられていく。
    残り1巻。

    ちなみに、第1巻目を読んで、その3日後に二、三巻目を読んで、その2日後に四、五、六、七巻目を一挙に読んでいます。
    読み始めたら止まりません。

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著者プロフィール

1802-70。フランスを代表する小説家・劇作家。生涯に長短合わせて250篇あまりの作品を書いたとされる。主な作品に『コルシカの兄弟』『モンテ・クリスト伯(巌窟王)』『三銃士』『ブラジュロンヌ子爵(鉄仮面)』『ダルタニャン物語』『王妃マルゴ』『王妃の首飾り』など。

「2016年 『ボルジア家』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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