- Amazon.co.jp ・本 (123ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003253410
感想・レビュー・書評
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小説『カルメン』で知られるプロスペル・メリメの『タマンゴ』含む5つの短編。杉捷夫訳。
収録されている『マテオ・ファルコネ』が読みたくてAmazonで古書を入手す。
僅か10歳の息子フォル・チュナトが留守番中家に逃げ込んできたお尋ね者を一旦匿うも、追ってきた憲兵に居場所を教えてしまう。この事の次第を知った父マテオ・ファルコネが裏切り者という理由で息子を躊躇うことなく銃殺してしまう物語。背景にコスシカ島内の地域事情が窺えるが、なかなかに理解し難い結末である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「マテオ・ファルコネ」
背筋が伸びる強靭な文体。不快だが、やむをえないとどこか納得してしまうのは、この圧倒的な筆力がもたらす「現実の力」。起きてしまったことは仕方がない、と思わせる。
父性やもののふを描くのに、これ以上に適した文体はあるまい。合理の世界で子を諭すのは母である。非合理の世界を叩きこむのが父である(ならぬものはならぬ)。教育とは単に子供を社会に放てばいいのではない。社会に放つに値しなければ、責任をもって罰さなければならぬ。名誉を重んじる風土であればあるほどに。
シチリアマフィアの源流を知る。 -
エトルリヤの壷―他5篇 (岩波文庫 赤 534-1)
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宮本輝「本をつんだ小舟」での紹介で興味を持って手に取る。生と死の紙一重のあっけなさ、人生の一瞬の暗転が切り取られるように、シニカルに描かれていた。「マテオ・ファルコネ」は宮本輝氏の本で結末はわかっていたが、この父親の判断をどう理解したものだろう。まだ大人の甘言に惑わされる子供ではないか。それともこの地域・時代では子供でも許されない判断だったのか。他のどの作品も印象的。絶版なようだが名作として世に問い続けて欲しい一冊。
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カルメンの原作者の短編集。
「トレドの真珠」は短文の名作。 -
1928年第1刷発行、1971年改版発行。マテオ・ファルコネシャルル十一世の幻想堅塁抜くタマンゴトレドの真珠エトルリヤの壷どれも皆、好きです。メリメ、好きです。