メリメ怪奇小説選 (岩波文庫 赤 534-4)

著者 :
制作 : 杉 捷夫 
  • 岩波書店
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本棚登録 : 66
レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003253441

感想・レビュー・書評

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  • メリメの代表作といえばやはり『カルメン』ですが、それでてっきり一時期スペインの作家かと思いこんでいたら実はフランス人なんですよね。

    本作の収録作もまず「ドン・ファン異聞」からしてやはり舞台はスペイン。個人的に「ドン・ファン」というと「女たらしの代名詞」くらいの認識しかなくて、そもそも「ドン・ファンとは何者か」というところから調べてみましたが、結局伝説上の人物で、これが絶対!という伝記のようなものがあるわけではないんですね。いろんな作家や作曲家が小説やオペラにしているので、おそらく内容はそれぞれによって若干違うのだろうし。おそらく本作の「異聞」たる所以は、その女たらしでさんざん放蕩三昧をしてきたドン・ファンが、あるとき自分の葬儀の幻を見てすっかり改心、後半生を敬虔な修行僧として送った・・・というところでしょうか。しかし「怪奇小説」というには、ちょっと説教臭が強くて(自分の葬儀を見る場面は幻想的でインパクトありましたけども)これはイマイチだったかも。

    個人的に「怪奇小説」としては、残りの2作「ヴィーナスの殺人」と「熊男」 のほうが断然面白かった!発掘されたヴィーナスの銅像が、たまたまはめられた指輪を握りこんではずせなくしちゃったり、その指輪の男性のところにしのびこんで絞め殺しちゃったり(※たぶん愛情表現)、根拠はないけどオーソドックスな怪談話の怖さがあるのが「ヴィーナスの殺人」。

    熊に襲われた恐怖から発狂した母親から生まれた青年が、新婚初夜に花嫁を噛み殺して失踪する「熊男」も、はっきりと、父親が熊だったとは書かれていないし、本人も「なんか動物に嫌われる」とか漠然と思っている程度で、確たる証拠はないのだけれど、読者のほうは「これは伏線に違いない」「いつか熊になるぞ」とそわそわしつづけ、最後の「ああやっぱり!!」っていう、ありえないながらも「予想通り」という安定感があって、西洋的な怪談の王道っぷりがいっそ痛快でした。

  • 古き良きにおいのする三編だった。ひねりがないので、奇抜な発想や新しい展開を期待してはいけないが、予想できる結末であるがゆえに、ハッピーエンドではないにも関わらず妙な安定感を覚えた。

  • ドン・ファン異聞ヴィーナスの殺人熊男以上3篇を収録。「ヴィーナスの殺人」については、最近読んだ『読まず嫌い。』(千野帽子)にも詳しい分析が。でも私には、そんなことはどうでもいい!?好きなのだ、こういう物語が。ただし、「ヴィーナスの殺人」という題名は、いただけません。タイトルからして、ネタバレじゃあないか。ヴィーナスが人を殺すんだな、って。原題に忠実に「イールのヴィーナス」あるいは「イールのヴェニュス」とするべきです。悪態をつくとしたら、これくらいかな。だから私は、イールのヴィーナスが好きなんです、ってば。

  • 「カルメン」のメリメが書いたということで興味を惹かれた。
    どうということのない作品たちだけれども。昔良く読んだお伽話を思い出して懐かしかった。

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