- Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003253519
感想・レビュー・書評
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ジョルジュ・サンドは男装の麗人と言われ、男の名前を名乗ったり男性的なイメージが強いけれど、本質はかなり女っぽいんじゃないかと思う。
確かに自身をモデルにしたと言われるヒロインのファデットは、身なりに構わず、木登りしたりするお転婆で、色が黒くて男の子のようだ。けれど女らしい一面も併せ持つ。
ファデットは普通の女の子と比べると理屈っぽいかもしれない。サンドの文章も説明的でくどい。そしてセリフが長い!橋田ドラマ並みのセリフの長さに…辟易
この話は出てくる人が比較的みないい人で、妬みややっかみの感情のぶつかりはあるものの、穏やかなストーリー展開。1つひっかかるのが双子の兄シルヴィネのキャラ。悪い子ではないけど、弟に過剰な思い入れがあって、何かとヤキモチを妬く。自分の思い通りにならないと熱を出して寝込む。どやしつけたいようなキャラなんだけど、最後は3人の中で一番成長する。というか、シルヴィネがいなければ、この物語は凡庸過ぎてつまらなかっただろう。
これは二月革命が起きた頃の作品で、サンドは前書きで、こんな不安定な時だからこそ、毒のない安心して読めるものを世に送り出したいと述べている。今のこの時期にも同じ事が言えそうに思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
柚木麻子さんの「名作なんか、こわくない」を読んで、本作を手に取りました。とても古い作品だけど面白かった!双子の男の子たちとじゃじゃ馬娘。すべての少女マンガの原点ではないかとも思える作品。
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ちょっと翻訳が昔っぽいのが私も気になります。
10代の時から大好きな一冊で何年も経って読み返しても、やっぱりドキドキしてしまう物語です。
映...ちょっと翻訳が昔っぽいのが私も気になります。
10代の時から大好きな一冊で何年も経って読み返しても、やっぱりドキドキしてしまう物語です。
映画化されたなんて話は聞きませんか?映像で見てみたいとずっと思っていますが・・・2021/04/09 -
2021/04/09
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男装のスゴモテ女子、ショパンの恋人、フェミニストの走り、ジョルジュ・サンド。今度の宝塚の花組公演の登場人物を調べているうちに俄然彼女に興味が沸き、著書を図書館で借りてきました。
大昔の翻訳ものということで読みづらいかなと思ったけどそんなことはなく、海外の少女小説という感じで予想外に読みやすかった。そもそもが児童向けに描いた本なのかな?児童書版でも出版されてます。
ストーリーは、田舎の村に育った美貌の双子兄弟の弟ランドリーと、その村では鼻つまみ者とされていた女の子ファデットの恋を中心に、それぞれが成長して大人になって行く様を描いた物語。
ファデットは最初は身なりも構わず意地悪ばかりする粗野な女の子で「こおろぎ」なんて呼ばれて皆に嫌われてるんだけど、ストーリが進むにつれ、一本気の通った実に賢くて可愛い女の子だとわかってきます。そんなファデットにどんどん惹かれていくランドリー、そして弟のことが大好きすぎてどっぷり依存してしまっている兄のシルヴィネ…というちょっと変わった三角関係。
ファデットはサンド自身がモデルと言われており、周りにどう思われようと自分の思うままに生きるファデットの芯の強さは、サンド自身の強さなんだろうな。と思ったり。
サンドの人となりはかなり興味深いので、本人の関連本も読んでみたい。 -
見た目で人を判断してはいけない。きれいに、少し切なく、終わる。
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女性なのにジョルジュ(ジョージ)って、ハイカラな人やねんなあー、と思てたら、ペンネームだったのね。話→田舎にて思春期の若者の話。「大人になる」という曖昧な表現ですが、実際に年頃になって恋愛をしてしまうと、皆が手を繋いで仲良しー、という訳にもいかず、秘密を共有するように、二人きりで過ごしたくなるのでございます。やっぱ一皮剥けるよね。今まで夢中になってた遊びが馬鹿らしくなったり、今まで照れくさくて素直になれなかったのが、平気になったり。なんかーそういうーとおいーししゅんきのーかんかくーを思い起こさせました。
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恋をする前からファディットは元から正しく、心身深い素晴らしい少女だったんだよ。見なりを気にしないだけであってね。
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自分の子どもには是非読ませたい。
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心の美しさに揺るぎない価値を置く、道徳的にストレートな作品です。ザ海外古典です。妬み、嫉み等、心の汚い部分を作中の人物にもたせているので、どの人物の心情心理を読んでも、刺さるものがあります。
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【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/707327 -
嫉妬の美しい乗り越え方を知る本。嫉妬は人間感情の中で一番醜いものだから、すごく大事な本。
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【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/707327
村の農家に生まれた美しい双子の男の子。
性格は違っても仲の良い2人だったが、弟だけが奉公に出されることに。
離れ離れになり悲しみにくれる兄だったが…。
余談だが、男装して社交界に出入りしたり、あの音楽家ショパンと逃避行をしたりと、
著者自身も話題性のある生涯を送っている。 -
柚木さんの紹介本から。
ヒロインよりもヒーローの描写が多めなのが意外だった。全部丸く収まってほろ苦さがちょっとある感じ!少女漫画だったなあ。 -
古典小説なのだが、内容は今の中学生を表すように変わらない。
主人公の女の子のツンデレはいずれ花を咲かせていく。 -
読んでみたいと思いつつ中々遭遇しなかったジョルジュ・サンドの初めての1冊。ウィルキー・コリンズやジョージ・エリオットもそうだけど古典に惹かれるのは、道徳的だというのが好きなんだろうな。自分のことを見直せるし、教えてもらえるし、反省できる機会を得られるところ。痛くもあるんだけど、、、
それでいて恋愛や家族や自然の表現も熱くてうわああっ気持ちが昂ぶるのだ。 -
必要な知恵を兼ね備えてるのに、周りから認められない嫌われ者のファデッド。
世間の評判を気に留めず、自分の意思をしっかり突き進んでいく姿と思いやりがとても素敵。
隠れながらランドリーへの愛を貫き通す姿がとてもかっこいい!!
ファデッドみたいな女性になりたい。 -
コッス村の富農バルボー家に生まれた双子の兄弟。繊細で情が深いが、体の虚弱な兄・シルヴィネ。公正で勇気があり、丈夫な体を持ちよく働く弟・ランドリー。彼らは生まれてから常にふたり一緒だったが、14歳を迎えたころ、ランドリーのみが隣の村の農家に奉公に出ることになる。
働き者のランドリーはすぐに奉公先に馴染み、友人もできるが、シルヴィネはそんなランドリーに激しく嫉妬し、ついにある時、兄弟げんかの果てにシルヴィネが姿を消してしまう。一向に帰る気配のない兄を心配し捜しまわるランドリーは、思いあまって村で「魔女」と呼ばれる老婆の力を借りようとするが断られてしまう。
途方に暮れたランドリーの前に現れて、シルヴィネを捜すためのヒントを与えたのは、「魔女」の孫娘・ファデットだった。
ちっぽけで、やせっぽちで、髪の毛を振り乱して、人を人とも思わなず、おしゃべりで憎まれ口をよくいう、蝶々のようにお転婆で、駒鳥のようにせんさく好きで、こおろぎのように色が黒い、野生児そのもののファデット。
彼女はシルヴィネの行方と引きかえに、ランドリーとひとつの約束を交わす――。
19世紀、フランス中部の農村を舞台にみずみずしく描かれる、強い絆で結ばれた双子の兄弟シルヴィネとランドリー、「こおろぎ」と侮蔑される野生の少女ファデットの愛の葛藤。美しい季節の移ろいとともに、三者三様に子供から大人へと成長してゆく展開は情緒的でオーソドックス。
たしかに、人は誰でも「こうありたい」という理想の自分の姿があるけれど、その理想に近づくことは難しい。自分を変えることは、さらに難しい。後半、ファデットが祖母のため込んだ莫大な遺産を相続し一気にお金持ちになるなど、時にご都合主義な部分のあるこの物語が名作として読み継がれる理由は、誰もが通過し記憶する、普遍的な青春の懊悩を描き切ったうえで気持ち良い大団円を迎えているからなのかもしれない。
裸馬を乗りまわし、他人を口汚くののしるような少女が、恋し、愛されることで誰から見ても魅力的な女性へと成熟してゆく過程と心情が丁寧に描写される。この本を勧めてくれたひとは、「中学生の頃に読んで以来一番好きな小説」と言っていたが、思春期真っ只中に読めば、確かに忘れられない一冊になるだろう。特に女の子にとっては。恋はひとを変えるということ、自分が変われば、周囲の人間もまた見る目を変えること。受け入れられる喜びと、叶わない悲しみ。真心というもの。そういったことを豊かに教えてくれる珠玉の田園小説、恋愛小説である。 -
新書文庫
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およそ二世紀前の小説とは思えないほど親近感を持てる内容で驚いた。同じくまた、三枚目と思われたアイツがまさかこの物語の主要人物だったことに対しても。
一読をオススメ出来る小説です。 -
登場人物のキャラクターが掴みやすく、絵本のように読み進めていった。
この小説は、愛そのもの。 -
邦訳では副題のやうになつてゐる「プチット・ファデット」といふのが原題であります。「小さなこほろぎ」の意味だとか。つまり愛も妖精も関係ありません。何故かういふ邦題になるのか、誰か説明できますか?
舞台はコッス村なる田園地帯。コッス村のバルボーさんの家に双子が生れました。兄のシルヴィネと弟のランドリーであります。
村の言ひ伝へでは、双子は一方が他方を成長させる為に、必ず早死にするといふ。で、それを避けるために何方かを奉公(里子)に出すのださうです。この二人の場合は、体も大きくしつかり者の弟・ランドリーが、体力に劣り甘えん坊気質の兄・シルヴィネを慮つて、自ら家を出ます。中中出来た弟。
一方、村にはファデ婆さんなる魔女(?)がゐて、孫娘のファデット(こほろぎ)とその弟(ばつた)を養育してゐました。この一家は得体の知れぬ魔法を駆使するといふので、村人たちから嫌はれ恐れられてゐたのです。ファデットも口を開けば憎まれ口ばかり叩き、身なりもみすぼらしく顔も黒く不器量な娘であるといふことで、皆から敬遠されてゐたわけです。バルボーさんちの兄弟も例外ではありません。なるべく接点を持たぬやうにしてゐた節があります。
ある時、シルヴィネが行方不明となり必死に探すランドリーに、ファデットは条件付きでシルヴィネの居場所を教へます。これ以降、ランドリーとファデットは徐々に接近し始めるのであります......
ストオリィとしては特段にヒネリが無く、予定調和といふ意見も聞こえてきさうですが、ファデットが「目覚め」てからの展開は、ちよつと感動ですよね。ランドリーと交際して以降の彼女は、幼さが消え身だしなみに気を使ふやうになり、実は器量よしではないかと思はれ始め、性格も棘がなくなり他人の痛みを理解する素敵な女性に成長し、それまでチヤホヤされてきたマドレーヌさんがまるでつまらない女性であつたことを露見させてしまつた。
ファデットがランドリーにその心根を告白するシーンや、(自分を敵視してゐた)シルヴィネが病に伏した時の治療の様子などは、ゾクリとさせられる程の筆力と申せませう。
誰もが経験したであらう、揺れ動く思春期のリリシズムを描いて余すところがありませぬ。今後も読み継がれて欲しい一冊なのであります。
ほら、そこの君も喰はず嫌ひをせずに、読みませう。
http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-560.html -
多分初めてのフランス文学。ずっとバイト場でお世話になっていたパートさんから、最後にプレゼントでいただいた本です。
その方は私が主人公のファデットにそっくりとのことで話をしていたのですが、最初の方はなるほど…などと思いつつ(笑)先に進むにあたって、その言葉が身に余るという事実に…!
でもそんな風に言ってもらえて嬉しかったです。踊るの好きなところとか、そういうところとかかなぁ〜。私はどちらかというと少しシルヴィネの気があるので、ファデットやランドリーのような思いやりや素直さをこれからちゃんと持てるようになりたいです。
それにしても胸に残る物語だったな〜。
愛はすごい。改めて。 -
昔の、素朴な愛の物語なのに、なぜか深い。人のいろんな愛情の形が生き生きとわかる。冒頭からしてすでに双子の両親の人間性が伝わり最後までその調子で飽きない。この時代の文化も色濃く伝わって、ほっとする。
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鬼火とか魔術が当たり前とされてた時代、いわゆる知識人のジョルジュサンドが、それらのオカルトを当たり前のこととして書く。
前にフランス農村説話を読んだときに、遠野物語並みに豊かな民間伝承にびっくり。個人的に好きなのが洗濯女。深夜の森の中で、自分の赤ん坊を洗濯物のように絞って殺している集団とか、フランスの幻想は随分サイケデリックでたまらない。
話は逸れましたが、幻想が生きていた時代の写実的な小説ってのは、何がなんだかで楽しい。今、自分が見ている世界も100年後には幻想になっているようなものですから。
何のレビューにもなりませんでした。取り敢えず、純粋性が美しい点だけでも読む価値はあると思います。
農村に夢を託すタイプの小説は、当時の世相を伝えるよりも、当時の美徳の理想型を描くものだと思います。この美しい純真が昔の姿である、と一概にはおもってはいけないのですが、それでもやはりこの時代の農村に少し憧れます。 -
女の子がこの世を生き抜いていく知恵に満ちた小説。双子の兄弟から真実の愛を捧げられたファデットは、・・。
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(1997.06.28読了)(1997.04.15購入)
(「BOOK」データベースより)amazon
フランス中部の農村地帯ベリー州を背景に、野性の少女ファデットが恋にみちびかれて真の女へと変貌をとげてゆく。ふたごの兄弟との愛の葛藤を配した心憎いばかりにこまやかな恋愛描写は、清新な自然描写とあいまって、これをサンド(1804‐1876)の田園小説のうちで屈指の秀作としている。 -
再々々々読くらい
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日本の少女漫画の<お約束>を集めて形象化させたような、という形容が第一に思いつく。それくらいいかにも女性の作家が(どちらかといえば)女性の読者に向けて書かれたかのような印象を受ける。
舞台はフランスの田園風景。貧しくみすぼらしいが、性根のやさしく賢いヒロイン。人望があり勇敢で家柄も財産も恵まれた美少年との恋をきっかけに美しく変身する展開。ライバルは恋人の双子の兄。
これらの要素だけを書き抜くとあまりにも非現実的な印象を与えるが、平易だが巧みな心理描写が作品に生命を与えている。恋愛の心理戦でも強靭さを誇るファデットは、恋愛を主題に腕を競ってきたフランス文学の主人公らしいというのは偏見だろうか。
昭和30年代の翻訳だがしっかりとした仕上がりになっているのも素晴らしい。 -
悲劇的な結末を迎えるのかと思いきや、幸福のまま物語は幕を閉じた。あまりに奔放なファデットの姿は、物語の中の村人同様なかなか受け入れることが出来なかったが、読み進めるにつれてファデットという人が分かり始めると、僕は随分彼女を好きになった。欲を押し込めるファデット、欲に打ち勝つランドリー、そして欲に負けるシルヴィネ。こういった視点から物語をみるのも面白いのではないか。