感情教育 (下) (岩波文庫)

  • 岩波書店 (1971年4月16日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (338ページ) / ISBN・EAN: 9784003253847

感想・レビュー・書評

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  • あたりまえであるが人間の感情は時間の流れとともにうつろう。
    うつろいゆく、感情を写しとる技巧もさることながら、その感情は清らかであれ、穢らわしいものであれそれは一人の人間に宿るものであり、穢れのなかに神聖なものがあり、清らかな中にあさましさは潜むのだと、読者の眼前に突きつける迫力に息を呑む。
    最後はやや恣意的に落ち着かせた感を感じるが、アンナ・カレーニナの読後感と同様、小説の醍醐味を感じられる作品である。

  • 『感情教育』後半部。二月革命の最中もアルヌー夫人とロザネットとの恋愛関係に思い悩むフレデリックの生活が描かれる。もちろんフレデリックも、議員になろうとしてクラブに出入りしたり、上流階級の宴会に顔を出したりと、野心に突き動かされた行動をとる。しかし結局は、今までの己の行動の風聞に自尊心を傷つけられ、政界入りに踏み出すことはない。また暴動が起こった日にアルヌー夫人と会えなかったことで、ロザネットに入れ込むようになる。だが彼女が妊娠しフレデリックに執着しだすと、それをうるさがってダンブルーズ夫人に手をだす。最終的にフレデリックはアルヌー夫人への思いを貫くことになるが、それはいわゆる一途な恋愛とは程遠いものである。そして最後に、老境にさしかかったフレデリックとデローリエの会話で物語は閉じられる。「二人とも失敗だった。恋愛を夢みた男も、政権を夢みた男も」。最後に、冒頭で触れられた二人の幼なじみの微笑ましい冒険譚が語られ、「あの頃がいちばんよかった」と二人で言い合う姿は、もはや未来に何ら期待していないことを明かしているように見えて、滑稽ですらある。

  • アルヌー夫人の白髪を見て幻滅し、それを隠すために想いを述べることで自己暗示をかける。しかし、結局自らの意思で手を引く。物語中、最もフレデリックの主体性が強く表れた箇所である。
    野心を持ち動乱の時代を生き抜いた友人同士が、半生を語り合う最後。アルヌーが亡くなったと語られたことで、フレデリックとアルヌー家の繋がりは完全に過去のものであると感じさせられた。

  • 三部冒頭の二月革命の場面は緻密な描写と相まって、一介のパリ市民の気分で追体験できたのでとても満足しています。純粋に物語だけを考えると、R-35小説だな。という思いです。もちろん若い方が読んでも問題ないですけど、たぶん「うわあ、なんだよこのフレデリックって。ただのクズじゃん」で終わってしまうでしょう。もしそうなったら、20年くらい経ってからもう一度、読んでみて下さい。きっと、少しも共感できなかったフレデリックとの距離がぐっと縮まります。それまでにいい加減な人生を送った人ほど、この作品は効いてくるでしょう。

  • カーニヴァルについての本で、二月革命についても言及があったけど、たとえばあの言及を描写したら、こんなイメージになる気がする。

    結末まで読んで、あれこれ何年の作品だ?と思ったら、1869年か。
    そうかぁ……そりゃ、あの頃は、的な終わりにもなるわな。
    来年再来年の事なんてまだわからんしね。

    それにしても19世紀のフランスは何処を切っても題材が山ほどあるわねー。

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著者プロフィール

1821年生まれ。19世紀フランスを代表する小説家。主な作品に、本書のほか『ボヴァリー夫人』『聖アントワーヌの誘惑』『サラムボー』『三つの物語』『紋切型辞典』『ブヴァールとペキュシェ』など。

「2010年 『ボヴァリー夫人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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