少年少女 (岩波文庫)

  • 岩波書店 (1972年4月17日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784003254318

みんなの感想まとめ

子どもたちの視点で描かれた物語が詰まった小品集で、読者に童心を呼び覚ます魅力があります。アナトール・フランスの作品は、優しい文章で綴られており、年少の読者でも理解できるように工夫されています。訳者の三...

感想・レビュー・書評

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  • アナトール・フランス(1844ー1924)の小品集ですね。
    19篇納められています。
    何れも子供たちが主役の物語です。
    大人に忘れかけた童心を呼び覚ますように、もちろん年少の読者でも読むるように、優しい文章で綴られています。
    訳者の三好達治さんは、年少の読者には少し内容の難しさがあるかも知れないけれど、読みやすく小学生でもわかる、やさしい文章にされているそうです。もちろん、アナトール・フランスの名文の格調を保ちながらなので苦労されたとの事でした。三好達治さんも優れた文学者ですから、その点はしっかり味わえました。100ページの小冊子ですが、じっくりと堪能出来ます。

  • その名の通り、少年少女向けの短編集。

  • 芥川龍之介の随筆などで良く誉められていた作家で気になっていたので、まずは短編から。少年少女に向けた作品らしいけど、割りと皮肉な部分もあったりして楽しめた。他の作品も読んでみよう。

  • 待ち合わせ場所へ出かける前に、図書館へ寄って「薄い本」を探す。荷物が重いので、なるべくかさばらない軽い本がいい。文庫の棚で薄いものをいくつか見たなかで、これが一番薄かった。最後は100ページ! 1992年に50刷の本は、定価260円。もう今では見つけられないような値段だ。

    訳者は三好達治で、こんな仕事もあるのかと始めて知る。初版は1937年で、1972年に改版になっている。この薄い小さな本は、収録されている短いお話もよかったが、挿し絵に使われている版画もよかった(カバーの絵も同じエディー・ルグラン)。
    どういう本なのか、訳した三好達治による「あとがき」には、こんな風に書いてある。

    ▼この本は1844年に生まれて1924年になくなったフランスの文豪アナトール・フランス(Anatole France)が、1886年にパリのアシェットという本屋から単行本として出した「我々の子供たち[ノ・ザンファン]」(Nos Enfants)という本の全訳です。この本はその後1900年に至って、また改めて上下二冊本として刊行されました。その二冊本の上巻の方には、最初のままの「我々の子供たち[ノ・ザンファン]」という題がついていますが、下巻の方には「少年少女[フィーユ・エ・ギャルソン]」(Filles et Garçons)という新しい題がついています。いまこの本の訳者が「少年少女」という題をこの訳本につけたのは、すなわち二冊本の下巻の方の標題を、日本語として呼びやすいので仮りに借用したものです。
     この本の翻訳に当たっては、右にあげたアシェット社発行の二冊本を底本として用いた外[ほか]に、同じくパリのカルマン・レヴィー社から出ている、アナトール・フランス全集本中の第四巻をも用いました。この訳本中に挿入されている版画は、その全集本から借用したものです。画家の名はエディー・ルグランといいます。
     この本の原文は、流麗で平易な、非常にすぐれた名文で書かれています。名文というものは、書かれている話の筋を伝える外に、一種いうにいえない品位 ――作者の思想の品位、その高さや深さをも同時に読者の心に伝えるものです。そのために読者ははっきりとした感銘をうけ、強く心を動かされます。この本の原文はそういう立派な文章で書かれています。ところが残念ながら、訳文の方には、そういう貴重な文章の魅力は、訳者の力が足りないせいや、その外いろんな理由のためにすっかり失われています。訳者はそれを大変はずかしいことと思っていますが、読者はどうかそういう点は大目に見てお読みください。それでもなおこの本は、読者諸君のために何か有益なものを残していることと信じます。この本は、最初にもいいましたように、明晰でわかりやすい平易な文章で書かれています。小学生にでもわかるような、やさしい文章では書かれていますが、そうしてその話の筋も、ごらんの通りきわめて単純なわかりやすいものばかりですが、しかしその内容は、必ずしも年少の読者のためには、充分にのみこみやすいものばかりとは限りません。これは原書を読むフランスの少年少女たちにとってもやはり同様だろうと思います。しかし諸君が、やがて諸君の兄様や姉様くらいの年齢にでもなられたなら、きっとこの本の内容がその時にはいっそう興味深くなるでしょう。これはそういう種類の本です。どうか年少の読者諸君は、そういうつもりで、気長にこの本をお読みください。(訳者)
    (pp.99-100、算用数字の箇所は原文では漢数字、ルビは[ ]に示した)

    三好達治といえば「太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ…」の人だ、とまず思い出す。図書館の蔵書検索をしてみたら、翻訳もいくつかあった(ジイドとか、ボードレールとか)。アナトール・フランスは、100年くらい前にノーベル文学賞を受賞している人だった。

    「薄い本」を探して、思いがけず手にとってみた。本とのこういう出会い方もおもしろい。

    (2025年11月18日了)

  • 子供向けの短編19篇収録。大体4〜5ページ程度。子供向けであることを十分理解したうえであまり感銘を受けなかった。

  • 2024年 本棚初登録の本は、アナトール・フランスの、少年少女になった。だけど読み終わったのが年明けだったかははっきりとわからない。前にも最後の章を読んだ気もするし、どういう順番で最後までたどり着いたかも覚えていない。でもあとがきまで読んだのは、2024年の一月だったのでこの時期の登録とする。こういう楽しみ方でいい本なのだと思う。きっちりと出てくる順に読まなくても、好きなタイミングで好きな扉を開いて、好きな物語、その景色、顔を見たい少年少女に会いに行けばいい。どうしてこの本が好きなのだろうと今更考えると、あ!訳をしているのが三好達治さんだ…!この本を買った時、もうそれに気がついていただろうか?でも確かにこの少年少女を読みながら、何か味わったことのある優しい言葉選びを感じたのだ。何が言いたいかって、三好達治さんの詩も好きだということ。この本もとても良かった。上品で奥深い、知的な言葉をたくさん味わえる。何気なくページを開いてもその景色がありありと浮かぶ。私は今ここを読みたかったんだなと不思議な満足を得る。

    そういえば、後ろに260円と書いてあってびっくりした!私はネットで新品で買った気でいたが、この値段通りではなかったから記憶違いかも。もう今、260円で新品で本屋さんに並んでいる本はないだろうなぁ。話は逸れるが、中日ファーストの選手名鑑、詳しくは忘れたがあれが200円台で買える冊子と聞いてびっくりした。本屋さんで200円くらい払って終わる買い物、もう中々ないよなぁ。

  • 昭和42年発行の岩波文庫!ということで思いっきり旧かなづかひと旧字体。けれども読みやすくうすくすぐに読み終わります。アナトールフランスといえば「神々は渇く」だけれど、どういうつもりでこの本を書いたのかは謎ですね。お子様むけの副読本的なものなのでしょうか。仏語の原文を読んでみたいと思わせる内容でした。

  • 1つずつ「いい意味で」中途半端に終わっているところが素敵ですね。このあと何が起きるのかを想像するのが楽しかったです。

  • 牧歌的な小品集である。その名の通り少年少女が主人公である。もちろん少年少女にも読むことができるが、大人が読むと独特の重みに似た感覚を感じる。少年少女の心理がいい。一日一品ずつ十分に楽しめた。作者の愛がつまった作品集に感謝である。

  • (01)
    少年少女は不幸から遠ざけられている。暴力や貧困から彼ら彼女らは守られている。誰が不幸を遠ざけ、誰が暴力や貧困から守っているのか、という裏の主題が見える。
    少年少女の世界に親や先生、老人といった他者も登場するが小さな世界に敵対(*02)してはいない。そして小さな世界は、主に少年少女の自治によって守られているようでもある。そこに労働はなく、休息や遊戯、そして散歩が自立的に営まれている。
    こうした小さな「かわいい」世界がどのように維持されるのか、大人の自覚は今一度、考えてみてもいいだろう。あるいは、世界にはこのような「かわいい」一隅があるからこそ、大人も子どもも生きていかれるのかもしれない。

    (02)
    子どもの友は子どもだけではない。動物、道具、植物、乗物がいつも少年少女の傍らにありながら、子どもの自立をバリケードのように守っているようにもみえる。友がきともいえるような状態に子どもたちはある。
    そしていつも求心的なのは、甘さ、温かさ、かわいさであり、少年少女はこれらの魅力のまわりをうろちょろしている。
    歌やリズム、ことばや運動が安息を調子づけている。ただこうした動きは、練習やものまねのような軽みがあり、この軽快さが天使のふるまいに近づけている。子どもたちに深刻さがないではないが、その深さや重さもきっと解消されるだろうというような楽観に支えられている。おそらく著者はこの楽観こそを、現実社会に対する救いとして、あえて、子どもたちを題に、その平和だけを取り定めて、本書の情景を描いている。

  • フランスの少年や少女の生活を描いた短編集。本当に美しい本だと思う。アナトール・フランスのふくよかで味わい深い文章、郷愁を誘うルグランの挿絵、詩人三好達治の達意の翻訳、この三つの要素が溶け合って、素朴な美の世界を作り出している。プロットで読ませる本ではないので、その点は物足りなさを感じるが、それを補って余りある内容を持っている。わずか2ページの作品「厩」が一番気に入った。馬を世話する少年を描きながら、子供を優しく励ます内容。作者の祈るような気持ちが伝わってきて、温かな気持ちになれる。

  • 子どもたちの生活を描いた掌編集。おつかいであったり、ままごと遊びであったり、兵隊ごっこであったり、魚釣りであったり、そんな日常の様子をごく短い文章で綴っています。ただそれだけなのに、めっぽう面白いのです。そこに少年少女が現れ動き出すのです。それこそが文章の力なのでしょう。
    アナトール・フランスが綴り、三好達治によって訳された文章によって、奥行きが生まれ世界が広がるのです。そして行間やその向こうにちらりと別の世界を垣間見るのです。
    一度に読んでしまうのが勿体なく、ひとつひとつを噛み締めるように味わいました。

  • 人間だれしも子供時代がある
    子供時代の感覚は、徐々に失われていくものだ
    その感覚全てをもったまま大人になると、周りの人との違いや軋轢に苦しむだろう
    全てを失って大人になると、軋轢なくスマートに暮らしていけるだろう

    世の中には、その軋轢に苦しみながら生きている人が沢山いると思う
    苦しみながらも、その感情を昇華させ芸術作品を創作する、など
    発散方法を得た人がいる一方
    中にはストレスが所有欲へと転化してしまい、
    子供時代を象徴したものを蒐集しだす人もいる

    私もそんな折り合いをつけることが難しい感情に(一人で勝手に)悩んでいましたが
    この本に出会って、自分を認めてもらえたような気がしました
    大人になるための最低限の要点を掴んでいれば、そのままで良いんだよと、作者から応援されたような気分になれます


    平易でとても美しい文書は胸の奥の泉のような部分に
    ゆっくりと響いてきます
    フランス語が出来れば、原本で読んでみたいです

  • 易しい文章と内容とのギャップが魅力的。三好達治氏の訳がとてもすてき。

  • 2009.07

  • 短くて、教訓的で子供らしくて、安心してなつかしい世界に浸れる。それに三好達治のぎこちなく美しい訳文!最後の「ジャクリーヌとミロー」で本が閉じられるというのがふさわしかった。腕白小僧に内気な子、澄ました女の子の楽しい穏やかな話が続いた最後に、何かが失われる。淡やかな永遠も含んだ瑞々しい子供時代と言う道が、ふと途切れてしまう。その寂しさは誰の胸にも感触は残っており、それ自体が大切な共通の記憶になっているのではないかと思う。しかし失われるからこそ、現実ではない記憶の中で、秘密の道を人は作れる。だから、「ジャクリーヌとミロー」はラストを飾るにふさわしい。

  • 少年少女の出てくる短編集。

  • 三好達治さんの名訳。

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著者プロフィール

1844-1924年。パリ生まれ。高踏派詩人として出発、その後小説に転じて『シルヴェストル・ボナールの罪』、『舞姫タイス』、『赤い百合』、『神々は渇く』などの長篇でフランス文学を代表する作家となる。ドレフュス事件など社会問題にも深い関心を寄せ、積極的に活動した。アカデミー・フランセーズ会員。1921年、ノーベル文学賞受賞。邦訳に《アナトール・フランス小説集》全12巻(白水社)がある。

「2018年 『ペンギンの島』 で使われていた紹介文から引用しています。」

アナトール・フランスの作品

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