- 岩波書店 (1976年2月16日発売)
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感想 : 47件
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Amazon.co.jp ・本 (268ページ) / ISBN・EAN: 9784003255315
感想・レビュー・書評
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母親からの虐待に堪え忍ぶ、赤髪の少年にんじんの話。可哀想な少年だと同情してしまいそうだが、虐待に関するディテールはあえてぼかされ、ユニークな話に仕立てられている。まぁ正直、そんなにおもしろくはなかった。これはあくまでも児童文学なのかもしれない。あと、岩波文庫だからか、字が小さいし文章が読みづらかった。新潮文庫のほうがよかったのかもしれない。
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読書会の課題本として読んだ。
暴力こそないものの、主人公である「にんじん」が精神的に虐待を受けていてとてもつらかった。ああ言えばこう言う式に、結局は何も言っても否定されるので、単純な事柄さえ素直に口にできなくなってしまっている姿が痛々しい。
それでもまだ親からの愛情を求めているらしいにんじんが可哀そうだった。
それだけに、最後ではっきりと母親への感情を出す場面では「その調子だ!」と思った(笑)。
明らかにおかしいのは、彼の母親の方なのだから、それをきちんと表明できるにんじんはすごい。私はにんじんの父親もひどいなぁと思っていて、それは父親がにんじんに「お前が今より幸せになることなんてない」と言う場面からも明らかだ。自分の子供に、「今より幸せになることなんてない」(=今がお前の一番幸せな時だ)と言うなんて、何様なのだ? と思う。現状を肯定したいがために、子供を支配しようとしているだけだ。
……と思っていたのだけど、読書会で全く違う意見、むしろ正反対な意見が出て、とても新鮮だった。
その人の解釈では、ここは(この後に続く文もふまえて)父親の子供へ対する思いやり=お前も大人になれば自由になれるのだぞ、という認識を共有する場面なのだそうだ。現実を受け入れた上で、共に戦っていこうという励ましと読まれたらしい。
読みがぜんぜん違ってびっくりした。読書会をすると、自分の視点以外にもさまざまなものの見方、受け取り方があるのだなぁと改めて感じる。 -
子どもらしい無邪気さと愛情を求める気持ちを持つ反面、状況や人間を冷静に分析し、狡猾さと諦念を感じさせるにんじんの矛盾する性質が、夫婦や兄姉の気味の悪さと不信感を買い、嗜虐心を煽っている。
肉体的にも精神的にもひどい仕打ちを受けるにんじんの様子が語られているが、哀れを誘うような調子ではなく、あくまで淡々と客観的な物語が続き、その中に皮肉と滑稽と繊細さが織り込まれている面白い本だった。 -
岸田国士訳。支配的で不安定な母親と無関心な父親、上手に躱してやり過ごす兄と姉に囲まれて育つ主人公の話。19世紀フランスの地方が舞台だということを念頭に置かないと出てくる差別用語や体罰、そもそもの「にんじん」の呼び名にギョッとさせられる。短く挟み込まれる寮生活のシーンでは今でいうところの性虐待なのではないか?とも読める内容が描かれている。山本有三の「路傍の石」や下村湖人の「次郎物語」が頭に過ぎる、子供の時の怪我と砂ぼこりと汗の匂いを感じる作品だが、主人公のにんじんは裕福な家庭で育ち学校にも通っており、実の両親と兄弟と暮らしている。
家族、特に母親との関係性が軸になっているため、短い休みで実家に戻り(本来であれば)楽しく心休まる時間が、主人公にとっては苦痛を伴う時間として書かれ、また後半でセリフにも表れている。主人公から見た大人達の理不尽な仕打ちに目が行きがちではあるが、大人の軽い一言が刃物のように刺さったり、ちょっとした気まぐれの甘やかしに天にも昇る気持ちになったり、誰もが人生の経験値の少ない子供だったころに感じたことのある心の浮き沈みや痛みが鮮明に描かれている。ただ、それにしてもこの親は教育に良くないと考えさせられる部分が多く、まだすべての歯が生え変わっていない子供を物かペットのように扱う両親のセリフや態度に思わず身体が強張った。途中、猫に対する残酷なシーンがあるので苦手な方は注意されたし。 -
あまりにも切ない、少年の記録。
共感する部分もあり、小さな頃に心の奥底に閉まって鍵を閉めておいたはずのあの時の思い出が蘇る。
少年が純粋無垢ではなく、感情をしっかり持っている点がすごくリアルだった。
誰かを憎み誰かを愛し、生きていくのが人間なのだなぁ。 -
どんな運命でもぼくよりゃましだよ。
僕には一人の母親がある。この母親が僕を愛してくれないんだ、
そして僕がまた、その母親を愛していないんじゃないか。
にんじんが反旗を翻したのは突然のことであったが
上記一文からにんじんがたどりついた思考がわかる。
にんじんは母親に愛してもらうことを捨てたのである。
そして自分も母を愛していないと告白したのである。
(意地悪をされながらもにんじんは、母親への愛着を持っていた様子であったが
彼がついに子供から自我をしっかり持った青年になりつつあるのだ)
うそつきで卑屈なにんじんの、正直で勇気ある告白は父親を驚かせた。
そして父親は我慢できずに言ってしまうのだ。
「そんなら、わしが、そいつ(にんじんの母・筆者注)を愛してると思うのか」
これが「にんじん」の育った家族の姿だったのである。
この「私を怯えさせる物語」の普遍性の幹はこれであった。 -
面白い!簡潔な文章で子供と言うものがこういうものだと共感できる主人公だった。
母親へ反抗したにんじんに感動して、最後にまたもとにもどったにんじんにまあそうやんな。となった。
名付け親とのやりとり
「嘘ってのは必ず最後にはばれちまう。」
「でも時間は稼げるぜ。」
がとても印象に残った。というか共感した。 -
歪んだ家庭の歪んだ関係がユニーク。
いつ読んでも飽きなくていい作品です。 -
家族に苛められながらもたくましく生きるにんじん。挿し絵もいいです。
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あまりいいとは思わなかった。歳を重ねたらもう一度読んでみたいと思う。
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小学3年くらいの時に、可愛い表紙に釣られて読んだトラウマ本。当時、学校でも家でも精神的に安心することができなかった自分とにんじんが重なって余計辛いのになんか興味があって読んじゃってたから、昔から辛い話しが好きだったんだと思う。内容はよく覚えてないけど、釣り針が指に刺さって取れない場面だけ、鮮明に覚えてる。(たぶんあったはず)
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青空文庫にて。名前は知ってるけど読んだことのない名作を読もうとのことで。岸田國士訳なのでこちらで登録。読みはじめてから足掛け1年ほど(途中かなり中断を挟む)。内容をかなり忘れてしまう。訳自体もかなり古くさい感じはある。
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若干救いがないというか…。
ヴァロットンの挿絵のために購入。 -
2020年4月再読。読後の印象は、にんじんの悪童ぶりや、ルピック婦人(母親)との確執から、ルピック氏(父親)のユーモアを込めたにんじんへの愛情と期待に移った。1世紀前の多動性傾向の学業優秀児の身辺記とも。10代で触れた本を、40代に再読する愉しみ。
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訳:岸田国士、原書名:POIL DE CAROTTE(Renard,Jules)
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ルナアルの自伝的小説だそうだが、両親から十分な愛情を注がれていたとは言い難い子供時代だったのだなぁという印象。正直この本がなぜ広く読まれているのか分からない。でも間違いなく、一度読んだら忘れられない作品ではある。読みやすかった。
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岸本佐知子さんの小中学生時代の愛読書だと知り興味を持った。
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大好きな作品
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悲惨だがなぜかこころうたれる。
ジュール・ルナールの作品

にんじん 子供の頃 読んで、心に、インパクト受けた覚えがあります。フランス作家ばかりあつめた、図鑑のよ...
にんじん 子供の頃 読んで、心に、インパクト受けた覚えがあります。フランス作家ばかりあつめた、図鑑のように、大きな本で、読みました。にんじんには、確か、心を許せるおじさんがいて、ミミズをパンにつけて、食べていたような、記憶があります。にんじん少年が、ラスト近くで、父親に、母への思いを叫ぶシーンが、印象的でした。なんだか、また、読みたくなって、きました。
今日は、少し寒さが和らぐようです。だんだん春めいてきますね。
良い一日を、お過ごしくださいね♪