モントリオル 上 (岩波文庫 赤 553-5)

著者 : モーパッサン 杉捷夫

• 岩波書店 (1957年4月26日発売)

感想・レビュー・書評

[ジャミラさんの感想 · 2008年4月28日]

湯治場を舞台にして、貴族夫人と美青年の浮気を中心に、投機家の策略やら政略結婚やら医者の利権争いやら、人間のドロドロしたところを痛烈に描く。
とはいえ話は暗くもトゲトゲしくもなく人物造形がユニークで非常に楽しく読めること請け合い。この話に絶望するか、それともどんな状況であろうと人間は幸せになろうとすればなれるという希望を見出すか。それは人それぞれかも。

著者プロフィール

フランス人。1850〜93年。母の友人フローベールにすすめられ文筆に転向。最初の成功作『脂肪の塊』（1880）で一躍新聞小説の寵児となる。短編約三○○、長編数作を書く。長編に『女の一生』（1883）『ベラミ』（1885）。短編小説『幻覚』や『恐怖』は戦慄させるほどの正確さで狂気や恐怖を描写し、この狂気の兆候が1892年発病となり、精神病院でなくなる。

「2004年 『モーパッサン残酷短編集』 で使われていた紹介文から引用しています。」