- Amazon.co.jp ・本 (540ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003255513
作品紹介・あらすじ
人間として、芸術家として、生涯不屈の気魄をもって真実を追求しつづける音楽家ジャン・クリストフ。傷つきつつも闘いをやめない彼の姿は、時代と国境をこえ、人びとに勇気と指針を与えてきた。偉大なヒューマニスト作家ロマン・ローランの不朽の名作。
感想・レビュー・書評
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「神様のカルテ3」で、東西さんと、しんちゃんの所で出てきた、フランス文学?「ジャン・クリストフ」1巻目を読んでみました。
原作は、1903年から1912年に書かれたもの。著者であるロマン・ラマンは、この「ジャン・クリストフ」でノーベル文学賞を受賞しているそうです。
私が読んだ岩波文庫版は、1986年に出されたものですが、なかなか言葉が難しい。まぁ、原作が100年以上も前のものなのでしかたないですね。現代語訳では、物語の重さが表現できないでしょう。
ストーリーは、貧しい音楽家に生まれた少年が、作曲家として大成する物語。第1巻は生まれてから青年期までを描いています。
一字一句を舐めるように読んだわけではありませんが、一読にて理解できるものではないですね。でも、魅力がある。単純に「面白い!」と言い切れない部分がある。
恐らくは彼の苦悩に満ちた生き方に、誰もが相通ずるものがあるでしょう。正義や宗教、恋や愛。道徳や哲学。生きて行く上で、人間であるが故の葛藤が息苦しく苦しく描かれています。
特筆して、叔父のゴットーフリートの言葉は、クリストフと同じように読者の心にも突き刺さる。
こんな本を傍らに持ち、100年以上前の著書から発せられるエネルギーを真摯に受け止め、生きて行く上でのエネルギーにしたい。
久しぶりに、妙薬にような本に出会い、苦々しい気持ちです。でも嫌いでは無い。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
望む通りに事ができるものではない。望むと生きるは別である。肝心なことは、望み生きることに飽きないことだ。▼誤ることがないのは何もなさない者である。生きた真理への誤謬は、死んだ真理よりも豊穣である。▼すべてを所有している時に社会を否定するのは、最上の贅沢である。ロマン・ロラン『ジャン・クリストフ』1904
英雄は自分のできることをする。凡人はできることをしないで、できもしないことを望んでばかりいる。ロマン・ロラン『魅せられたる魂』1922
発見の旅とは新しい景色を探すことではない。新しい目を持つことだ。▼精神を鍛えるのは、幸福ではなく心の痛みである。▼安定は恋を殺し、不安は恋をかきたてる。プルースト『失われた時を求めて』1919
苦悩を徹底的に経験することによってのみ、苦悩は癒される。プルースト
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ある人間を憎むとき、私たちは自分自身の中に巣くっている何かをその人間の像の中で憎んでいる。自分自身の中にないものは、私たちを興奮させはしない。▼鳥は卵から無理に出ようとする。卵は世界だ。生まれようとする者は、ひとつの世界を破壊しなければならない。ヘルマン・ヘッセ『デミアン』1919
死・病気への興味は、生への興味の一形態にほかならない。▼馬鹿にも様々な種類があって、利口は馬鹿のうちのあまり感心しない一種である。トマス・マン『魔の山』1924
他人の感情生活に想像力を働かせる。察知する。トマス・マン『若いヨゼフ』
人を不安にするのは、事柄そのものではなく、それに関する人の考えである。▼苦しみは人間を強くするか、打ち砕くかである。その人の素質によってどちらかになる。▼過度に謙遜する人を真に受けてはいけない。とくに自分で自分を皮肉るような態度を信用してはいけない。その背後には強烈な虚栄心と名誉心が潜んでいる。▼高慢は常に破滅の一歩手前で現れる。高慢になる人は、もう勝負に負けている。カール・ヒルティ『幸福論』1891
苦難はたいてい未来の幸福を意味し、それを準備してくれるものであるから、私はそうした経験を通じて、苦難のときには希望を抱くようになり、逆にあまり大きな幸福に対しては疑念を抱くようになった。カール・ヒルティ『眠られぬ夜のために』1901
歓びは多くの苦しみを耐え忍んできた人々のみが知る。その他の人々は単なる快楽を知っているにすぎない。カール・ヒルティ『新書簡』
大文字ばかりで印刷された書物は読みづらい。日曜日ばかりの人生もそれと同じである。▼人生は一冊の書物に似ている。愚者はそれをペラペラとめくっていくが、賢者はそれを丹念に読む。ジャン・パウル『角笛と横笛』
称賛されたときではなく、叱られたときに謙虚さを失わない人は、真に謙虚である。ジャン・パウル(1763-1825) ※ドイツ人
純粋な信念の人、宗教に夢中になる人、世界を変革・改善しようとする人。高い志にもかかわらず、自分でも嫌っている殺戮と惨禍を引き起こすのはこういう人たちである。シュテファン・ツワイク『ジョゼフ・フーシェ―ある政治的人間の肖像』
愛されるとは亡びることであり、愛するとは亡びないことである。ライナー・リルケ『マルテの手記』1910 ※デンマーク
人間は、すべての生命を尊び、守る責任を負っている。シュヴァイツァー『文化と倫理』
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初恋を語る詩人は多いが、その後の恋を語る詩人が少ないのはなぜだろう。ジョージ・エリオット『アダム・ビード』1859 ※女性
悪いことが起こると強く信じれば、それは起こらずにすむという、誰にでも染み付いている迷信。ジョージ・エリオット『サイラス・マーナー』1861
結婚を尻込みする人間は戦場から逃亡する兵士である。▼最上の男は独身者の中にいる。最上の女は既婚者の中にいる。ロバート・ルイス・スティーヴンソン『若い人々のために』1883
それは穏やかで平安に満ちた夏の風景だった。夢のように美しく、日曜日のようにもの寂しくひっそりとしていた。マーク・トウェイン『アーサー王宮廷のコネチカット・ヤンキー』1889
失敗をゆるすのは成功をゆるすよりもはるかにたやすい。チャールズ・ウォーナー『小さな旅』
ユーモアの利点は嘲(あざけ)りの笑で運命を平然と無視できることだ。ジョージ・ギッシング『三文文士』1891
絶望には独特の静けさがある。ブラム・ストーカー『吸血鬼ドラキュラ』1897
狂人とは理性を失った者ではない。理性以外のあらゆるものを失った者である。正統とは正気であり、荒れ狂って疾走する馬を巧みに操る人の平衡である。▼見知らぬ国へ行く魅惑に満ちた恐れ。故国に帰る懐かしい安堵。▼人々はローマが偉大であるからローマを愛したのではない。ローマは人々が愛したからこそ偉大になったのだ。ギルバート・チェスタトン『正統とは何か』1908
自殺が罪悪であるのは、あとに残されるものの感情を顧みないからである。フォースター『ハワーズ・エンド』1910
若さの唯一の欠点はあまりに早く歳をとってしまうことだ。アガサ・クリスティ『秘密機関』1922 -
やっとこの本に辿り着いたという感じ。
世界文学全集で誰もが薦める人類の必読書としてこの小説の存在があった、読んでいないことに対するコンプレックスを常に持っていた。読み出して、その意味がよくわかる。着実な構想と文章で一人の稀有な音楽家の人生を擬似体験させてくれる。生きるエネルギーに満ちたドラマで表現がとにかく丁寧で緻密である。クリストフの生い立ちや少年・青年期の心理描写と内省の世界は今でもまったく古びない。それどころか時代や環境が変わっても人間の本質は変わらないということを強く教えられる。作者の思想・発想・視点が極めてオーソドックスで気を衒わず物語は進行する。ロマン・ローランという文学者の人間性と能力、そして彼が生きた時代のヨーロッパ・社会環境を如何なく見せてくれる。解説が微に入り細にわたり丁寧なので読んでいて次の展開を期待すること頻りなのだが、とにかく安心できる心地よい読み物だ。長い旅になりそうなので気を抜かず楽しもう。 -
人間を描くことが小説の一つのありかたなら、これは読むべきだろう。
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3.95/440
『ライン河畔の貧しい音楽一家に生れた主人公ジャン・クリストフは,人間として,芸術家として,不屈の気魄をもって,生涯,真実を追求しつづける.この,傷つきつつも闘うことを決してやめない人間像は,時代と国境をこえて,人びとに勇気と指針を与えてきた.偉大なヒューマニスト作家ロマン・ローランの不朽の名作.』(「岩波書店」サイトより▽)
https://www.iwanami.co.jp/book/b248045.html
原書名:『Jean-Christophe』
著者:ロマン・ロラン (Romain Rolland)
訳者:豊島 与志雄
出版社 : 岩波書店
文庫 : 540ページ(第一巻) 全四巻 -
音楽好きの私の為にと母が買ってきてくれた。
高校生のころだったと思う。読み切ったはずだが殆ど記憶が薄れている。 -
幼少期の感受性をこんな風に描写できるなんて。
自分の当時の感情をちょっとだけ思い出した。