ベートーヴェンの生涯 (岩波文庫)

制作 : 片山 敏彦 
  • 岩波書店
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本棚登録 : 378
レビュー : 38
  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003255629

作品紹介・あらすじ

文献: 175-190p

感想・レビュー・書評

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  • この本を読んだのは、私がメンタルの調子を崩し、言葉をうまく話せなくなって、半分ヤケになりながら自分の少しでも興味を持てることをしようと試行錯誤していた時でした。
    興味を持てることの中に、佐渡裕が指揮をする一万人の第九というイベントがあり、それはたまたま知ったもので第九は歌ったことも全曲聴いたこともなかったのですが、吹奏楽での少しの楽器の経験と、年末になるとよく開催されている第九のコンサートはどういうものなのだろうという些細な興味から応募し、2年目に当選して参加をしました。

    12回のレッスンに参加をする必要があったのですが、合唱団に参加している人には合唱や音楽の初心者も多く、私もその一人で、レッスンの中では歌をただ教わるだけでなく、ドイツ語の歌詞の意味や、作曲者のベートーヴェンの話も色々ときけて、その中でベートーヴェンの話で、ベートーヴェンは耳が聴こえなくなったから絶望したのではない、耳が聴こえないことを、まわりに知られるのが耐えられなかったのだということや、ベートーヴェンの音楽には、全ての芸術、仕事、人生に通じる哲学がある、という話をきき、印象に残って、ベートーヴェンのことを知りたくなり、この本を手に取ったのでした。

    私が圧倒的に心を揺さぶられたのが、ハイリゲンシュタットの遺書でした。そこには、当時の私がまさに経験していたような、耳が聴こえなくなったことでの苦悩や葛藤が書き綴られていました。私はその文章によって自分自身が救われ、また、この本の著者であるロランロマンがぴったりと寄り添うようにベートーヴェンに対して終始一貫して敬意を注ぎ続ける様に、共感のようなものを感じたのでした。

    何度も読み返した印象的な本です

  • ロランによるベートーヴェンの伝記部分と、
    ベートーヴェンと友人達の手紙のやりとり、
    ベートーヴェンの思想断片、
    そしてベートーヴェン記念祭でのロランの講演、
    複数の角度からベートーヴェンについて書かれている本。
    ただ、ロランの愛情たっぷりで少し偏っているかもしれない。

    『ミケランジェロの生涯』と同じく、悲劇的な側面を大きく取り上げている。
    ベートーヴェンが生み出した曲の裏側にある苦悩。
    彼を最も苦しめたのは音楽家には致命的な耳の病気。
    それに立ち向かう力強い姿と、孤独のうちで苦しむ姿。
    筆不精なベートーヴェンが友人に送った手紙から、苦悩が伝わってくる。

    ベートーヴェンは自分の障害を乗り越え、曲を残すことによって、他人に役立ちたいと考えていたという。
    そしてその曲たちは現代までその役目をしっかり果たしている。
    ベートーヴェン歿後100年の記念祭(ウィーン)でのロランによる講演の一節。

    この勝利は孤独な一人の人間のもののみにとどまらない。それはまたわれわれのものである。ベートーヴェンが勝利を獲得したのはわれわれのためにである。彼はそのことを望んだ。p.172『ベートーヴェンへの感謝』

    一番しびれたのは『第九交響曲』が生まれるエピソード(p.63-68)。
    初演では聴衆が泣き出すほどの感激を巻き起こし、演奏会のあと、ベートーヴェンは感動のあまり気絶したという。まさに歓喜の瞬間。

    悲劇のうちから歓喜を造りだした、熱い生涯。

    ベートーヴェンについて、もっと知りたくなった。

  • 松丸本舗で発見して読んでみた。

  • ベートーヴェンという天才は、他の天才的芸術家の例に漏れず、健康問題、人間関係、貧困という苦難にもまれながら名曲を残していった。
     ベートーヴェンというと、まず、難聴の天才音楽家というイメージが強いが、それによる精神的な問題以外は屈強な身体をしていた。この点が、音楽の戦闘的な戦慄、激しさ、雄雄しさにも反映されているように感じる。
    もちろん難聴という障害が彼の生涯、精神、作風に与えた影響は語りつくせぬものがあるであろうが、著者の記述からはそういった側面はあまり感じられない。耳の障害とベートーヴェンという天才、その音楽についてロランは、むしろ耳が聞こえなくなったことが一層、ベートーヴェンの自然に対する愛を深めたというように積極的に捉えているように感じる。
    一方で、彼自身は自身の才覚を意識し、「救済者」、音楽を通じて人々を救うという使命間にも似たものを背負っていたようだ。
    たとえばそれは、「俺は人類のために精妙な葡萄酒を醸す酒神(バッカス)だ。精神の神々しい酔い心地を人々に与える者はこの俺だ。」という彼の光栄の時期における発言にも感じ取ることが出来る。
    またその使命感は、家族に対する愛にもつながる。ベートーヴェンは甥カルルを引き取って正しく育てようとしたが、彼の愛は甥には必ずしも通じず、生涯を通して天才はこの問題に苦悩した。
    そしてベートーヴェンは家族愛だけでなく、恋愛にも没頭した。ジウリエッタやテレーゼといった女性を愛し、とくにテレーゼとの幸福な恋愛は彼の楽曲創造に大きく影響を与え、別かれた後も彼のより所となっていたようだ。彼はテレーゼを、「あなたは本当に美しくて偉大だったね。まるで天の使いたちのようだったね。」と表現している。
    不埒な父親や、自分の愛を受け止めない甥など、必ずしも家族愛に満ちていたとはいえないが、恋人、そして友人シントラーなどの彼の理解者は常に存在し愛にも満たされていたと思われる。
    この『ベートーヴェンの生涯』の著者、ロマン・ロランは『ジャン・クリストフ』というベートーヴェンをモデルにした大河小説によってノーベル文学賞を受賞しているが、この『ベートーヴェンの生涯』は、それが発表される以前にかかれたものである。
    従って、ロランは小説の格好のモデルとしてベートーヴェンという人物に興味を持ったのではなく、ベートーヴェンという人間に惹かれ、そしてその音楽を愛していたからこそ『ジャン・クリストフ』という大著が完成できたのであろうと察せられる。
    この『ベートーヴェンの生涯』は、ロランのベートーヴェンに対する愛にあふれる視点から、感情の起伏とその時折に創造した楽曲を含め彼の人生が描かれている。したがって、この著作を読みながら楽曲を聴いて、ベートーヴェンという天才の生涯に思いを馳せてみるというのも非常に楽しいベートーヴェンの楽しみ方ではないかと思う。

  • 青木やよひさんの「ベートーヴェンの生涯」の対比として読みました。
    まぁ、ロマンロランしかなかった時代は、本書も良かったのでしょうが、より研究的レベルを求めるなら、青木さんのほうをオススメします。

  • ベートーヴェンの伝記と、手紙、のこしたメモなど。

    C0123

  • いつも年の初めには、今年こそ古典を、と一念発起するものの、いつのまにやら実用書、新書、流行本に流れる毎年。今年は無理せずに、せめて1月だけでも、。ということで手に取ったのがこの本。

    ロマンロランが影響を受けたベートーベンに捧げた文、ベートーベンの手紙、書簡などからなる1冊。厳しい父、裏切り、そして病気など、よくまあこれほどまでの困難と戦いつつ、あれだけの名曲を書いたものだ。彼はかなり神経質で偏屈だったといわれるが、この環境でそうならないのがおかしいくらい。

    心弱ったときに読み返したくなる1冊だと思います。

  • 学生時代に入っていた管弦楽団で、先輩からもらった本。ベートーヴェンの頑固で怖そうなイメージがひっくり返され、友達思いで信仰深く、非常に人間味のある人物像が浮き彫りにされる。ベートーヴェンとって魂の表現の最高の手段が、音楽であったことが、彼の芸術家としての一流の生き方を物語っている。私に芸術家としての素質はないに等しいが、この書を読むことでより、彼のことを理解し、曲の良さを味わうことができるのですごくありがたい。ロマン・ロランの「ジャン・クリストフ」もそのうち読んでみたい。芸術の秋をベートーヴェンと楽もう。

  •  そういえばベートーヴェンって耳悪かったっけな。

     伝記かと思って買ったんだけど違った。けど、思ってた以上におもしろかった。普段こういうの(ヨーロッパ文学的なの)を読まないから、表現とかがいろいろ新鮮だった。
     フランスの作家ロマン・ロランの「ベートーヴェンの生涯」のほかにベートーヴェンの手紙、思想断片など。
     そもそも世界史に詳しくないので時代背景がさっぱり。ナポレオンが何やったかも分からないくらいですから。
     耳がどこまで聞こえてなかったのか分からないけど、子どものころは聞こえてたんなら、そのとき聞いた「自然の音」がのちのベートーヴェンにとっての世界のすべてだったんだろうなぁ。ひとが作った音楽とかも聞けなかったのかな。ある意味本当に自分の世界だけで作ってたってことかなぁ。
     分かりやすいベートーヴェン賛歌だったので、機会があればベートーヴェンdisも読んでみたいところ。
     抜粋。「ベートーヴェンへの感謝」より。


    ……「ますます簡明に!」(Immer simpler!)本質をいえ! 他は沈黙せよ!


     単純であるが故に持てる強さってあるよな。

  • 交響曲第九を聞くうちに、読みたくなった一冊。ロマン・ロランによるベートーヴェン論。伝記ではないが、彼の苦悩に満ちた生涯とその音楽を重ねて考察。ベートーヴェンへの感謝が溢れている。
    『悩みとつき抜けて歓喜に至れ』

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著者プロフィール

Romain Rolland(1866-1944)1866年フランス中部のニエーヴル県クラムシーに生まれる。1880年パリに転居。エコール・ノルマル・シュペリウール(高等師範学校)卒業と同時に歴史の教授資格試験に合格。教鞭をとる傍ら戯曲や音楽評論を発表し、1913年に小説『ジャン・クリストフ』がアカデミー・フランセーズ文学大賞を受賞。1914年8月、スイス滞在中に第一次世界大戦が勃発、この地で戦闘中止を訴えた。1916年ノーベル文学賞受賞。戦後は反ファシズム活動に参加、第二次世界大戦中はナチスに抗しながら執筆を続けた。1944年没。代表作は他に『ベートーヴェンの生涯』、『戦いを超えて』、『先駆者たち』、『クレランボー』、『魅せられた魂』、『革命によって平和を』など。

「2015年 『ピエールとリュース』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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