ベートーヴェンの生涯 (岩波文庫)

制作 : 片山 敏彦 
  • 岩波書店
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レビュー : 39
  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003255629

感想・レビュー・書評

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  • ロランによるベートーヴェンの伝記部分と、
    ベートーヴェンと友人達の手紙のやりとり、
    ベートーヴェンの思想断片、
    そしてベートーヴェン記念祭でのロランの講演、
    複数の角度からベートーヴェンについて書かれている本。
    ただ、ロランの愛情たっぷりで少し偏っているかもしれない。

    『ミケランジェロの生涯』と同じく、悲劇的な側面を大きく取り上げている。
    ベートーヴェンが生み出した曲の裏側にある苦悩。
    彼を最も苦しめたのは音楽家には致命的な耳の病気。
    それに立ち向かう力強い姿と、孤独のうちで苦しむ姿。
    筆不精なベートーヴェンが友人に送った手紙から、苦悩が伝わってくる。

    ベートーヴェンは自分の障害を乗り越え、曲を残すことによって、他人に役立ちたいと考えていたという。
    そしてその曲たちは現代までその役目をしっかり果たしている。
    ベートーヴェン歿後100年の記念祭(ウィーン)でのロランによる講演の一節。

    この勝利は孤独な一人の人間のもののみにとどまらない。それはまたわれわれのものである。ベートーヴェンが勝利を獲得したのはわれわれのためにである。彼はそのことを望んだ。p.172『ベートーヴェンへの感謝』

    一番しびれたのは『第九交響曲』が生まれるエピソード(p.63-68)。
    初演では聴衆が泣き出すほどの感激を巻き起こし、演奏会のあと、ベートーヴェンは感動のあまり気絶したという。まさに歓喜の瞬間。

    悲劇のうちから歓喜を造りだした、熱い生涯。

    ベートーヴェンについて、もっと知りたくなった。

  • いつも年の初めには、今年こそ古典を、と一念発起するものの、いつのまにやら実用書、新書、流行本に流れる毎年。今年は無理せずに、せめて1月だけでも、。ということで手に取ったのがこの本。

    ロマンロランが影響を受けたベートーベンに捧げた文、ベートーベンの手紙、書簡などからなる1冊。厳しい父、裏切り、そして病気など、よくまあこれほどまでの困難と戦いつつ、あれだけの名曲を書いたものだ。彼はかなり神経質で偏屈だったといわれるが、この環境でそうならないのがおかしいくらい。

    心弱ったときに読み返したくなる1冊だと思います。

  • 交響曲第九を聞くうちに、読みたくなった一冊。ロマン・ロランによるベートーヴェン論。伝記ではないが、彼の苦悩に満ちた生涯とその音楽を重ねて考察。ベートーヴェンへの感謝が溢れている。
    『悩みとつき抜けて歓喜に至れ』

  • ベートーヴェンを崇拝したロマン・ロランの著。

    ロマン・ロランといえば反戦理想主義者のノーベル文学賞受賞者として有名ですね。

    ベートーヴェンの音楽には精神性が宿るとし、その艱難に満ちた人生からベートーヴェンの音楽を紐解きます。

    タイトルでもある「ベートーヴェンの生涯」は案外短い文章で、さらっと読めます。

    ほか、有名な「ハイリゲンシュタットの遺書」が読み応えあります。
    自分の聾唖に絶望し、この遺書を書き残しました。
    ところが、そのあと「豊作の森」と言われるエロイカなどの名作を次々と生み出します。
    絶望が創作意欲に結晶したといわれていまして、その源泉を垣間見ることができました。

    また、手紙や思想断片など、ベートーヴェンの内的世界に近づける著となっています。

  • 才能に恵まれ、音楽家としても成功したが、家庭や健康に恵まれず、人生は苦しみの連続。純粋で、情熱的で、不器用で、ちょっと頑固な性格。
    テレーゼへの情熱的な思いは、読んでいるものに女性を深く愛する気持ちを思い起こさせる。本当に素敵だ。
    苦悩に苛まれ続けたベートーヴェン。悩みをつき抜けて歓喜に到れという言葉に胸が熱くなった。
    無性にベートーヴェンの音楽が聞きたくなった。特に第九が聞きたい。

  • P17-21までの内容に最も共感し、励まされた。


    ベートーベン

    「実力、これこそ己れを一般から卓越させる人々の道徳だ。」p48

    ロマンロラン

    生の戦いの中で p11
    生活は厳しい。魂の凡庸さに自己を委ねない人にとっては、生活は日ごとの苦闘である。そしてきわめてしばしばそれは、偉大さも、幸福も無く孤独と沈黙との中に戦われている憂鬱なたたかいである。p17

    人格が偉大でないところに偉人はない。p19

    人生というものは、苦悩の中においてこそ最も偉大で実り多くかつまた最も幸福でもあるp20

  • (1966.10.22読了)(1966.10.12購入)
    内容紹介
    少年時代からベートーヴェンの音楽を生活の友とし、その生き方を自らの生の戦いの中で支えとしてきたロマン・ロラン(1866―1944)によるベートーヴェン賛歌。20世紀の初頭にあって、来るべき大戦の予感の中で、自らの理想精神が抑圧されているのを感じていた世代にとってもまた、彼の音楽は解放のことばであった。

  • 「音楽は人々の精神から炎を打ち出さなければならない」

著者プロフィール

Romain Rolland(1866-1944)1866年フランス中部のニエーヴル県クラムシーに生まれる。1880年パリに転居。エコール・ノルマル・シュペリウール(高等師範学校)卒業と同時に歴史の教授資格試験に合格。教鞭をとる傍ら戯曲や音楽評論を発表し、1913年に小説『ジャン・クリストフ』がアカデミー・フランセーズ文学大賞を受賞。1914年8月、スイス滞在中に第一次世界大戦が勃発、この地で戦闘中止を訴えた。1916年ノーベル文学賞受賞。戦後は反ファシズム活動に参加、第二次世界大戦中はナチスに抗しながら執筆を続けた。1944年没。代表作は他に『ベートーヴェンの生涯』、『戦いを超えて』、『先駆者たち』、『クレランボー』、『魅せられた魂』、『革命によって平和を』など。

「2015年 『ピエールとリュース』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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