ムッシュー・テスト (岩波文庫 赤560-3)

  • 岩波書店 (2004年4月16日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (200ページ) / ISBN・EAN: 9784003256039

みんなの感想まとめ

内面的な探求と哲学的な思索が織りなすこの連作小説は、詩人ヴァレリーの人生と思想を深く掘り下げています。彼の内省的な断片が、テストという人物を通じて描かれ、自己の存在や知識の探求に関する独自の視点が展開...

感想・レビュー・書評

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  • 詩人の残したただ一冊の連作小説ですね。
    作家の向かい合わせにしたようなムッシュー・テストを観察する文体で綴られています。
    ヴァレリーは自身の内面的危機から内省的断片を書き連ねた一冊の帳面(カイエ)に帰結する。生涯に二万数千ページにもおよぶ神話的な(カイエ)から導きだされた小説との事でした。
    詩人の詩人としての成功とは裏腹に、模索する内省のゆえに、難解な内容に成っています。とは言うものの訳者さんが苦心して読みやすく、訳注と解説がしっかりしているので、ヴァレリーと対話しているかのように読み進めました。
    哲学的でもあり、詩的でもあり、恣意的な文章、会話、様々な断編の構成ですが、語られている事から得られるものは読み手しだいなのかな。

  • テストをめぐる小説は、24,5の若い頃から、死に至るまで書かれた連作だが、そこに見られるものの見方は、大きな違いはない。テスト、および彼について語る語り手とヴァレリー自身を重ね合わせるのは、テストの生活様式や知的活動、また彼の書いたものとして、ヴァレリーのカイエからの断片が用いられていることからきわめて自然なことだし、そう見られることをヴァレリー自身も否定しないだろう。
    ヴァレリーは、あらゆることを、「知ること」をつうじて考えたのだと思う。なにごとも「知る」という活動と切り離して考えることはできないという信念があったのだと思う。
    彼にとって、自己は、持続のなかでの一つの断面のようなものであり、認識の対象にすぎない。極論すれば、自己は存在しないのだ。そして彼は、自己は自らが持続を通じてあるものだと錯覚しているということにも気づいている。彼にとって最上の価値をもつ主観は、精神である。精神は情動性から切り離された知性そのものであり、テスト=ヴァレリーはその意味での精神になりたかったのだ。

  • 新書の伝記を読み終えたので長らく積んであった小説からチャレンジしてみようということで読んでみたが、難解。

    力不足でヴァレリーの読み方が分かりませんでした。

  • 自分自身とはこの自分だけを見つめていてもわかるものではなく、他者との関係性の中、具体的には他者との語らいや交流によって見えてくるものとぼくは思う。その意味でぼくはテスト氏に共感できず、むしろどこかよそよそしささえ感じる。だが、その「よそよそしさ」が同時に生々しくアクチュアルなものであり無視できないのはそんな感じで「自己」としか呼びようのないものが自分の中にあるという感触(そしてそれはどれだけ明察・分析を極めてもついに見極められないという絶望)が確実にあるからだ。実に明晰な文体がそうした自意識の不幸を伝える

  • 記録

  • 津村の読み直し世界文学の1冊。タイトルもわかりにくいが、内容も分かりにくい。解説を読んでもわかりにくい。これをどのように学生に薦めることが出来るか迷う。

  • 今のところ難解

  • 人間や自身に対する思索が、テスト氏を通して語られます。抽象化された表現を理解しようとして、具象に落とし込みながら読んだため、時間を要しました。そうしたものの、やはり難解すぎました。

  • 京都弁なら「おつむはん」だと解説(清水徹)に

  • ヴァレリーの序文が僕にとっての全てだった。中盤での「マダム・エミリー・テストの手紙」でエドモン・テストに溺愛する彼女の姿を投影して愛とはという命題を掴んだ気がした。中盤から最終部にかけて、アフォリズムが展開される。僕にとって難解な小説集だった。

  • 文学
    古典

  • 「出発が決まった途端に、まだ身体のほうはすこしも動きだしていないうちに、やがてまわりのすべてが一変すると考えるだけで、わたしたちの隠れたシステムに、あるふしぎな変更が通達されることになる。ここからやがて立ち去る、そう感じるだけで、まだ手で触れる一切のものが、いわばつい隣にあったその実在性をほとんどたちまちのうちに失ってしまうのです。まるで、それらの現前性の能力が打ちのめされたとでもいうようで、能力のいくつかが消え失せてしまう。
    昨日はまだ、きみはまだわたしのそばにいたのに、それでもわたしの内部には、もはやきみとは長いあいだ会うこともあるまいという気持にすっかりなっている秘密の人間がひとり生まれていた。すこし経てば、もうきみの姿は見あたらないというのに、わたしはきみと握手など交わしていたのです。そのときのきみは不在の色に染められ、まるで目前の未来などまったくもっていない身というふうに、わたしには見えた。すぐそばから見ていたきみが、遠くに見えたのです。きみの眼差は同じだったのに、もう持続を含んではいなかった。きみとわたしのあいだには、『ふたつの距離』があるかのように思えました、まだ感じとれぬ距離と、はや途方もないものとなっている距離のふたつが。そして、ふたつの距離のどちらをより現実的と見なすべきか、わたしにはわからなかった……」

  • これを「小説」と呼んでよいものなのかどうか。
    確かに、私小説のような一面はあるが、特に後半は詩のような連作のアフォリズムである。おそらく、その意味するところは、作者本人にしかわからないものなのであろう。
    ただ、自分がこの世に在るとはどういうことなのか、この人間社会の中で何を意識して生きていくのかということについて、ともすれば過大になりそうな自己意識に光を当てつつ、真摯に自己と向き合おうとする作者の姿勢は伺えた。自分の読解力では、その辺りまでが限度である。

  • 吉田健一『書架記』を読んで購入。
    ポール・ヴァレリー唯一の散文集。
    小説と言われると小説なのだが、一般的に言われる『小説』とはまた違ったもののように思う。『散文』と言うのが自分的に一番ぴったりだった。
    短い散文と断章からなる薄い文庫本ではあるが、妙に心に残る1冊だった。

    うーん、登録したと思っていたのだが、登録されていなかった……忘れていただけなのか? ダブってたら消そう……。

  • 【本の内容】
    透明な知性と繊細な詩的感性によって20世紀前半のフランスを代表するヴァレリー。

    その唯一の小説集『ムッシュー・テスト』の主人公はヴァレリーの分身として異様な〈頭脳〉の劇を生きた。

    決定版の新訳!

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    [ 参考となる書評 ]

  • 誰しもが内側に抱える痛々しさを見せつけられてるような
    何とも言い難い読みづらさ。

  • これほど途方もない数の自尊心たちが、たがいに比べあっていると、温度がぐんぐん上がってゆく、そのありさまを考えてもみてください。おのれの運命に呼び招かれて気ちがいじみた職業に従事することになった華々しい不幸者たちの多くを、パリは、閉じこめ、結びあわせ、使い果たし、焼きつくす…

  • 逗子図書館にあり

    ほとんど意味がわからなかった…

    精神分析書だろうか…

    ただ、途中、流れが変わったことだけは、わかった。

  • 人は誰しも心の内奥に小さな子供を抱えている。
    本書の冒頭部分でもチラっとそのことに触れていたように思う。
    しかし、本書の内容は「そういったこと」とはあまり関係なく、当然人格の多重性の話でもない。ただ部分的に似通ってはいる。
    ボルヘス謂うところの「主体と客体」だ。
    テスト氏という人物はほんとうなら客体であるはずなのに、“主体的に語られている”。
    “それ(=主体と客体の逆転)”が、せめぎあった結果ではなく“ただそうなっている”ことこそが、本書を特異な作品にしているのかもしれない、なんつって(私の脳みそだとこのぐらいの解釈で限界w)

  • オルター・エゴとはまた異なる、ヴァレリーの精神に対する考察の結晶体であるテスト氏を巡る短編/断片群。テスト氏の言動は奇しくも同年に生まれたプルーストの様に内省と観念に対する可能性を突き詰め、その可能性を提示しないという選択肢にこそ可能性を見い出した。それは時に「沈黙しなければならない」とも言われた場所だが、だからといってそれは思弁を止める事を意味しない。語られない場においてこそ思弁は紡がれ、精神は結晶化されるのだ。反転した可能性の存在に対する確信―それはどこか、倫理と呼ばれるものに似ている気がするのだ。

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