海の沈黙 星への歩み (岩波文庫 赤 565-1)

制作 : 河野 与一  加藤 周一 
  • 岩波書店 (1973年2月16日発売)
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  • レビュー :8
  • Amazon.co.jp ・本 (170ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003256510

海の沈黙 星への歩み (岩波文庫 赤 565-1)の感想・レビュー・書評

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  • フランスを愛し、フランスに憧れた他国人が、戦争という非常時において挫折し、希望を失って去っていくまでを、抑えた筆致で描いている。これは、「暗殺された愛」という言葉で表現されている。「星への歩み」では、主人公を殺すのは敵国人ではなくフランス人である。それが一層悲壮である。
    (2016.2)

  • 何度も読み返した記憶があります。
    レジスタンス文学は今や時代遅れかもしれません。
    しかし哀しさ、切なさが静かな音楽のように流れるこの小説、今でも読む価値は十分あると思います。

  • 抑制された怒りの迫力を体感する読書。
    敵国の非を糾弾することに終わらず、内なる敵も睨んでいる。「星への歩み」の主人公は帰化してフランス国籍を取得した男であり、生まれながらにフランス人だったものとの比較の中で、愛国感情についても一考察入っているところが、この物語の深みであると感じる。

  • 海の沈黙

    静謐な物語。
    重く垂れ下がった空気が存在する。
    そして、かぎりない 沈黙が。

    ドイツ人将校が、私の家にやって来た。
    そして 2階に住むようになった。
    寒い夜に 暖炉にあたりに来た。
    蜂の羽音のような声で、いろいろ語った。
    かれは 作曲家で フランスが好きだった。
    しかし、私と姪はひとことも 語ることはなかった。

    ドイツ人将校は マクベスを読んだ。
    『支配を受けているものは恐怖に従うだけで、愛には従わなくなっている。』

    そして、将校は パリにいき ドイツ人たちと話をして来た。
    かれらは フランスを叩き潰す つもりだった。
    そんな使命を 受けていた。

    そして、ドイツ人将校は いつもは おやすみなさい と言って、
    部屋に帰るのだが そのあとに 御機嫌ようといった。
    姪は それに 応えたのだ。御機嫌よう。と。
    姪は 初めて 言葉をかけた。

    「翌る日、私が牛乳を飲みに下におりて来た時、もう発っていた。姪はいつもの通り朝食の用意をすませていた。黙って給仕をした。二人は黙って飲んだ。」

    静かで 音が わずかにするなかで
    人間の声は ほとんどない。
    ただ、ドイツ人将校は 自分を納得させるために
    話を 続けているのだった。

    たえられない 海のような沈黙。
    沈黙のなかに 燃えるような怒りが内在していた。

    星への歩み

    全く、文体が違う。
    フランスに対する 深い愛。

  • フランスとドイツという二国間にあるものは複雑で、日本人にはおいそれと理解出来ないものだと思うけれど、これを読むとその末端には触れられる気がする。

    抵抗文学、というにはあまりに繊細で切ない。

  • 戦争文学は夏に読むに限る。これで「抵抗」なのか。

  • はっきり覚えていないが気に入った記憶だけはある。
    いわゆる「抵抗文学」のひとつだとも記憶している。

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