恐るべき子供たち (岩波文庫)

著者 : コクトー
制作 : 鈴木 力衛 
  • 岩波書店 (1957年8月6日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (135ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003256619

作品紹介

詩人コクトー(1889‐1963)の手にかかると、子供の世界も、ギリシア悲劇を思わせる格調の高さをもって、妖しく輝きだす。白い雪の玉で傷ついた少年ポールが、黒い丸薬で自殺するという幻想的な雰囲気のなかに登場する少年少女は、愛し、憎み、夢のように美しく、しかも悲痛な宿命をになって死んでゆく。

恐るべき子供たち (岩波文庫)の感想・レビュー・書評

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  • Les Enfants Terribles(1929年、仏)。
    フランスの詩人ジャン・コクトーによる悲劇小説。日本でコクトーといえば、

     私の耳は貝のから
     海の響をなつかしむ  ――「耳」 堀口大學訳詩集『月下の一群』より

    という詩が有名だが、コクトーは詩だけでなく小説や戯曲も手がけており、『恐るべき子供たち』は小説の方面での彼の代表作である。エリザベートとポールというエキセントリックな姉弟のいびつな愛憎関係と、彼らを待ちうける悲惨な運命とを、ギリシア悲劇のような格調高さをもって幻想的にえがきだした名作といわれる。自分だけの空想世界にひきこもり、自分自身をやしなってくれる世間の営みを「唾棄すべき凡俗」として徹底的に侮蔑し、現実を直視することなく成熟を拒む子供たちは、当然の帰結として悲惨な末路をたどるよりほかないのだが、彼らはそれすらも「凡俗に染まるくらいなら」と受容する。平凡な幸福より、高貴な――と彼らが信じる――不幸を選ぶのである。この美学を肯定するか、否定するか、判断保留するかは読者諸賢にゆだねるとして、この小説がいわゆるデカダンと呼ばれる流儀をみごとに表現していることは確かだろう(ただし文学史的には、コクトーはデカダン派には分類されないようだが)。

  • ダルジュロスの悪意、そして彼に怪我をさせられながらも固着し続けるポール。その関係は何年にもわたって「刷り込」まれるのだろうか。幼少時の雪合戦は数年後に形を変えて決着を見ることになる。姉のエリザベートもまた強固なエゴイズムで弟のポールを自己の支配下に置き続ける。アガートも、そしてジェラールもそれに巻き込まれていくのだが、ここには善意を前提とした社会性は存在しない。むしろ、そうした社会的な秩序を根底から覆し否定し尽くす一種のアナーキズム、あるいはダダイズムがこの小説を支配する原理なのだろう。

  • エリザベートとポールは姉弟であります。ポールとジェラールは友だち。
    ジェラールとアガートは後に結婚します。
    そして、ポールとジェラールの共通の知人にダルジュロスなる少年がゐます。以上が主要な登場人物。恐るべき子供たち。レ・ザンファン・テリーブル。

    ダルジュロスはポールに雪のつぶてを投げつけて怪我をさせます。雪玉の中に何が入つてゐたのやら。
    それなのにポールはダルジュロスに憧憬を抱いてゐるやうに見えます。結果としてそれが悲劇的結末を迎へるのでした。
    読む側としては、やはりジェラール君が一番近い立場なので感情移入しやすいですね。といふか彼以外にゐません。

    かつて、「若者」と「馬鹿者」は音が似てゐるだけでなく、実態もほぼ同じと言はれてゐました。さすがに現在、さういふ意見は鳴りを潜めてゐますが、そんなことを想起させる暴走振りであります。
    しかし、この予定調和的な暴走はなぜか心地良い。そして迫力があります。
    特に終盤でジェラールとアガートが、ポールとエリザベートを訪ねて、ダルジュロスと再会したことを告げる場面以降は恐いくらゐの展開であります。

    恐るべきは子供たちより、作者のコクトーであると申せませう。

    http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-92.html

  • 西洋文学において、こういった少年愛(それが必ずしも主題ではないが、)を扱った作品に時折遭遇する。それらは妖しくはあるが、崇高な匂いを醸す。現代の日本でそれをやるとすぐさまボーイズラブ系と位置付けされるという罠。

  • もう、何から言葉にすればいいのか判らないんですが、フランス文学特有の退廃的な雰囲気がたまりません。もう滅茶苦茶です、ここまでただれた快楽の、悦楽の日々を送っていいんでしょうか。そしてさらに言えば、何でも手に入る世界って凄い。毒薬だって手に入る。
    多分、好き嫌いがはっきり別れる作品だと思うんですが、私はこの世界にがつんとやられました。コクトーの才能を、ぐいぐいと押しつけられて、それなのに陶酔してしまう自分。
    ちなみに、映画は衝撃のラストがあっさりとまとめられていて、「うわああああ、なにこれひどい」という原作のどうしようにもない感が全くなかったので、お勧め出来ません(そんなのばっかりだな)。原作のラスト数ページのエリザベートの美しさ、強さ、そういうものが映画では再現されてません。
    とりあえず、短い小説なのですが、読みにくいと最初の数ページで思った人には、お勧めしません。でも、フランス文学、本当に何でもありだな。そこが好きなんだけどね。

  • 生の終着点にこそ美は存在し、まもなく消える。

  • 角川で夏の100冊に選ばれており、「こんなマイナーな本誰が選んだんや!?」とびっくり。
    約2年ぶりに読みました。
    詩人だけあって表現が独特ですねー。
    文章全体からフランス!フランス!アンニュイ!ボンソワール、サヴァ?な
    雰囲気がだだ漏れです。

    09.08.31 再読


    流れ星のような、薔薇の花のような文章。

  • タイトルが素晴らしい。シンプルだが引かれる。
    しかし読んだあと、なぜこのタイトルだったのか疑問に思った。読み進めていくうちにタイトルや始まりの場面から想像した内容や展開にもズレが生じ、その思いは強まった。しかし読後、このタイトルの意味に気付いた。
    年齢についてでは無い。そう、彼らは子供だったのだ。

  • 雪玉にあたったせいで学校に通えなくなった弟のポールと看病する姉のエリザベス、普通の暮らしから離れた二人の兄弟の無邪気さ、残酷さ、それに取り巻かれる同い年の子供達。成長しないで生きることはできるのか。

  • 傷つけ合うことでしか愛情表現ができない美しく冷酷な子供たちのお話。コクトーが阿片中毒の治療中にわずか17日で書き上げたと伝えられているらしい。

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