- Amazon.co.jp ・本 (197ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003257111
感想・レビュー・書評
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訳:新倉俊一、原書名:Les Quinze Joyes de Mariage
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中世フランスの結婚に対する反抗文学。
名前とは裏腹に内容は辛辣さ溢れるものになっている。
女の汚い部分が全面に押し出されており、その汚さにやられてしまう良夫の姿が可哀想であると同時にどこか滑稽ですらある。
中世フランスの作品だから言葉遣いはやはりどこか古びた臭いがするが、内容は読みやすい。結婚する前に1回読んでおきたい一冊である。 -
反結婚文学の古典とのこと。
序文は解説にこうあります。「ことさら抽象的もしくは知的な語彙を多用し、無理に格調高い文章に仕上げようと試みて果たさなかった」。
このため序文だけ今まで読んだことのない日本語になっているが、本編の十五の歓びは読みやすいので、序文だけ読んで投げた人は本編を先に読みましょう。
また解説から取り上げますが、「もしかすると・たまたま・時によると」などの決り文句と「一般化する未来形(~するであろう)」の多用によって作者が望む結末へと物語を引っ張るやり方とその構成におかしみがあります。笑えます。
内容は会話文が主体。
貞淑な妻を演じる女の裏側の策略を描いています。夫の目にする妻だけを見ると、生涯ただ一人この人以外には考えられないと思わせる良き妻に思える程の演技力です。
文体は古いですが情念が感じられて内容に即していて良い文章でしょう。
傑作なのでおすすめです。ただ十五の歓びといいつつほとんど被っていて明確に分けられていないのは欠点で、だんだん飽きてきます。
それはこの書が「聖処女の受け給いしと思しき大法悦」に因み十三世紀以来いくつも作られてきた「美しくもまた敬虔なる祈祷文(聖母の十五の歓び)」のパロディのためらしいです。