パリの夜 革命下の民衆 (岩波文庫 赤580-1)

  • 岩波書店 (1988年4月18日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (359ページ) / ISBN・EAN: 9784003258019

みんなの感想まとめ

フランス革命の混乱と暴力の中で繰り広げられる人間の本質を描いた作品は、同時代の視点から生々しい歴史を浮き彫りにします。特に、熱狂する民衆による恐ろしい虐殺の描写は、読者に衝撃を与え、歴史の一瞬の狂気を...

感想・レビュー・書評

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  • 2018/11/1購入

  • 歴史書としてはかなり貴重な資料なんだろうと思われる。
    小説ではあるが。

    「もうすぐ絶滅するという紙の書物について」から、読んだ。


    彼が「夜の観察者」としてパリをうろつきまわり、民衆を観察している。
    当時の風俗、街灯の推移、公開処刑を見物する民衆、フランス革命の兆し、フランス革命中の王や王妃の行動など。
    サド侯爵を目の敵にしてるのが、おもしろい。

    この当時、鶏姦は罪だったんだよね。(キリスト教道徳)
    サド侯爵が、金をはずむって言っても娼婦に断られたりしてたはず。
    あと、エッフェル塔(なんとなく察してください)をしてほしいってのは、あれはフランス式とか何とか言われてたような。
    それも罪だった筈。
    マルキ・ド・サド作品は未読なんだが、おそらく澁澤さんあたりからの知識。


    p68/300
    ルイ14世時代、パリ治安総代官の命によって、ろうそくを入れた角灯(ランテルヌ)が通りのはずれや長い通りのまん中に取り付けられた。1796年に角灯にかわって反射鏡を用いた街灯が出現し、大革命の数年前から化学者フィリップ・ルボン考案のガス・ランプがそなえられた


    この街灯が、フランス革命に入ると、吊し首用の道具になるのが恐ろしい。
    街灯に誰それを吊してやれ、とか、市民が軍人や役人を吊すのに使うんですよ。首を切ってさらけ出したり、内臓をぶちまけさせてそれを引きずって歩いたり。
    民衆が暴徒と化して、これを行う恐怖。
    しかし結構最後まで、国民は国王を慕っていたというのが、フランス革命について知識の曖昧な私には不思議なところだった。

  • 混乱の中にあるParisを描写した作品。
    臨場感がたっぷりでとてもドキドキした。

  • 同時代人の目から見たフランス革命に興味があったので。とにかく暴徒と化した民衆による虐殺の描写がおそろしい。熱に浮かされた大衆の怖さというものをあらためて実感した。

  • 内乱の描写はとても信じられないような、身の毛のよだつ恐ろしさだった。

    「死刑にする権利が人間にあるだろうか。……たとえそれが陰険かつ残忍に人命を奪った人殺しであっても」
    私には「ない」と答える自然の沈痛な声が聞こえるような気がする!……「だが、泥棒なら」「いや、断じてない!」と自然は叫ぶ。
    「文明を知らない野蛮な金持ち連中は、荒っぽい警備手段をこれで十二分に得たなどと思ったためしがない。彼らの宗教が命じているように友となり兄弟となるかわりに、絞首台の方をえらんだのだ」
    これが「自然」の語ったことである。
    第10夜 車責めの刑に処せられた男

    あるお題目を唱えたら、たとえば「革命のため」とか「アパルトヘイトを終わらせるため」とか「差別を乗り越えるため」だとか、何をしてもいいという考えは基本的に間違っている。
    何よりもまず人間でいなければいけない。

    家族を植えさせるのに耐えられなかった女性たちが主体となったと言われているヴェルサイユ行進を、レチフは女装した男性が多くの女性たちを扇動したと考えているようだ。たぶん、女装した男性も中にはいたんだろうけど(その人がトランスジェンダーかどうかは不明としても)、女性が主体となって社会的なインパクトのある行動を起こすというのは不可能だというのが当時の教養ある一般的な男性の常識だったので、こういう表現になったのかな。

    ルイ16世は国民から愛されていた。ヴァレンヌ逃亡事件さえなければ、フランスにも立憲君主国の未来があっただろうし、革命で流れる血ももっと少なくて済んだだろうに。

    「行きはチュイルリ庭園側を通ったが、帰りは廃兵員側を通っていった。私は物思いにふけり、将来の出来事について推測をめぐらし、期待に胸を膨らませたり、またときには恐ろしさにぞっとしながら歩いていた。それから過去の時代の歴史を思い出していた。専制主義に向かうにせよ、自由に向かうにせよ、決してとどまることのない政治の歩みというものがそこに見えてくるのだった。それから、人間は果たして善や悪を創造することができるのだろうかと疑った。[……]大変動というものは人類の多数を構成するか弱い魂に常に大いなる苦しみを招くものだ、という道徳的、政治的な考えに耽っていると、自分が間違っていないと分かった。いやむしろ、私は間違っていないと思うのだった。」p.197

    「ルイ十六世は君たちを破滅させた!彼は特権者と民主主義者の双方を不幸に陥れたのである!彼にとって、自らを救う手段はひとつしかなかった。それはつまり、彼ばかりか私たちすべてにとって、頼みの綱にしがみつくように、しっかりと憲法にしがみついていることだった。」p.201

    「いたるところで王室の紋章が叩きこわされるのを目撃した。公証人の楯形の標識までこわされていた。かくして、実にこの日(ヴァレンヌ逃亡の最初の一日目)こそ、フランスにおいて王政は消滅したのである。」p.211

    ルイ16世はヴァレンヌ逃亡以降、王位をはく奪された人間として侮蔑をもって扱われるようになる。

    レチフがジャコバン派を「無分別極まる逆上分子」と呼んでいるのが面白かった。こんな罵倒語ははじめてだ。

    「「武装だって!」と一人の男が言った。「武装請願は法令で禁止されているぞ!」
    偏屈者が答えた。「請願をもっと効果的にするためさ」
    「理性の代わりに力を使い、政府への愛の代わりにたえず蜂起を行うのは、一切の法と政府を覆すことになるよ」と私は男に言った。
    私はフイヤン派(穏健な立憲王政派)扱いされた。」p.222

    レチフはもとは立憲王政派だったと思うけど、ヴァレンヌ逃亡以降は王政を否定している。
    たぶん自認としてはジロンド派だったんじゃないか。
    https://www.y-history.net/appendix/wh1103_1-040.html

    「速断しすぎる者は抽象する者である。」p.230

    「ルイに罪があるとすれば、それは思い違いと軽挙妄動の罪である!
    彼が選ぶべき理由にかなった生き方とはただ一つ、国民の腕の中に身を投じ、すべての市民と同じように彼を保護する憲法への二心ない態度と熱意を示すことによって、彼を取り巻く無分別者や愚か者どもの腹黒い忠告にそそのかされて失ったものを取り戻すという生き方、その道しかないことを悟れなかった罪なのだ。」p.255

    「(1793年)1月20日(ルイ16世処刑の前日)、私は昼食をとるために仕事の手を休めた。不安に打ち震えながらみすぼらしい住まいを出た。すべてはいつものように落ち着いていた。しかし、今はその理由が分かる。両派の扇動者たちは何の扇動もしない方が得策だと考えていたのである。過激革命派は処刑が行われることを願っていたが、極右特権派もまた、全ヨーロッパを我が国に対して憤激させるため、処刑が行われることを望んでいた。つねに混乱を恐れ、しかも大多数を構成する穏健な市民は、騒ぎを惹き起こさないよう用心していた。これこそ軍隊の指導者が決して忘れてはならない真実だ。それというのも、国民の多数は常に穏健な人々から構成されているからであり、都市を荒らせば罪のない人々を罰することになるからである。」p.260

    「古代ギリシア人によって直観されたこの異論の余地のない権限、無実の人を死に至らしめることすらある国民のこの権限ゆえに、古代ギリシア人はアリュステイデス(前5世紀アテナイの廉直な政治家)を陶片追放し、フォキオン(前4世紀アテナイの将軍、政治家、プラトンの弟子)に死刑判決を下したのである。」p.262

    「人間の法が不十分であることを納得しているとはいえ、法がなければ社会は存在しえないと思う。私はそれ以上にこうも思う。それは、最大の慎重さをもってでなければ、法に手を触れてはならないという事だ。法律の改変によって生じる衝撃は、人間からその習慣を奪い取るという、現実的かつ極めて顕著な弊害を必ず生み出すからである。」p.264

    テレンティウス
    人間に関わることで私に無縁なものは無い。

    「国王の裁判と処刑が問題となって、国民公会は、ジャコバン・クラブなどの急進的ブルジョワや民衆に支えられた国王処刑を主張する山岳派と、民衆蜂起や国王処刑に難色を示すジロンド派とに分裂する。合法主義に基づくジロンド派議員は、穏健なブルジョワを代表していた。」p.345

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