牝猫 (岩波文庫)

著者 :
制作 : 工藤 庸子 
  • 岩波書店
3.95
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本棚登録 : 128
レビュー : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003258514

作品紹介・あらすじ

人間どうしさながらに意志をかよわせ睦みあう青年アランと愛猫サア。アランの愛のみを待ちうける新妻カミーユの不満は、やがて「第三者」サアに対するいらだちと嫉妬の心にかわってゆく…。20世紀フランス文壇の女王コレット(1873‐1954)が、一匹の牝猫をはさんだ若い新婚男女の微妙な心理を繊細な感覚でとらえた円熟期の代表作。

感想・レビュー・書評

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  • ◆主人公アランと愛猫サア、そして新妻カミーユ。男と猫と女という奇妙な三角関係の物語。主人公と愛猫のあいだにはすでに二人(二匹)の世界があって、その世界に入って行けない妻は、夫(主人公)の愛猫に対する憎しみを募らせてゆく。いっぽうで主人公は、妻を愛しつつも失望も覚える。◆主人公と妻という人間の違いがはっきりみてとれるラストが印象的でした。

    ◆その人間の違いは、凋落しつつある旧家に生まれ育った主人公がもつ貴族らしさ、エリートらしさによるものです。主人公にとっては、妻の立ち振る舞いや言動、そして貪欲さや利得に生きる彼女という人間は「不純」なのでした。「サアがライバルになるはずはないじゃないか」「きみにライバルがいるとしたら、不純なものたちのだれかだろうから…… (p. 52)」

    ◆反対に、愛猫にたいしては「猫科の動物の気品というものがあるし、欲得なんかを超越している、身の処し方を知っており、人間のエリートに似たところがある…… (p. 37)」といっています。◆そう考えると、主人公が自分自身と愛猫にある種の純粋さ、エリートらしさを見出していたことは明らかです。まさに主人公が抱えていたこの意識が、男女関係に動物が入り込むという奇妙な関係を、物語として成立させているといえるのかもしれません。

  • 新郎の猫と新婦と新郎の話。『青い麦』でも感じたけどコレットの文章は色であふれていて美しくてとてもリア充じみている。新郎を通して書かれるから新婦が悪いようになってるけど、もし自分がと考えると新婦は悪くない

  • ドラマの最初の設定時点で、「ああ、これならああなってこうなって結果こうなるんだろうなあ」ということが簡単に予想でき、そしてその通りストーリーは展開され、予定通りに終わる。

    でも、そのスピード感が絶妙。何ともいえない間を置きながら、自分の予測した「それ」が果たしていつ起きるのか、はらはらしながら読み進むことになる。わかっている…はずなのに、それでいてもその「はらはら」を楽しめてしまう、絶妙な流れがなんともいえない快感!

    とてもエロティックな要素に包まれた内容だし、庭の花々やその香りなど、描写の一つ一つがしっとりと潤いを帯びているような、何とも言えない雰囲気を持っている。

    仏蘭西文学ならでは、でしょうねぇ。

  • 自分の世界で夢見る男と世俗的な女のすれ違い

    猫との恋愛関係、というよりは男女のすれ違いがメインです。

    主人公の、夢見がちでピーターパンのような価値観が小気味よく
    猫と主人公とのやりとりは、色気を感じます。

    1928年、86年前にフランス人女性によって書かれた小説ですが、
    文章はテンポよく読みやすく、その時代のフランスの世界を味わえます。


    少しの希望や喜びに飛びついてしまう、
    自分の思うように事を運びたがる、
    そういうところは、いつの時代でも現実に生きる女性の性なんだなぁと
    すこし悔しくなります。

  • あっけない結婚生活は牝猫がそのきっかけである。しかし牝猫なしでも破綻は確実であった。愛のはかなさがぐっとくる。牝猫の鳴き声が面白い。

  • きっかけは猫好き。一匹の牝猫をはさんだ男女の関係…という内容に惹かれて手に取りました。コレットの作品は初めて。繊細な描写について行くのに精一杯でした。アランがカミーユを観察する目の辛辣さに圧倒されるばかり。少し寝かせて?再読したいと思います。

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  • 飼い猫を愛している青年が、幼なじみの女の子と結婚するけどうまくいかない、みたいな話。フランスっぽいですねさすが愛の国。猫をこんな自然に三角関係に混ぜるとは・・。
    後半、当然みたいに妻を猫より下に見ている主人公と、真剣に猫への嫉妬に狂う妻が、うすら寒い気持ちにさせてくれます。

    それにしてもコレットはほんとうに美しい情景を書く人ですね。
    庭の描写がすばらしい。こういうの読んでると小説ってすばらしい世界だなあとつくづく思います。
    そういえば「青い麦」もその辺が好きでした。
    「ジジ」も読みたいけどどこかから文庫出てるかな・・。

  • 人間同士のようにお互い意思疎通をし、ともに睦み合う青年アランと牝猫サア。アランは幼なじみのカミーユと結婚するが結婚した当初から違和感を感じ実家に置いてきたアランが出て行ってから食欲のなくなったサアを連れアパルトマンへ戻る。カミーユに対し日々不調和を感じるようになるアラン。アランとサアの関係に嫉妬するカミーユはある日住んでいるアパルトマンの10階からサアを殺そうと下に落とす。サアは奇跡的に無事だったがアランは実家に戻る。闇をたたえた水のような表面に青みがかった毛並みをしたサアは「ムゥルーィン!」と鳴きます。

  • 美青年と猫。他に必要なものがあるだろうか。
    あるわけねぇぇぇ!

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